こんばんは!
◇今週のHot 100 ハイライト◇
・CHVRCHES、Marshmelloとのコラボで初のHot 100入り
・Juice WRLDがアルバム1位、7曲がHot 100に
・SICKO MODEがトップ10に残り、32週目のトップ10滞在に。歴代3位タイの長さ
・”7 rings”が首位返り咲き。先週1位の“Sucker”は6位へ
・“Mo Bamba”、”Leave Me Alone”などがチャートから外れる
・今週のトップ10
3月23日 | R | D | S | ||||
△ | 1 | Ariana Grande | 7 rings | 3 | 5 | 1 | |
△ | 2 | Post Malone & Swae Lee | Sunflower | 9 | 4 | 2 | |
△ | 3 | Halsey | Without Me | 1 | 10 | 8 | |
▽ | 4 | Cardi B & Bruno Mars | Please Me 🚩 | 11 | 6 | 4 | |
△ | ◎ | 5 | Post Malone | Wow. | 6 | 3 | 10 |
▽ | ◎ | 6 | Jonas Brothers | Sucker ✅ | 27 | 2 | 9 |
△ | 7 | Marshmello & Bastille | Happier | 5 | 15 | 14 | |
△ | 8 | J. Cole | MIDDLE CHILD | 41 | 20 | 5 | |
▽ | 9 | Lady Gaga & Bradley Cooper | Shallow | 14 | 1 | 21 | |
- | 10 | Travis Scott | SICKO MODE | 25 | 30 | 7 |
R=Radio、D=Download、S=Streaming
🍎=Apple Musicで1位 ✅=Spotifyで1位 🚩=YouTubeで1位
(今週のApple Music1位はHot 100で17位のYNWの“Murder On My Mind”)*1
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
※◎はポイントが総合的に落ちていても、ラジオの伸びが大きいとつくケースがあります。今週の“Sucker”はそれに当てはまると思います。(1-4位が全てマイナスで、先週1位だった”Sucker”がポイント増ならば6位に落ちているのは整合性が取れない)
つまり、実際にポイントが増えたトップ10曲は“Wow.”のみで、かなりデフレな週ということが分かります。
1~100位までの順位表は↓
曲の個別解説
☆96 Lil Peep & iLoveMakonnen feat. Fall Out Boy – I’ve Been Waiting
故Lil Peep、iLoveMakonnenとFall Out Boyによる“I’ve Been Waiting”が96位に登場。この面々だとポップパンクの精神を受け継いだラップ、エモラップ調の曲か?と連想されますが、そうではなくエレポップ調の1曲です。
かかっているのもポップ系のラジオで、そこから大きくポイントを得ています。ストリーミング等ではまだあまり数字が伸びていません。
Lil Peepにとって、訃報の直後にエントリーした“Awful Things”、XXXTENTACIONとの”Falling Down”に次ぐ3曲目のHot 100エントリーです。
iLoveMakonnennは2014年の“Tuesday”以来2回目のHot 100エントリー。Fall Out Boyは20曲目のHot 100です。
☆92 Pedro Capó & Farruko – Calma
ラテン界隈の大ヒット、“Calma”が92位に登場。Pedro Capóの原曲にFarrukoがリミックスで加わったことによって大ヒットしました。この曲は今年の1月~2月に合計4週間、YouTubeのグローバル再生数の週間1位に立っています。ほかSpotifyでもグローバル再生数で最高5位まで到達しています。
アメリカでは若干人気が出るまでタイムラグがありましたが、ラテン系ラジオの再生数が増えたことなどによってHot 100に到達しました。Pedro Capóは初のHot 100入りです。Farrukoは“Krippy Kush”に次いで2曲目。
☆88 Lee Brice – Rumor
今週のカントリーラジオの浮上曲。Lee Briceの“Rumor”が88位に登場しています。カントリー曲はポイントの多くをラジオから得ているため、ラジオの動向とHot 100順位がかなり比例します。
順位が落ちる時もラジオと「運命共同体」です。Midlandの“Burn Out”は先週Hot 100で63位でしたが、ラジオの数値が一気に落ちたため今週Hot 100圏外になってしまいました。
☆85 FLETCHER – Undrunk
ここ数週ポップ系ラジオで人気を集めていたUS出身のポップシンガー、FLETCHERの“Undrunk”が85位でHot 100に登場。彼女にとって初のHot 100入りです。
あまりヒットの実績が無いながらも、彼女は昨年Spotifyの有名プレイリストNew Music Fridayのサムネに抜擢された経験があります。現在Spotifyはヒットの兆しを見せたこの曲を有力プレイリスト“Today’s Top Hits”のリスト上部に浮上させています。この恩恵か、ここ数日Spotifyでの再生数が大きく伸びています。
☆77 Khalid – My Bad
Khalidの“My Bad”が77位に登場。これでKhalidはHot 100にエントリーした曲数が20まで到達しました。
彼は最近アルバムのリリースも発表。タイトルは“Free Spirit”でリリースは4/5です。既にリリースされたシングルの中ではこの”My Bad”、“Better”、”Talk”、“Saturday Nights”がアルバムに収録されるようです。
リリース時はどこまでストリーミングで人気を集めるか?にも注目です。競合次第ですが、アルバム1位も十分射程圏内だと思います。
☆75 Marshmello feat. CHVRCHES – Here With Me
MarshmelloとCHVRCHESのコラボ、“Here With Me”が75位に登場。CHVRCHESは初のHot 100入りです。
“Happier”の成功を受けてMarshmelloは再びイギリスのバンドとタッグ。CHVRCHESを初のHot 100入りに導きました。この曲は主にポップ系ラジオ、Spotifyで人気です。ほかCHVRCHESがいる効果からか、オルタナティブロック系のラジオでもかかっています。
この現象は“Happier”でも見られました。幅広い系統のラジオでかかると人気が長持ちし、ロングヒットになる傾向があります。”Happier”は今週30週目ながらも8位と上位をキープしています。
◇72 Lil Baby – Pure Cocaine
Lil Babyの“Pure Cocaine”がビデオ公開で72位に再登場しています。この曲はリリース以降Apple Musicで高い人気をキープしています。
ラジオでのLil Babyのメインのシングルは長く“Drip Too Hard”ですが、それ以外の曲もビデオをリリースするなどして、プロモーションを行っています。
”Close Friends”はアルバムのリリース以降、ストリーミング上における「裏シングル」のような立ち位置を確保し、今週チャート滞在20週目の「完走」を迎えています。(チャート滞在の最後のほうになってようやくラジオでかかり始めた)
ラジオとストリーミングのヒットの周期、リズムはかなりズレているのでこのようにラジオ以外での場面用のシングルを用意することが得策になるケースもあります。この戦略は昨年Juice WRLDも行っていました(ラジオでのシングルは長く“Lucid Dreams”のみだった)
ただし、ストリーミングで複数の曲が人気になるアーティストにしかできない芸当です。
◇61 Maren Morris – GIRL
Maren Morrisがセカンドアルバム“GIRL”をリリース。その表題シングルがHot 100で61位に再登場しています。元からラジオで人気だったことに加え、アルバムリリースの効果でDLやストリーミングが伸びました。
アルバムは4.6万の総合セールスで4位にランクイン。うち純セールスは2.5万枚。ストリーミングでもある程度は人気を得ていたようです。
☆41 Juice WRLD – Empty
Juice WRLDのセカンド、“Death Race For Love”がアルバムチャートで首位に!総合セールスは16.5万で、うちストリーミングから12.0万、純セールスは4.3万でした。(残りはシングルDL)
ストリーミングの数字は再生数に直すと1億7644万で、Ariana Grandeの"thank u, next"に次いで今年2番目に多い数字です。
ラッパーとして純セールス4.3万は若干多い部類に入ります。今年アルバムチャートで1位を獲得した21 Savage、Futureのアルバムの初週の純セールスは2万未満でした。
アルバムからは7曲がHot 100に。主に人気だったのは先行シングルで、“Robbery”が27位に、”Hear Me Calling”が38位に。それに次ぐのが新登場の“Empty”(41位)、”Fast”(47位)です。
ビルボードはこのアルバムに対して5人のスタッフがJuice WRLDについて語る記事を作成。(これ、シリーズ化するんでしょうか??)
質問項目は ①アルバム首位はJuice WRLDがスーパースターと証明するか? ②代表シングルはどれか? ③22曲アルバムが常態化するのをどう考えるか? ④2019年の彼は?年の誰に相当するか? ⑤次に彼のようにブレイクするのは誰か?
④はちょっと分かりづらい質問ですが、一つ回答例を挙げると「Juice WRLDは1999年のBlink-182に相当する」、これを5人がそれぞれ挙げています。
個人的に注目したのは③の項目。「22曲を正当化できるアルバムはほとんど無い」など、5人中4人が「ストリーミング時代特有の長いアルバム」に懐疑的な意見を述べていますが、Andrew Unterbergerさんは昨年“SR3MM”、”Culture Ⅱ“、”Scorpion”などの長尺アルバムを気に入っていたことを例に挙げ、22曲でもこれは良いアルバムだったと述べています。
△40 Mustard & Migos – Pure Water
(DJ)MustardとMigosの“Pure Water”が40位へ浮上。Mustardは、プロデューサーとして既に10曲以上のトップ40ヒットを生み出してきましたが、自身の名義の曲でのトップ40入りは初です。
この曲はストリーミング全般で人気(Apple、Spotify、YouTubeでいずれも20位前後まで到達)のほか、ラップ系のラジオでも人気浮上中です。
Travis Scottが10位をキープ。これでトップ10滞在が32週目を迎え、歴代3位の長さまで到達しました。
(トップ10滞在週数)
33週:Ed Sheeran – Shape of You
33週:Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
32週:The Chainsmokers feat. Halsey – Closer
32週:LeAnn Rimes – How Do I Live
31週:Mark Ronson feat. Bruno Mars – Uptown Funk!
トップ10滞在週数が長い曲はラジオの規模が大きいポップスが多く、ラップながらもロングヒットの“SICKO MODE”はレアな存在であることが分かります。ストリーミングは流行サイクルが早いことから、ストリーミングでの人気曲は若干トップ10滞在が短いことも多いですが、この曲はかなり長持ちです。(”YOSEMITE”などの他シングルがあまり際立たたず、長く“SICKO MODE”がシングルで1強の状態が続いたのが大きかったのかも?)
この曲は今年に入ってからポップ系ラジオでも人気を得ていました。
今週の他の上位の動き:Ariana Grandeの”7 rings”が首位に復帰。先週1位だったJonas Brothersの“Sucker”は6位に。ほかPost Maloneの”Wow.”が7位→5位で好調
×× Sheck Wes – Mo Bamba
Sheck Wesの“Mo Bamba”が今週チャートから外れました。ピークは6位、チャート滞在は28週でした。新鋭のラッパーとしてはかなりの成績を残しました。
彼の表向きのHot 100エントリーはこの曲だけですが、Travis Scottの”No Bystanders"にfeat.表記無しで参加しています。
Kanye West率いるGood Musicに参加するなど、他のラッパーとの結びつきもありそうなので、今後の活躍に期待です。
×× Flipp Dinero – Leave Me Alone
Flipp Dineroの“Leave Me Alone”がチャートから外れました。ピークは20位、チャート滞在は25週でした。
ストリーミングで人気を得た後、ラップ系のラジオでも人気を得ましたが、トップ10までは手が届きませんでした。滞在25週はピーク20位の曲としては少し長めだと思います。
ちなみに今週取り上げたSheck WesもFlipp Dineroも、さらにはJuice WRLDもビルボードで個別ページが用意されておらず、ビルボードのサイト上で細かい過去のチャート遍歴を振り返ることは(現在)できません。(代わりにウィキペディアで閲覧)
新人アーティスト、特にラッパーの場合は個別ページが無いケースもあります。どういう方針で個別ページを作成しているのかは不明。Juice WRLDはビルボード誌の表紙にもなっているのに、個別ページが無いのは謎……
今週チャートから外れた曲 (13曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
100 2 Chainz feat. Kendrick Lamar – Momma I Hit A Lick (🗻100位 /⏰1週)
99 Cody Johnson – On My Way To You (🗻91位 /⏰5週)
98 Carrie Underwood – Love Wins (🗻83位 /⏰8週)
96 Lukas Graham – Love Someone (🗻70位 /⏰10週)
94 2 Chainz feat. Ariana Grande – Rule the World (🗻94位 /⏰1週)
92 Ariana Grande – needy (🗻14位 /⏰4週)
88 P!nk – Walk Me Home (🗻54位 /⏰2週)
82 Juice WRLD – Armed And Dangerous (🗻44位 /⏰17週)
75 2 Chainz feat. Travis Scott – Whip (🗻75位 /⏰1週)
73 Offset – Red Room (🗻49位 /⏰3週)
63 Midland – Burn Out (🗻63位 /⏰9週)
47 Sheck Wes – Mo Bamba (🗻6位 /⏰28週)
45 Flipp Dinero – Leave Me Alone (🗻20位 /⏰25週)
・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品
1 Juice WRLD – Death Race For Love
4 Maren Morris – GIRL
21 Tesla – Shock
45 Dido – Still On My Mind
58 Foals – Everything Not Saved Will Be Lost, Part 1
169 Amanda Palmer – There Will Be No Intermission
186 David Gray – Gold In A Brass Age
チャート滞在関連
1周年:XXXTENTACION - ? (今週31位)
100週目:Kendrick Lamar – DAMN. (今週59位)
200週目:twenty one pilots – Blurryface (今週138位)
300週目:The Rolling Stones – Hot Rocks 1964-1971 (今週170位)
300週目:The Beatles – Abbey Road (今週156位)
その他
・各系統のラジオで最も伸びた曲
☆総合 :Jonas Brothers - Sucker
・ポップ:Jonas Brothers - Sucker
・アダルトポップ:Jonas Brothers - Sucker
・リズミック:21 Savage – a lot
・アーバン:2 Chainz feat. Ariana Grande – Rule the World
・カントリー:Brett Young – Here Tonight
(この5系統がラジオの中で規模が大きいです。ちなみに「アーバン」とはHip-Hop / R&B系統を指しています)
Ariana Grandeがアーバン系ラジオのチャートに登場するのはこれが初めて。彼女は自身のシングル”7 rings”もこの系統でかかり始めており、ヒップホップリスナーの間でも浸透し始めるか!?
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲
・Bebe Rexha – Last Hurrah
・Mabel – Don’t Call Me Up
ポップ系ラジオ+Spotifyで人気、という比較的よく見られるパターンのヒットをしている曲。Mabelはスペイン生まれスウェーデン育ちで現在はイギリスをベースに活動しているR&B~ポップスのシンガーです。これらの2曲はSpotifyの有力プレイリスト“Today’s Top Hits”で比較的上位に入っています
※“Today’s Top Hits”は昨年「世界」で最も再生されたプレイリストだそうです。
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)