12月あたりにリリースされたアルバムは毎年各媒体で発表される「年間ベスト」のリストに入りづらい傾向があります。このようなリストはだいたい12月の「前半」あたりに発表されるので、それ以降にリリースされたアルバムは自然と「選考外」になってしまうのです。(仮に、12月の序盤にリリースされたとしても、アルバムを味わう期間が短くこれもアルバムの選考には入りづらいと思われます)
かといって、次の年のリストに入れるのも、昨年のアルバムを入れることになり何か微妙な感じがする……このような理由から、12月にリリースされたアルバムはあまり「年間ベスト」のリストに入いりづらいように思うのです。
現在、私は2018前期ベストアルバムを鋭意選定中なのですが、その前に12月リリースのアルバムに再びスポットライトを当て、年間リストから漏れてしまったアルバムを讃えよう!と考えたのです。
(昨年の私のベストアルバムのリストでは、12/15以降のアルバムは来年の選考に回すと言いましたが、スタンスを変えました💦 )
1 Charli XCX / Pop 2
Favorite Tracks:Lucky、I Got It、Femmebot
「“Pop2”を聞いて、今の所泣いた回数:8」 このアルバムについてこのような感想をツイートしている海外の人を見つけました。多分、これは話を盛っていますが、実際それだけの「魂」を持ったアルバムであることは間違いが無いと思います。
MØ、Cupcakkeと前のミックステープに参加した二人や、初のコラボとなるCarly Rae Jepsen、Tove Loなど多くの客演を迎えた個性的な楽曲を取り揃える一方で、アルバム全体の世界観も統一されていて、かなりの傑作アルバムだと思います。
リリース時期が難しかった(12/15)影響で、メディアの年間リストなどにはあまり入っていなかったですが、時期が良ければ各メディアのランキングで上位に入ったのではないか?と思っています。(ちなみにCharli XCXがこの年リリースした“Boys”は各メディアの「ベストソング」ランキングを合算したランキングで7位らしいです。”Pop2”も時期が良ければ「ベストアルバム」の合算ランキングでそれぐらいに入ったのでは?と考えています。 )
ちなみにこのアルバムを昨年の自分のベストアルバムリストに入れるとしたら1位か2位ですね!
シングル単位でのお気に入りは“Lucky”と”I Got It”、そして“Femmebot”です。”Lucky”はダイヤモンドのように美しいメロディラインが特徴的な1曲。さっき述べた「8回泣いた人」は、この曲で涙したに違いない(?) “I Got It”はBrooke Candy、Cupcakke、Pabllo Vittarという3名のラッパーによる強烈なヴァースが特徴的。”I Got It”が連続するサビの歌いやすさも合わせて、このアルバムで一番盛り上がる曲かもしれないです。
そして一番衝撃的だったのは“Femmebot”です。何よりこの曲を一番象徴しているのは、ロボットが「感情的すぎて歌えない」と判定した?という逸話?がある点です!この曲はアルバムの中で一番魂を揺さぶられる曲だと思います。
(他にも良い曲は多いです。ファンの間では”Track 10"が人気らしいです 参考:
ファンが選んだ Charli XCX ベストソング So Far を勝手に集計【本人がTwitterで質問】 - チャート・マニア・ラボ (CML))
#facts https://t.co/DkcfVtWiwY
— CHARLI XCX (@charli_xcx) December 16, 2017
純粋にアルバムとしてこの上なく素晴らしいのですが、それに加えて、このアルバムは「客演を介した新世代スターの紹介」という役割を果たしているとも思います。
アルバムには多くの客演が登場しますが、「“Pop2”で名前を初めて知って、良いと思ったアーティスト」が誰かしらいるのではないでしょうか?
私の場合はそれがKim Petrasで、今アルバムをすごく楽しみにしています(今年の6月にアルバムをリリースするとの噂がある) 今年リリースしたシングル、“Heart to Break”、”Can’t Do Better”はいずれも絶品です。
ちなみに、↓のインタビュー記事では「“YEEZUS”以来の、世界をひっくり返すアルバム」*1 と評されていますが、どちらかというとこのアルバムは「多様なゲストを迎えた個性的な楽曲群」を持ちながら、「アルバム通して統一された世界観」も同時に持つという点で、 “My Beautiful Dark Twisted Fantasy”に近い気がします。*2
リリース時期が難しく、2017の年間リストにはそこまで入っていないアルバムですが、いずれ「ポップス版MBDTF」のような感じで高く評価され、長く愛され、長く記憶されるようなアルバムになってほしい……そう願っています。
2 Francis and the Lights / Just For Us
Favorite Tracks:Just For Us、Cruise
Kanye Westの最新作”ye”にも参加したプロデューサー・Francis and the Lightsによるアルバム。”ye”ではJustin BieberやEd Sheeranなどと共に多くのヒットを生み出してきたポップ系プロデューサー、Benny Blancoの参加が話題となりましたが、KanyeにBenny Blancoを紹介したのはFrancis and the Lightsではないのか?と考えています。(Benny BlancoはFrancis and the Lightsのアルバム両方にプロデューサーとして参加している)
30分弱のポップアルバムで、非常に聞きやすい作品でした。リリースは冬でしたが、清涼感のあるジャケットと合わせて、夏に聞いても気持ちの良いアルバムかもしれません!表題曲の“Just For Us”や、アルバムラストの美しい”Cruise”が目玉トラックですかね。
年間リスト的にはかなり難しい時期 (12/29)のリリースだったということもあり、あまり注目されていないように思いましたが、もっとスポットライトが当たって欲しいアルバムだと思っています!!
3 Quavo & Travis Scott (Huncho Jack) / Huncho Jack, Jack Huncho
Favorite Track:Black And Chinese
今年アルバムをリリースしたMigosのQuavo、今年アルバムをリリースするかも?と噂されるTravis Scottによるジョイントアルバム。
彼らは客演などで複数回コラボしている「名コンビ」で、特に“Pick Up the Phone”、”Oh My Dis Side”の2曲は特に素晴らしいと思います。
そんな二人のサウンドが存分に味わえるアルバム。正直、“Pick Up the Phone”と”Oh My Dis Side”が「良すぎる」ためか、その2曲クラスの楽曲はこのアルバムには無いと感じましたが、アルバム全体の印象は良かったです。
特にQuavoは(Migosで)2017年にも2018年にもアルバムをリリースし、客演仕事も多く、多忙を極めていたと思います。その中でこのクオリティのアルバムをポッと出して、しっかりヒット(アルバム3位)を記録するのは、現在のメインストリームにおいて彼が主役であることを証明していると思います。
Travis Scottも、このジョイント作や、自身の2アルバム、それに客演仕事などでも好印象な曲が多く、自分の中で「ハズレのないアーティスト」になりつつあります!(2015年も2016年もベストアルバムのリストから外したことを後悔しています💦 今年のアルバム?“Astroworld”、大いに期待しています!)
そんな素敵なクリスマスプレゼント(リリース日が12/22)だったと思います。