チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 11/25 見どころ 【2017年間チャート、集計ラストの週!】

f:id:djk2:20171115222931p:plain

ビルボードの年間チャートは11月締めなので、今週が2017年の年間チャートラストの週にあたります!皆さんは年間チャートのトップ10に何が来ると思いますか?発表が楽しみです。

写真はMetro Boomin。今週彼の名義の曲とプロデュースした曲(Congratulations)の計3曲を取り上げています。年間チャートにも7~8曲彼のプロデュースした曲が入りそうです。

 

ちなみに2017年間チャートが結局どうなったのか?というのはこちら……↓

 

99 21 Savage, Offset & Metro Boomin – Mad Stalkers (New)

10/31日にリリースされた21 Savage, Offset, Metro Boominのミックステープ、今週は集計日数が先週の3日から増加(7日間フル)したため、全体的にストリーミングが上昇。100位のNightmare (Offset, Metro Boominのみ)と、99位Mad Stalkersの2曲が新たにHot 100入り。今週は計6曲がHot 100に。数値は上昇したものの、アルバムチャートでは他との競合で4位→5位と順位を落としました。

一番人気のGhostface Killersは35位とトップ40圏内にまで入りました。基本的にはこの曲の全員(21 Savage, Offset, Metro Boomin 客演のTravis Scott)トップ40入り歴は既にありますが、Offset名義では初のトップ40です(Migosとしては何回かトップ40入り)

※そのMigosですが、XXXTENTACIONとのビーフ説が浮上しています。(発端はそのOffset?)


 

94 Big Sean & Metro Boomin feat. 21 Savage – Pull Up N Wreck (New)

Bounce Backで自己最高位を記録した*1Big Sean。その時のプロデューサー、Metro Boominと再タッグを組んでシングルをリリース。Pull Up N Wreckが94位で登場。客演はMetro Boominとコンビを組むことの多い21 Savage。

上記ミックステープWithout Warningでの4曲、2016年のEP、Savage Modeから2曲(X、No Heart)に次いで 21 Savage + Metro BoominのコンビでHot 100に入るのはこれで7回目。(21 Savage & Metro Boominの表記ではなく)Metro Boominが裏方に回ることもあり、21 SavageソロのヒットBank AccountもプロデューサーはMetro Boominです。

 

93 Maroon 5 – Wait (New)

Maroon 5の新アルバムの中で2番人気のWaitが93位で登場。1番人気は先行シングルのWhat Lovers Do(後述)。他の先行シングルDon’t Wanna Know、Coldはボーナストラックに回されています。

Sam Smithとのアルバムチャート1位争いに敗れたMaroon 5ですが、純セールスでダブルスコア近い差を付けられています(Sam Smith:18万5000、Maroon 5:9万4000)それだけではなくストリーミングでもSam Smithがかなり優勢で、ボートラを含めSam Smithのアルバムは全曲が(発売日の)Spotifyのデイリー200位圏内に入ったのに対し、Maroon 5のアルバムはこのWaitとWhat Lovers Do以外あまり人気が無くSpotifyデイリーの200位圏内にすら入っていませんでした。グラミーの新人賞候補ともいわれるJulia MichaelsとのHelp Me Outなど注目を浴びそうなシングルもあったのですが……(参考

何かしらの曲がシングル化で巻き返せると良いですね……まあWaitは好調な滑り出しなのですが……

 

79 YBN Nahmir – Rubbin Off The Paint (New)

Apple MusicとSpotifyの両ストリーミングで上昇中のYBN NahmirのRubbin Off The Paintが79位でHot 100初登場。Tay-KのThe Raceとも評されているこの曲ですが、Hot 100入りの要因の一つとしてVince Staplesのリミックスが挙げられているようです。

※「Kendrick Lamarと並んで現シーン最高のラッパー」と評されることもあり、アルバムが評論サイトの採点をまとめたサイトAlbum Of the Yearで今年4位の点を得るなど、かなり高い評価を得ているVince Staplesですが、Hot 100入りはまだ無し。アルバムチャートでも今年のBig Fish Theoryでの16位が最高位です。リミックスも良いですが、本人の曲もいつかHot 100に入ってほしいものです。

 

65 N*E*R*D & Rihanna – Lemon (New)

Pharrell率いるN*E*R*Dの7年ぶりのシングル、Lemonが65位で登場。意外と初のHot 100です。N*E*R*Dの久々の曲としての注目が集まるこの曲ですが、Pitchforkには「Rihannaの独壇場」と評され、ビルボードもこの曲のアイコンをRihannaにしていま……*2

f:id:djk2:20171115224422j:plain

 

40 Post Malone feat. Quavo – Congratulations (→)

ストリーミングで長いこと愛され、今週46週目のチャート滞在を記録しているCongratulations。40位。ロングヒットの曲は大方ラジオで息の長さがポイントになっていますが、この曲のラジオのピークは34位と低め。代わりにストリーミングでかなり長い間愛されたことによってここまでのロングヒットとなったのだと思います。リリースから約10ヶ月経ってからアルバムチャートでピークを更新するなど、ストリーミングを中心に長く愛されているPost MaloneのアルバムStoney。CongratulationsはそのStoneyのエース級のトラックなので、それがここまで長くストリーミングで上位に入ってきた理由でしょうか。

Hot 100でのピークは8位ですが、ここまでのロングヒットとなったので、年間チャートでは週のピークが8位とは思えぬような高水準な成績を記録すると思われます。果たしてどこまで行けるか……

 

36 Bruno Mars – That’s What I Like (↓)

Shape of You、Despacitoの2大巨頭に隠れがちですが、このThat’s What I Likeもなかなかの好成績を残した一曲。Hot 100で1位を取ったのは1週だけですが、トップ10に28週滞在し(Despacito(25週)よりも長い)、歴代で7番目にトップ10滞在に!*3

ラジオでは従来から人気だったポップ系ラジオだけでなく、ヒップホップ/R&B系ラジオでも初の1位を獲得するなど、活躍の幅を広げつつ優秀な成績を記録していました。

※先週の記事で言ったように、MacklemoreのGloriousが50位にすら入らない、ポップス寄りの音楽に厳しい(?)ヒップホップ/R&B系ラジオで、従来ポップス系で活躍していたBruno Marsが1位を取る(=認められる)というのはかなり偉業だと思います。

 

31 Lil Uzi Vert feat. Oh Wonder (& Nicki Minaj) – The Way Life Goes (↑)

Nicki Minajリミックスの追加で浮上。Lil Uzi VertのThe Way Life Goesが31位まで浮上。今週から客演に追加されたOh Wonderはこの曲のサンプリング元となったロンドンの男女デュオです。彼らのLandslideという曲をかなりの割合でサンプリングしたので客演に名前を追加したのだと思います。これがOh Wonderの飛躍につながれば面白いですね。

※Lil Uzi Vertも今回の記事サムネのMetro Boominと組むことがあり、彼の初のトップ40(客演ではなく自身の曲での)、You Was Rightや、客演で大ヒットしたBad and BoujeeはMetro Boomin担当でした。また彼のアルバムLuv Is Rage 2でも一曲プロデュースを担当しています。「レオナルド・ディカプリーオ (カシャ)」のフレーズがあるXです。

 

27 Taylor Swift – Call It What You Want (New)

ダウンロード今週1位のCall It What You Wantが27位で登場。...Ready For It?が19位→30位、Look~が34位→37位、Gorgeousが69位→85位とTaylor Swiftのシングルは軒並み順位を落としていますが、アルバムのリリースが反映される来週のチャートではある程度順位を巻き返すのでしょうか?ちなみにストリーミングではアルバム曲が公開されておらず、またiTunesでもシングル単体では買えないので(アルバムのみ)大量エントリーはあまり期待できません。

※その代わりラジオではガンガンアルバム曲をかける予定のようです。アルバム曲のうち一番人気のEd Sheeran、FutureとのEnd Gameはラジオの成績だけでHot 100に入れる可能性もわずかにあるか???

 

26 Ed Sheeran – Shape of You (↓)

歴代最長のトップ10滞在33週を記録した後も、ラジオを中心にポイントをキープし大崩しなかったEd SheeranのShape of You。Despacitoが1位陥落後はそこまで長く上位に留まらなかったこともあって、年間チャートの1位は結局このShape of Youな予感が。終盤の粘りが効きました。

現在44週目で26位のこの曲ですが、「53週目以降の曲は26位以下に落ちたらチャートから外れる」という事実上の“53週目以降の曲を許さない“ルールの壁を突破する可能性もありそうですね。このルール実施以降この壁を超えたのはUptown Funkのみです。現在44週目で26位というと厳しそうですが、53週目付近はグラミーが盛り上がる時期なので、Shape of Youが何らかの賞にエントリーすれば25位以上に入れるのではないでしょうか。

 

9 Maroon 5 feat. SZA – What Lovers Do (↑)

アルバムリリースのタイミングで見事トップ10入り。What Lovers Doが9位に浮上。Maroon 5にとっては13曲目、SZAにとっては初のトップ10。何回か敢行している値引きによるダウンロード上昇とラジオの従来からの好調が要因ですかね。

個人的にこの曲で注目しているのはソングライターのStarrah。Havanaでもソングライトを担当していて、今週彼女が携わった2曲がトップ10に入っているということに。R&B~ポップスを巧みにつなぎ合わせている印象のあるソングライターで、今後の活躍にも期待です。過去のNeeded Me、Fake Loveと合わせて計4曲をトップ10に送り込んでいます。Calvin Harrisの今年のアルバムでも5曲でソングライトを担当しています。

 

※そのHavanaなのですが、先週の木曜日頃からiTunes値引きを行っており、その効果が本格的に現れる来週のHot 100で1位を取るかもしれないです。Daddy Yankeeリミックスもリリースされある程度ダウンロードされています。対抗馬のrockstarも値引きしているのですが、Havanaのほうが明確に伸びているみたいですね。

 

4 Sam Smith – Too Good At Goodbyes (↑)

今週の1位アルバムの先行シングル、Sam SmithのToo Good At Goodbyesが4位に浮上。登場週に記録したピーク5位を更新しています。他にアルバムからはPrayが今週82位で再登場しています。

ポップス系アルバムとしては上々の数字(ストリーミングやダウンロードも含む「総合セールス」)を記録していて、Ed Sheeranの÷ (45.1万)、P!NkのBeautiful Trauma (40.8万)に次ぐ23.7万を記録。ちなみに来週Taylor Swiftが初週100万超えのぶっちぎりの成績をマークする見込みで、ポップスで1番人気なだけでなく今年のアルバムで最もロケットスタートしたアルバムとなりそうです。

全体でもKendrick LamarのDAMN.(60.3万)、DrakeのMore Life(50.5万)、Ed Sheeran、P!nkJay-Zの4:44(26.2万)、LogicのEverybody(24.7万)に次ぐ成績で、なかなかの好成績を残したといえます。

 

※アメリカでもこのレベルの成績を残したので、母国イギリスではもちろんアルバム1位。アメリカではシングルチャートに2曲しか登場しませんでしたが、イギリスでは大量の?曲が登場!…………と言いたいところですが、イギリスには「同一アーティストの曲のエントリーは3曲まで」というルールがあるので、Too Good At Goodbyesが3位、Prayが26位、One Last Songが27位。この3曲がイギリスのシングルチャートに入りました。

ストリーミングの数字を参考にすると、おそらく7曲前後がこのルールによってシングルチャート入りを阻まれています。要はボートラ以外全てがイギリスのシングルチャートに入れるぐらいのポテンシャルを持つアルバムということなのです。*4

 

× Khalid – Location (↓)

ピーク16位ながらも43週とかなりのロングヒットとなったKhalidのLocation。現在1-800-273-8255やSilenceの客演、そしてYoung Dumb & Brokeのヒットなど大活躍中の彼ですが、最初に注目を集めたのはこの曲でした。

ラジオとストリーミングでバランスよくポイントを取っていた印象があります。ポップ系・アーバン系などの幅広い系統でかかりましたが、中でもアダルトR&B系ラジオでは人気で今週もまだこの系統では2位です。

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Camila Cabello feat. Young Thug - Havana

今週最もダウンロードが上昇した曲 Maroon 5 feat. SZA – What Lovers Do

今週最もストリーミングが伸びた曲 21 Savage, Offset & Metro Boomin feat. Travis Scott – Ghostface Killers

最も高い順位で新登場した曲          Taylor Swift – Call It What You Want

 

 

今週チャートから外れた曲 (9曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Chris Brown feat. Future & Young Thug – Hige End (🗻100位 /⏰1週)

99 Kip Moore – More Girls Like You (🗻66位 /⏰12週)

98 Devin Dawson – All On Me (🗻98位 /⏰1週)

97 Kenny Chesney – All The Pretty Gilrs (🗻63位 /⏰14週)

96 Quality Control feat. Quavo, Takeoff & Offset – Too Hotty (🗻91位 /⏰4週)

95 Niall Horan – Too Much To Ask (🗻66位 /⏰3週)

93 Jacquees – B.E.D. (🗻69位 /⏰13週)

92 Jon Pardi – Heartache On The Dance Floor (🗻47位 /⏰18週)

48 Khalid – Location (🗻16位 /43週)

 

 

来週以降にHot 100に入るポテンシャルを持った曲をピックアップしました

 

Sofi Tukker feat. NERVO, The Knocks & Alisa Ueno – Best Friend

 

iPhone XのCMで使用されている曲で、植野有砂という日本人のシンガー/モデルが参加!ビルボードのポップ系チャートにはまだ入っていないものの、少しずつポップ系ラジオ・オルタナティブ系ラジオで上昇中、さらにiTunesでも地道に上がってきているので、Hot 100との距離を少しずつ縮めていっていると思います。

史上9人目の日本人のHot 100エントリーがこの曲で達成される可能性は十分にありそうです。ラジオで伸び始めているのは大きいです。

 

Famous Dex feat. A$AP Rocky – Pick It Up

今週Hot 100に登場したYBN Nahmirと同じようにApple Music、Spotify両方で上昇中のPick It UpもそろそろHot 100に登場しそうです。

 

 

 

*1:客演を含むと、Justin BieberとのAs Long As You Love Meと並んで最高タイ、Ariana Grandeと交際していた時にProblem(2位)でささやきを担当していた彼ですが、それはfeat.表記されていないのでノーカウント

*2:深い意味は無いと思いますがね……

*3:ただしこのトップ10長期滞在記録は最近の曲が多い=最近はトップ10長期滞在がしやすくなった、ので過信はできない。トップ10長期滞在しやすくなったのは、ラジオ+ストリーミングとロングヒットの要因になり得る期間が増幅したからでしょうか??

*4:「新しい曲や新しいアーティストに枠を空ける」目的で始まったこのルールですが、個人的には実は少し懐疑的なんですよね……もちろん新曲・新人サポートの狙いは分かるのですが、方法はそれで良いのか?という気がします。例えば新曲・新人の両方に当てはまる新進気鋭のグライムアーティストの曲が何曲も外れるようなケースもあり、狙いと外れたところでルールが適用されていることもあります。たしかに、アルバム曲じゃなくて「シングル」にフォーカスしたチャートを作りたいという意図は分かりますが、アーティスト単位で曲数を制限するのはピンと来ませんね……最近はアーティスト側が決めた「シングル」と違う曲がストリーミングで人気になったりしますし……

Pigeons & Planes が疑問を呈す? ビルボードのストリーミング新ルールとは

※この件に関して情報を調べているうちに、考えていることが変わったので、一部内容を改めました。 (2018/6/28)

 

 10月に、ビルボードは2018年からストリーミングの集計に関して新ルールを設けることを発表しました。

  

 ルール変更を要約すると、「ストリーミングサービスのうち、自由選択型(オンデマンド)のサービスを集計する際、有料会員の再生と無料会員の再生の比率を調整する(有料会員のほうの比重が高い)」というものです。

 

 

 2018年の5月には、この変更が正式発表され、具体的な数値も発表されました。ここで発表された主なことは……

・Hot 100では、広告ありのストリーミングは2/3に減算して集計される

・アルバムチャートでは、広告「なし」ストリーミングは1250再生=1アルバム、広告「あり」ストリーミングは3750再生=1アルバム売上と集計されるように

*1

・この変更は7/14つけの各チャートから適用される

 

 ビルボードはプログラム型ストリーミング(Pandoraなど。○○ラジオを選択し、選曲はサーバー側が行うようなもの)と自由選択型(Apple Music、Spotifyなど・通称オンデマンド)の再生を区別するなどストリーミング集計の中でも細かな調整を行い、「この国で最も人気の曲を提示するためのチャートを作る」という理念にできるだけ近づけるような努力を行っています。

 

 

 しかしその新ルールに疑問を呈したのは、音楽サイトPigeons & Planes です。以下のような記事で新ルールと合わせてビルボードの進む方向性について言及しています。

 この記事で述べていることを要約すると、

ビルボードは『この国で最も人気の曲を提示するためのチャートを作る』と言っているが、その道から外れているように思う。この有料/無料を区別するルールを導入すれば、ストリーミング数が最も多いYouTubeのチャート上の影響力が落ちてしまう。ストリーミング数が最も多いサービスの影響力を下げて、『この国で最も人気の曲を提示するためのチャート』になり得るのか?価格を参考にする新ルールは、最も『人気』ではなく、最も『売れている』曲を提示するチャートになってしまう」

 

 Pigeons & Planes が述べるように、ビルボードのストリーミングの新ルールは「最も人気」の方針から外れたものなのでしょうか?

 

これに対する個人的な見解としては、

ルール自体は適切!しかしビルボード側の説明が少し足りないように思う

 

 です。今回の記事では、このルールが適切な理由と、その説明を私が少し付け足そうと思います。

 

 なぜこのルールが適切なのか?

 

このルール変更を伝えるビルボードの記事内でこのような記述があります。

“The shift to a multi-level streaming approach to Billboard’s chart methodology is a reflection of how music is now being consumed on streaming services migrating from a pure on-demand experience to a more diverse selection of listening preferences (including playlists and radio), and the various options in which a consumer can access music based on their subscription commitment.

 

 この文を要約すると「このルール変更は、人々がストリーミングサービスで”どのように”音楽を消費するかにまで着目し、チャートに反映させようというもの」です。

 

 この文から何が分かるのか?というと、「ビルボードは同じストリーミングでも、サービスごとに聴き方に違いを感じ、さらにルール変更が必要と考えた」ということです。ビルボードは正確なチャートのために個人の細かな動きまで注目しているのです。

 

 しかし、なぜ有料 / 無料に違いが生じるのか。

 まず、分かりやすい点は支払われる値段がかなり違うからです。ストリーミングの代表サービスの一つにYouTubeがありますが、これはよく「稼げないプラットフォーム」と呼ばれています。

 The Trichordistというサイトが各ストリーミングの1再生あたりの収益額をまとめています。

f:id:djk2:20180624233411p:plain

 

 この表を見ると、YouTubeは圧倒的に収益額が低いです。この表を引用して記事にしたDigital Music Newsは"Once again, don’t ever expect to make money on YouTube."と小見出しをつけて、YouTubeがいかに稼げないかを取り上げています。

 おそらく、Pigeons & Planesもこの稼げる / 稼げないのポイント「のみ」でこのルール変更が行われたのだと考え、「人気度を測っていないのでは!」と疑問を呈したのだと思われます。

 

 しかし、ルール変更が行われたのはこの点以外にも理由はある、と私は考えています。

 先に述べたようにプログラム型(プレイリスト・ラジオを選んで選曲はおまかせ)とオンデマンド型に違いがあるのは、少しわかりやすいと思います。プログラム型は選曲が自由にできないぶん選曲が受け身になってしまうので、能動的な選曲ができるオンデマンド型と比べて1再生の「重み」が少し違うということが分かると思います。

 個人の動きに注目すると、プログラム型では「なんとなく」でも聴ける可能性があり、プレイリストを探すなど最低限の能動的行動が必要なオンデマンド型とくらべて比率を調整されている、というわけです。まあ、オンデマンド型にある「ラジオ」機能はどう集計しているのかは不明ですが (例:Apple Musicのラジオ

 

 実は、今回有料 / 無料を区別したのもこれに近い理由があると思われます。

 今回の「区別」によって「格落ち」した2大サービスにYouTubeSpotify無料会員が挙げられます。これらはビルボードに「広告支援型無料ストリーミング」と判定され、記事で「格落ち」が明言されています。この2大サービスではどのような音楽の聴かれ方がされているのか?ということを分析していきます。

 

 まずYouTubeから分析していきます。現在Hot 100で勢いのある、HavanaをYouTubeで聴こうとした場合の事例を挙げます。以下の図は、YouTubeでHavanaを検索し、聴いている風景のものです。

f:id:djk2:20171113233923p:plain

 

 この図には手書きの数字がいくつかありますが、これは「オススメ」の数を表しています!なぜ「オススメ」の数をピックアップしたのでしょうか?

 まず①の「次の動画を自動再生」から説明していきます。私の場合はこの機能をオフにしていますが、これをオンにするとずっと曲をかけ続けることも可能です。つまり最初の曲さえ選んでしまえばラジオ感覚で使うことも可能なのです!最初に1曲選んでしまえば、残りはプログラム再生ストリーミングと同じような聴き方ができる。つまりこの「オススメ」の数が多ければ多いほど、受動的な選曲ができるようになり、プログラム型に近いストリーミングが実現可能になるのです。先に結論を言いますが、ビルボードはそこに目をつけたのだと思います。この機能を何割のユーザーがオンにしているかは不明ですが、最初は自動でオンになっているので、ある程度はオンにしたままの人もいるのではなでしょうか。(これに関するデータを知っている人がいたら教えてください)

 

 次に②のミックスリストです。先の①の応用編で、次の次など最初から最後までが見えるタイプのラジオです。こちらの選曲もプログラムなので、かなり受動的です。ただ気に入らない曲を飛ばすことなども可能なので、ある程度は能動的な再生で使われる場合もあると思います。

 

 ③。これは閲覧履歴に基づくオススメです。今回の場合は現在ヒット中のHavanaに対してHit Songs Novemberなので関連性がありますが、今見ている動画と全く関係の無い動画がサジェストされることも多々あります。変な動画がサジェストされて、急に見たくなることもあるかもしれません。

 

 ④は新着重視のオススメです。比較的新しい動画に「新着」のアイコンをつけて気を引いています。

 

 ⑤は何かというと、そもそも「オススメ」欄があることに注目しています。関連動画の「オススメ」を辿っていると気づいたら朝になっていた…………というのはYouTubeの醍醐味の一つですねかね?朝にまではならなくても、現代の「時間泥棒」の代表例の一つだとは思います。YouTubeは「オススメ」がかなり強いという印象はあるかと思います。

 ほか、YouTubeには上がっている曲の種類が限られていることからか、先の収益表では、YouTubeは特定の曲にストリーミングが集中することが示唆されています。"Streams Per Songs"のところ(逆に非公式リリースの曲もあったりしますが)

 

 では、今回「格落ち」しなかった全員が有料ユーザーのApple Musicと比較してみましょう。同じくHavanaで検索しました。そして検索結果の1番上を押すだけでHavanaが再生します。これが終わると次の曲がかかりません。次なる「能動」を求められます。一応、下に行くと関連プレイリスト等も出てきますが、「オススメ」があまり前面に押し出されていません。

f:id:djk2:20171113234041j:plain

 

 また、シングル単位のページに行っても、そこで「オススメ」されるのは同じくCamila自身のシングル程度で、ここでも「オススメ」がゴリゴリ前面に出てくることはありません。

 

f:id:djk2:20171113234128j:plain

 つまりYouTubeは「オススメ」がかなり前面に押し出されているため、ユーザーが受動的な再生を繰り返す可能性がある。それは能動的な再生と比べて「重み」が違う。

 そのことにより、YouTubeはプログラム型と同じように比率を下げることにした、という理由もあるのだと思います。

 

 では、Spotifyの無料版についてはどうでしょうか。SpotifyApple Musicと同じオンデマンド型のストリーミングなので、「有料版ならば」機能にそこまでの違いが出ません。同じく基本的に能動的な選曲を経て、曲を再生していきます。Spotifyのほうがプレイリスト重視なので、どちらかというと受動的かもしれませんが。しかし、無料版では話が違います。

 選曲時点では能動的な選択をとるのですが、なんと無料版では「自由に選ばせてくれない」のです!これは、どういうことかというとSpotifyは無料版だと「シャッフルプレイ」しかできないのです。じゃあ、シングル単体を選べば良い?それは再生してくれないです……

(ちなみに、あまり知られていませんが、デスクトップ版アプリならば課金していなくても、普通に課金版と同じように自由に選曲ができます!PC持っている人にはかなりオススメです、これ!)

 つまり、Spotifyの無料ユーザーがお目当ての曲を聴くためには、その曲が入ったプレイリストなりアルバムを選択し、そのお目当てを「引く」まで違う曲を早送りするか聞くかしなくてはならないのです。つまりお目当て以外はしょうがなく聴く「受動的」であるとも言えるのです。もちろん「しょうがない」という意識はなく「偶然の出会いを楽しむ」という意識もあるとは思いますが、受動的であるのは確かだと思います。

 

 ちなみに今年起こったPost Maloneの1年前のアルバムの非シングルが人気になった現象は、Spotify無料ユーザーが一部寄与したかもしれません。大人気の新曲rockstarを聴こうとした無料ユーザーが、Post Malone入りプレイリストを探し、rockstarを引く過程で聴いたI Fall Apartにハマるというような……

 

 

まとめ

 「格落ち」した2大サービスの聴かれ方から、今回のルールの意味合いがおわかり頂けたでしょうか。

 

・基本的には、収益に目をつけたルール変更だと考えられがちですが、それだけではなく「聞き方」にもある程度フォーカスしたルール変更(と思われる)

 

 これがこの記事の結論です。

 つまり、Pigeons & Planesの言うところの「人気曲を提示できていない!」という論は、個人的には「そうでもないかな」と思います。

 「YouTubeでも能動的な奴は多いだろ!」とか、「そもそも能動的も受動的も区別する必要はない!」など、もちろん多少の穴はあるとは思います。

 しかし、個人的には意外なところに目をつけストリーミングのバランスを巧みにとる、調整で、「さすがビルボード」と思いました。

 ただし、比率の変更がかなり大きいので、実際にこの変更が有効かどうかは今後、要観察ですね。

 

 

*1:↑ちなみに広告「あり」の再生数が25%以上を閉めると、かつてよりもストリーミングのアルバム換算が落ちて、逆にそれより低いと、かつてよりもアルバムチャートにおけるストリーミングの影響力が強くなります

11/10 リリース新曲/新作の初動を観察 【ストリーミングに無いテイラーのアルバム / Hot 100で首位を争う2曲が値引き!】

f:id:djk2:20171111213142p:plain

今週の目玉はテイラーの新アルバム。爆発的なセールスで圧倒的なアルバム1位を記録する見込みですが、ストリーミングではまだアルバムが流さないようです。

Lordeの話題に少し触れるので、この写真をチョイスしました。まあ、当人は「テイラー軍団」を離れたとの報道がありましたが!

 

Spotify デイリーのアメリカトップ10 (金曜日=11/10)

1 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
2 Lil Pump Gucci Gang
3 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
4 Post Malone I Fall Apart
5 Sam Smith Too Good At Goodbyes
6 Logic feat. Alessia Cara & Khalid 1-800-273-8255
7 21 Savage  Bank Account
8 Offset, Metro Boomin Ric Flair Drip
9 G-Eazy feat. A$AP Rocky & Cardi B No Limit
10 A$AP Ferg Plain Jane

 

1位は変わらずrockstar。Hot 100でそのrockstarの対抗馬となっているHavanaも3位と好調。Sam SmithのToo Good At Goodbyesがアルバムリリース以降調子を上げています。21 Savage, Offset, Metro Boominの3名によるミックステープからの一番人気がGhostface KillersからRic Flair Dripに変わりました。Ghostfaceが現在Spotify20位、RicがSpotify8位。

そして9位、10位にはNo Limit・Plain Janeが浮上。両方ともThree 6 MafiaのSlob On My Knobリスペクト(サンプリング?)の曲となっていて、聴き比べると類似点が見つかると思います。ストリーミングでの数字がグングン伸びている両者ですが、ラジオでかかっている量の多いNo LimitのほうがHot 100ではかなり順位を伸ばしています。

 

② 新曲/新アルバムからのシングル アメリカSpotifyデイリー順位 (金曜日)

19 Eminem feat. Beyoncé Walk On Water
✫29 Taylor Swift Call It What You Want
✫51 Taylor Swift ..Ready For It?
✫53 Taylor Swift Look What You Made Me Do
✫54 Taylor Swift Gorgeous
56 Nav feat. Lil Uzi Vert Wanted You
75 Wiz Khalifa Letterman
82 G-Eazy The Plan
87 Ty Dolla $ign & Future feat. Kiiara Darkside
117 Jason Derulo feat. French Montana Tip Toe
124 Wiz Khalifa feat. Casey Veggies Royal Highness
✧160 Eminem Lose Yourself
165 T-Pain feat. Tiffany Evans Textin' My Ex
170 Rich Chigga feat. 21Savage Crisis
174 Wiz Khalifa Figure It Out
188 6ix9ine GUMMO
194 Wiz Khalifa Weed Farm
198 Big Shaq Man's Not Hot

 

まずはアルバム関連から。Wiz Khalifaのミックステープから75位のLettermanをはじめとして4曲がSpotify 200位圏内に。「Spotifyに公開された」アルバム群の中では一番人気です。ただ、今週のアルバム一番人気はもちろんTaylor Swift。

今回はストリーミングではアルバムをしばらくは公開しない方針のようです。長く音源が上がっていなかった*1Spotify参考)に加え、かつて1989を先行リリースし、CMにも出たApple Musicでもアルバムを公開していないようです。

それでもストリーミングに対しても影響力を持っており、先行リリースされていた4シングルはいずれもSpotify内で順位を上げています。行動の一つひとつが注目を浴びるテイラーだから成せる技でしょうか。これが長い目で見てうまくいくかは分かりませんが……実際”Look"も歴代屈指のスピードでチャートを急落下しているわけですし……(参考

ちなみに仮にSpotifyにアルバム音源が全て上がるのだとしたら、女性アーティストとしては珍しい(年1ペース)「Spotify200位圏内にアルバム全曲が入る」という記録を達成しそうな感じはありました。一応Spotifyにアルバムが公開されたタイミングで何曲がSpotify200位圏内に登場するかは見ものですね。

ちなみに2015年Selena Gomez、2016年Rihanna、2017年Lorde がアルバム全曲をSpotify200位圏内に入れています。ちなみに男性アーティストは今年だけで20のアルバムが全曲をSpotify 200位圏内に送り込んでいます……今回のテイラーだけではなくAdele・Beyoncéなど有力な女性アーティストがSpotifyに音源をリリース時に公開しないことがあるのも理由の一つかもしれませんが、それは少数派なので、総合的に見ると「女性はSpotifyで不利」という評価になる気がしますね……いつかそれが覆される日は来るのか?注目のテーマだと思います。

 

一方、シングルで最も注目を集めたのはEminemの新曲。ゲストもBeyoncéで驚きの超大物同士のコラボに。Stanに言及した歌詞の面でも注目されています。アルバムのリリースは11/17、つまり1週間後に予定されていて、本当ならばかなりの緊急リリースですね。真偽は微妙ですが、Adele、Chance the Rapper、The Weeknd、Vince Staplesらの客演が噂されているようです。

この曲ではLove The Way You Lieで起用されたソングライター、Skylar Greyが再び起用されています。プロデューサーはRick Rubin。また、それに伴いLose Yourselfが160位が再登場。これはこの曲の「特需」というよりは、元々からそこそこ再生されている曲に少しプラスアルファが乗って200位圏内に入ったという感があります。(リリースから日が経っていますがLose Yourselfは約3年間で計600日以上Spotify200位圏内に入り続け、今も健在なアンセムなので) 同様に'Till I Collapseも154位に上昇しています。 (参考↓)


ほかにも複数ヒップホップ界隈の注目シングルが。NavとLil Uzi Vertのシングル、映画サントラのTy Dolla $ign + FutureのDarkside(とはいっても主役は客演のKiiaraな気がします)、来月のアルバムリリース情報が出たG-Eazyの新曲The Plan、インドネシア出身のラッパーRich Chiggaと21 SavageのCrisis、イギリスで絶好調のMan's Not Hotがアメリカ上陸など。

 

 iTunesアメリカップ10+新曲の順位 (金曜日)

1 Eminem feat. Beyoncé Walk On Water
2 Keith Urban Female
3$ Camila Cabello feat. Young Thug Havana
4 Ed Sheeran Perfect
5 Imagine Dragons Thunder
6$ Post Malone feat. 21 Savage rockstar
7 Chris Stapleton Broken Halos
8 Sam Smith Too Good At Goodbyes
9 Taylor Swift ..Ready For It?
10 Maroon 5 feat. SZA What Lovers Do

 

1位は前述のEminemが。超大物2名のコラボとなれば自然と注目が集まるでしょう。2位はオーストラリアのカントリー歌手Keith Urbanの新曲。この曲は金曜日の少し前からリリースされていたようですね。

そして注目はHavana、rockstarが両方値引きを敢行したこと。Hot 100の1位争いを左右しそうな勝負どころでの値引きですが、現状ではまだ先週までの差が維持されたような感じです。(元からHavanaのほうがダウンロードではリードしていた) ここからHavanaがさらに差を広げるのか、あるいはrockstarが食いつくのかHot 100の1位争いに影響を及ぼしそうな値引きシングルの動向にも注目です。

 

✫11 Taylor Swift  Look What You Made Me Do
15 Taylor Swift Call It What You Want
21 Mat Kearney feat. Afsheen Better Than I Used to Be
31 Taylor Swift Gorgeous
40 Miranda Lambert To Leran Her
46 Jennifer Lopez feat. Wisin Amor, Amor, Amor
47 Ty Dolla $ign & Future feat. Kiiara Darkside
50 Remy Ma feat. Lil' Kim Wake Me Up
52 Nav feat. Lil Uzi Vert Wanted You
57 Luke Bryan O Holy Night
71 Bastille World Gone Mad
72 Danielle Bradbery Worth It
81 Mariah Carey All I Want For Christmas Is You
91 Jason Derulo feat. French Montana Tip Toe
100 Greta Van Fleet Edge of Darkness

 

テイラーのシングル群がSpotifyのように上昇しているのですが、アルバムでの新曲が浮上しておらず、おそらくiTunesでもシングル単体では買えず、アルバムのみで聞ける!という対応にしているのでしょう……(少なくとも日本ではそうです)

ほかJennifer Lopezの新曲、映画The Brightのサントラからの2曲など。

 

iTunes アルバム順位 (アメリカ)

1 Taylor Swift reputation
2 Evanescence Synthesis
3 Sam Smith The Thrill of It All
4 Greta Van Fleet From the Fires
5 Upchurch King of Dixie
6 WALK THE MOON What If Nothing
7 Chris Stapleton From A Room: Volume 1
8 P!nk Beautiful Trauma
9 Wiz Khalifa Laugh Now, Fly Later
10 Tracy Lawrence Good Old Days

 

テイラーが余裕の1位。iTunesのほかCDでも莫大な売上があるようで、ストリーミングが無くてもアルバム争いは余裕のようです。今後ストリーミング無しで、どこまで上位をキープするかが見どころですかね。

ほかHot 100でのトップ10入り歴があるバンド、Evanescence、WALK THE MOONの新アルバムなど。

 

⑤現在ラジオで上り調子の10曲

9 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
12 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
2 Imagine Dragons Thunder
33 Garth Brooks Ask Me How I Know
18 Ed Sheeran Perfect
50 Dua Lipa New Rules
26 Halsey Bad At Love
34 Luke Bryan Light It Up
44 Kendrick Lamar feat. Zacari LOVE.
43 Blake Shelton I'll Name The Dogs

 

こちらでもHavanaとrockstarの1位争いが展開。Havanaのほうがラジオで一歩リードのようですが、果たして……ほかHot 100では既に姿を消しているKendrick LamarのLOVE.が上昇しています。

 

⑥各ラジオ局で今週かかりはじめた曲

✫ポップ系

47 Alex Aiono Dose It Fell Like Falling
50 Lorde feat. Khalid, SZA & Post Malone Homemade Dynamite

Lordeのシングルがポップ系のラジオでかかり始めています。今回のアルバムからのシングルは軒並みオルタナティブ系ラジオで人気だったのですが、そのオルタナティブ系ラジオよりも先にポップ系ラジオでかかり始めているようです。規模の一番大きいポップ系ラジオで人気に火が点けば、Hot 100での上昇が見込めます。個人的に期待のシングルです。

 

✫アダルトポップ系

45 Magic Giant Window
48 WALK THE MOON One Foot
49 Selena Gomez & Marshmello Wolves
50 Goo Goo Dolls Boxes

WALK THE MOONの新曲がこの系統に登場。Shut Up And Dance以外Hot 100に入った曲が実は無いのですが、ラジオでじわじわ数字を伸ばして久々のHot 100入りなるか?

 

✫リズミック系

43 N.E.R.D & Rihanna Lemon
47 Halsey Bad At Love
48 Ty Dolla $ign feat. YG Ex
50 The Game feat. Jeremih, Young Thug & Sevyn Of I

N.E.R.D.の新曲が快調に数字を伸ばしています。Halseyは着実にラジオの系統を広げていて、連続のラジオヒットとなっています。

 

✫アーバン系

45 A1 feat. Chris Brown & Ty Dolla $ign Always
46 XXXTENTACION Jocelyn Flores
47 Hardo Today's A Good Day
49 Blac Youngsta Booty

Hot 100では長く中位にランクインしているJocelyn Floresがついにラジオで登場。

 

✫カントリー系

37 Keith Urban Female
44 Jon Pardi She Ain't In It
47 Blake Shelton why Me
48 Justin Moore Kinda Don't Care
50 Lndsay Ell Waiting On You

前述のKeith Urbanの新曲が好調です。

 

*1:Katy Perryのアルバムがリリースされる週に音源を上げるという、エグイまでの「戦略家」ぶり

Hot 100 11/18 見どころ 【古巣越えを果たしたCamila Cabello、次なる目標は……】

f:id:djk2:20171108215503j:plain

Fifth Harmony時代のピーク、Work From Homeでの4位を越える2位をHavanaで今週記録したCamila Cabello。古巣を越えたCamilaですが、どこまでビッグになれるのか??ほかハロウィンのミックステープ2つ、2000年生まれのトップ10など

 

 

98 Devin Dawson – All On Me

カントリー歌手のDevin DawsonのAll On Meが98位で登場。初のHot 100です。カントリー系ラジオでの上昇によるHot 100入りです。ほか先々週にHot 100に登場したAsk Me How I KnowとYou Broke Up With Meも同じくカントリー系ラジオでの好調によりHot 100に再登場しています。

※今週はFuture・Young Thugのミックステープからの曲が5曲圏外に落ち、また70位の2曲がルールにより外れた影響もあって、Hot 100下位の「枠」がいくつか空きこの2曲を含む5曲が再登場。Becky GのMayoresと、Chris BrownのHigh End、MacklemoreのGood Old Days。

 

72 Macklemore feat. Kesha – Good Old Days

Macklemore・KeshaのGood Old Daysが72位で再登場。ラジオの上昇によりアルバムリリース時以来のHot 100に。現在ポップ系 / アダルトポップ系 / リズミック系(ポップとアーバンの中間のような局)の3系統でかかっていますが、中でもポップ系で一番人気のようです。

※音楽ジャンルで分けるとラップのMacklemoreですが、あまり Hip-Hop/R&B系=アーバン系のラジオには縁がなく、前アルバムの時期ぐらいからアーバン系ではほぼかかっていません。主戦場はポップ系ラジオ。

2013年に大ブレイクしていた時もThrift Shopがアーバン系ラジオ34位・Can’t Hold Us45位とそこまで上位には入っていませんでした。ポップ系ラジオでは両方1位になっています。ちなみになぜかThrift Shopはロック系ラジオの1系統・オルタナティブ系ラジオで14位まで到達しています。

(ラジオの参考データ) Macklemore & Ryan Lewis Chart History | Billboard

 

57 21 Savage, Offset & Metro Boomin feat. Travis Scott – Ghostface Killers

10/31のハロウィンにラッパー二人21 Savage・Offset+プロデューサーのMetro Boominのミックステープ・Without Warningが緊急リリースされました。リリースが火曜日で集計が3日分だったにも関わらず短期間で多くのストリーミングを記録し、Hot 100に4曲を送り込んでいます。94位にMy Choppa Hate N***s (21 Savageのみ)、74位にRap Saved Me (客演Quavo)、71位にRic Flair Drip (Offsetのみ)、そして57位にGhostface Killers (客演Travis Scott)。集計が短め・かつ緊急リリースでもストリーミングでHot 100にここまで入るとは、この面々の勢いを感じます。内容も充実していて(Metro Boominのビートが天才的)、音楽批評メディアPitchforkも8.0と高めの点数を付けています。*1

このミックステープは今週のアルバムチャート4位に食い込んでいます。

21 Savage / Offset / Metro Boomin: Without Warning Album Review | Pitchfork

 

51 Chris Brown feat. Yo Gotti, A Boogie Wit da Hoodie & Kodak Black – Pills And Automobiles

上記のミックステープと同じくハロウィンにリリースされたChris Brownのアルバム。こちらは緊急リリースではなく前もって告知されていた「スタジオアルバム」。彼にとって8枚目のアルバム。上記のミックステープほどではないものの、それなりのストリーミングを記録していて3曲がHot 100に。100位にHigh End (客演Future・Young Thug)、79位にQuestions、51位にこのPills And Automobilesが。上のミックステープとは違って緊急リリースではなく、ラジオで既にポイントを得ているため、Hot 100の順位は高めになっています。こちらはアルバムチャート3位です。

※アルバムの収録曲数に関わらず、1500ストリーム=1アルバムセールスとアルバムチャートで計算されるため、アルバムの曲数が多ければ多いほど現行のアルバムチャートでは有利。Chris Brownの今回のアルバムはデラックス含めて45曲(含めなくても40曲・2枚組)なので、かなり「得」しています。一時期Apple Musicの1位~5位を独占するような圧倒的なストリーミングを記録した上記のミックステープ(10曲)を僅かに上回るストリーミング(とセールス)をChris Brownのアルバムは記録しているようです。*2

 

47 Kelly Clarkson – Love So Soft

同じくアルバムリリースのKelly Clarkson。先行シングルのLove So Softが47位に上昇。ラジオに加えてアルバムリリースによってダウンロードが少し増えましたが、わずかにトップ40に届かず。ラジオの上昇も止まってきたことから、あまり伸びシロは期待できないか……アルバムチャートでもカントリー歌手Kenny Chesneyに敗れ2位に。

※Kenny Chesneyのアルバムはライブチケット付きのライブアルバムで、Kelly Clarksonにダブルスコアを付けているようです。セールス21,7000のうち19,7000はライブチケット付きのエディションのようです。ライブアルバムとしては2002年のPaul McCartney以来の規模のセールスです。アルバムにはTaylor Swift、Eric Churchなどが登場します。

また彼は今週97位にAll the Pretty Girlsという曲がランクインしていますが、この曲はそのアルバムには入っていません。

(参考記事)

 

35 Selena Gomez & Marshmello – Wolves

1週目:短期間集計 → 2週目:7日フル集計の流れで、「約束された上昇」をしたSelena GomezとMarshmelloのWolves。今週35位で、Marshmelloにとってはキャリア初のトップ40に。彼のSilenceは今週50位で依然としてトップ40に僅かに手が届きませんが……。尻すぼみに終わってしまったBad Liar・Fetishも序盤は好調だったので、最終的にヒットになるかどうか?を決めるのは序盤のペースをキープできるかにかかりそうです。少なくともチャート滞在20週は目指したいですね……

 

19 Taylor Swift - ...Ready For It?

今週34位 / 11週目と落下の止まらない”Look”に代わってシングル化された...Ready For It?が意地の上昇。今週の上昇はビデオ公開の効果が大きいでしょうか。ラジオでもそれなりのスピードで上昇していて、このまま順当に行けばリリース週以来のトップ10復帰ぐらいまでは行けるでしょうか。1位になるほどは勢いが無い気もしますが。(ストリーミングのピークはもう終わっている……)

ちなみに先週13位のGorgeousは69位へ。

※ビデオのリリースは10/26(木)、そして今週のチャート集計は10/27~11/2なので、ビデオの効果が一番大きく現れるのはおそらく今週。一応先週のチャート集計が10/20~10/26で先週のチャートにも効果は無くもないですが、メインは今週ですかね……。先週の記事で「ビデオ効果で……」と少し言及していたので、その点を少し訂正します。

 

14 Migos, Nicki Minaj & Cardi B – MotorSport

Migos・Nicki Minaj・Cardi BのMotorSportが14位で登場。彼らが得意とするストリーミングで上々の数字を記録しただけでなく、ダウンロードも5位と高水準の数字を叩き出したため、Hot 100で14位と快調なスタートを切っています。Offset + Cardi Bの婚約とほぼ同時タイミングのリリース、Hot 100でなかなか1位を取れないNicki Minaj、デビューシングルでHot 1001位を取ったCardi Bが同居していることなどから、曲以外にも注目される要素があったため、ダウンロードでも高い数字を記録したのでしょうか。

自身のシングルでは1位を取りましたが、Cardi BはNicki Minajのように客演でも今後活躍できるでしょうか。G-Eazy・A$AP RockyとのNo Limitも今週24位と好調です。

 

7 Lil Pump – Gucci Gang

ストリーミングでのグングン数字を伸ばし、ついに今週トップ10入り。Lil PumpのGucci Gangが7位に。10/23(月)にリリースされたビデオがさらなる追い風となり2週連続の大きなジャンプアップに繋がりました。ラジオ50位圏外・ダウンロード38位・ストリーミング2位とかなり偏ったポイントの取り方をしています。ストリーミングが上位にいるうちにラジオかダウンロードが上がって来られるかがカギです。

※ラジオは今週アーバン系のみで43位/1週目とまだ「かかり始め」の段階です。

Spotifyでより人気で、現在アメリカ2位のほかグローバル11位と奮闘しています。(Apple Musicではアメリカ9位、グローバルのデータは無し)

 

2 Camila Cabello feat. Young Thug – Havana

Camila CabelloのHavanaが2位まで上昇!Fifth Harmony時の最高位Work From Home(4位)を上回り「古巣越え」を達成。これでアメリカとイギリスの両方で古巣を越えたことに。(Work From Homeはアメリカ4位・イギリス2位 / Havanaはアメリカ2位・イギリス1位)

それぞれの離脱後第一弾シングル、 CamilaのCrying in the Club、Fifth HarmonyのDownはいずれも共倒れに終わってしまいましたが、このHavanaは大成功に。(Fifth Harmonyの次シングルHe Like Thatはポップ系ラジオではかかっているものの、まだHot 100には登場せず。調子も微妙?)

ソロ化以降、Sia、Pharrell Williams、Charli XCX、などの面々と曲を製作し、さらにはソロでCashmere Cat、Major Lazerなどの客演を努め、人脈も充実。さらにはワイルドスピードのサントラではスペイン語歌詞を歌い、最近のプエルトリコ支援シングルではラテン界の一員として活躍するなど「ラテン系スター」としての1面もあり、活躍の幅が広いです。この曲のHavanaも出身地キューバの地名で「ラテン」推しですかね。

このような幅広い人脈 + 支持基盤の広さ?からRihannaのような「世界代表ディーバ」になり得るポテンシャルがあるかも??まず目指すはHot 100の1位でしょうか。ラジオは引き続き急上昇しており、可能性は十分です。

ダウンロード:Havanaがリード、ラジオ:rockstarが一歩リードもHavanaが猛追(両方とも上昇中)、ストリーミング:rockstarがリード。果たして……?

 

× Justin Bieber & BloodPop – Friends

David Guettaとの2Uに引き続き、Justin BieberのFriendsは不調に終わってしまいました。(ピーク)20位 / 10週滞在と、2Uの16位 / 11週滞在をも下回る成績でした。今年は彼の新曲リリースが多すぎたせいでしょうか……実はひっそりこの曲のソングライターでもあるJulia Michaelsを新たにボーカルとして加えたリミックスバージョンをリリースしたのですが、あまり注目されずヒットには繋がりませんでしたね……

I’m the OneとDespacitoでは彼が客演に入ることで曲に対する注目度を高め、Hot 100で1位を取るような大ヒットに導いた彼ですが、後半は失速。この曲での悪い流れを今後引きずらないか心配ですが果たして……

※客演ではなく彼メインの名義で微妙なヒットになったという点がやはり少し心配ですよね……20位デビューは別に悪くないですが、「もしかしたらDespacitoの1位を止めるかも?」という期待感からの落差はありましたね……その時点で嫌な予感はしたのですが、ここまで不調とは……

 

× Travis Scott – Butterfly Effect

ここ2週特例によって粘ってチャートに残ったTravis ScottのButterfly Effectですが、今週あえなくチャート圏外へ。ラジオは今まさにピークなものの、ストリーミングのピークが約3カ月前で、そこまで伸びシロが感じられないため「もう上昇できない」と判定され圏外へ落とされたのでしょうか。

少しポイントが不足している気もしますが、この2週の粘りが生きて年間チャートにギリギリ入る可能性もわずかにあります。

※ストリーミングでまずヒット → ストリーミングである程度数字を維持しつつラジオにバトンタッチというのは、近年の理想的なシングルヒットの仕方の一つを体現している曲でもあります。ややポイントが足りず21週目以降でもチャートから外れることを免れる50位以上に入れず、チャートからは外れてしまいましたが。

 

× SZA feat. Travis Scott – Love Galore

SZAのLove Galoreが健闘し、チャートを後に。

同じ週にリリースされたKaty PerryのアルバムWitnessを同週のうちにiTunesで抜いて1位になり、さらにPitchforkからはBest New Musicを頂くなどデビューアルバムのCtrlが大きく注目されたSZA(アルバムチャートではKaty Perryに敗れ2位)。シングルでも奮闘し、このLove Galoreは32位とトップ40入りも果たしました。次シングルのThe Weekendも44位とトップ40に近づいており、さらにMaroon 5の客演をつとめたWhat Lovers Doも今週12位とトップ10に接近中です。

※唯一惜しい点を言うと、20週きっかりでチャートを後にした点ででしょうか。30位台ピークだと入る / 入らないを含めて、年間チャートで1週の差がシビアなので……

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Imagine Dragons - Thunder

今週最もダウンロードが上昇した曲 Kelly Clarkson – Love So Soft

今週最もストリーミングが伸びた曲 Selena Gomez & Mareshmello - Wolves

最も高い順位で新登場した曲          Migos, Nicki Minaj & Cardi B - MotorSport

 

 

 

今週チャートから外れた曲 (11曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Future & Young Thug – Three (🗻100位 /⏰1週)

98 Liam Payne – Bedroom Floor (🗻98位 /⏰1週)

94 Justin Bieber & BloodPop – Friends (🗻20位 /⏰10週)

92 Future – 4 Da Gang (🗻92位 /⏰1週)

79 2 Chainz feat. Ty Dolla $ign, Trey Songz & Jhene Aiko – It’s A Vibe (🗻44位 /20週)

77 Future & Young Thug – All Da Smoke (🗻77位 /⏰1週)

76 Wisin feat. Ozuna – Escapate – Conmigo (🗻63位 /20週)

68 Future – Feed Me Dope (🗻68位 /⏰1週)

62 Future & Young Thug – No Cap (🗻62位 /⏰1週)

53 Travis Scott – Butterfly Effect (🗻51位 /22週)

48 SZA feat. Travis Scott – Love Galore (🗻32位 /20週)

 

 

来週以降にHot 100に入るポテンシャルを持った曲をピックアップしました

 

Offset & Metro Boomin – Nightmare

21 Savage, Offset & Metro Boomin – Mad Stalkers

21 Savage, Offset & Metro Boomin – Disrespectful

21 Savage & Metro Boomin – Run Up the Racks

 

本文で言及したミックステープ・Without Warning。来週のHot 100ではリリース直後の最も熱を帯びる期間が集計集計されないことを差し引いても、集計が7日分フルでされることを考慮すると、曲数が伸びる可能性も。候補は上の4曲あたりでしょうか。仮にこのミックステープが金曜日リリースならば10曲以上がHot 100に入りそうな勢いがあります。

 

 

 

*1:個人的にRap Saved Meが好きです。この曲はQuavoが凄まじいです。Twitterで「この曲におけるQuavoの登場はまるでイエスの歩行のようだ」と例えている人がいて勝手に共感しました笑

*2:Chris Brownのアルバムの「総合セールス=純セールス+シングルダウンロード+ストリーミング」は6,8000、そして純セールスは2,5000。つまりダウンロード+ストリーミングは4,3000。一方Metro Boominなどのミックステープは総合5,3000、純セールス1,1000でダウンロード+ストリーミングは4,2000。なのでChris Brownのほうが少し上回っていることが分かります

11/3 リリース新曲/新作の初動を観察 【Sam Smithの新作と激しいアルバム1位争い + 超豪華メンバーのシングル】

f:id:djk2:20171105223808p:plain

今週の注目トピックスはSam Smithの新作!果たしてどこまでヒットしたのか?その他にも今週は注目のアルバムリリースが多めです。

写真はSam Smithと、記事タイトルの超豪華メンバーのシングルに登場するCharli XCX。

 

Spotify デイリーのアメリカトップ10 (金曜日=11/3) 

1 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
2 Lil Pump Gucci Gang
3 Post Malone I Fall Apart
4 21 Savage, Offset, Metro Boomin feat. Travis Scott Ghostface Killers
5 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
6 Sam Smith Too Good At Goodbyes
7 21 Savage  Bank Account
8 Offset, Metro Boomin Ric Flair Drip
9 Logic feat. Alessia Cara & Khalid 1-800-273-8255
10 Migos, Cardi B & Nicki Minaj MotorSport

 

新アルバムからの曲が多くトップ10に。Sam SmithのToo Good At Goodbyesが6位へ。最近はアルバムリリースのタイミングでトップ10に浮上  → そのままトップ10に少し定着というパターンが多くSpotifyで見られますが、この曲はいつまでトップ10にとどまれるでしょうか。ポップスがやや伸びにくいストリーミングでここまで来れば上々の成績だと思います。

そして、ハロウィン(火曜日)に緊急リリースされた21 Savage・Offset・Metro Boominのミックステープからは2曲がSpotifyに!リリース日から少し日がたっていますが、現在でも全10曲がSpotifyの200位圏内に残っています。リリース日は全曲がSpotify100位以内でした。 Apple Musicではこれ以上のストリーミングを記録していてHot 100への大量エントリーの予感が。

今週金曜日のリリースが反映されるのは再来週のHot 100ですが、このミックステープは火曜日リリースだったので、火曜日~木曜日の3日分*1のポイントで一部の曲が来週のHot 100に登場するかも。そして再来週に大量登場、でしょうか。

 

② 新曲/新アルバムからのシングル アメリカSpotifyデイリー順位 (金曜日)

12 Taylor Swift Call It What You Want
✫16 Maroon 5 feat. SZA What Lovers Do
33 21 Savage, Offset, Metro Boomin feat. Quavo Rap Saved Me
37 21 Savage, Metro Boomin  My Choppa Hate Niggas
38 Maroon 5 Wait
✫41 Sam Smith Pray
45 N.E.R.D. & Rihanna Lemon
51 Sam Smith Nothing Left For You
52 21 Savage, Offset, Metro Boomin  Disrespectful
55 Offset, Metro Boomin Nightmare
58 21 Savage, Offset, Metro Boomin Mad Stalkers
59 Big Sean & Metro Boomin feat. 21 Savage Pull Up N Wreck
✫61 Sam Smith Burning
70 Sam Smith Say It First
83 Sam Smith One Last Song
85 21 Savage, Metro Boomin  Run Up the Racks
90 Lil Uzi Vert feat. Nicki Minaj & Oh Wonder The Way Life Goes
94 Sam Smith Midnight Train
103 21 Savage, Offset, Metro Boomin Still Serving
105 Sam Smith HIM
107 21 Savage, Offset, Metro Boomin Darth Vader
108 Sam Smith Baby, You Make Me Crazy
110 Sam Smith No Peace
129 Kygo & Oliver Nelson feat. Bonnie McKee Riding Shotgun
136 Sam Smith Palace
138 David Guetta & Afrojack feat. Charli XCX & French Montana Dirty Sexy Money
142 Sam Smith Scars
147 Sam Smith The Thrill Of It All
159 DJ Luian & Membo Kingz feat. Bad Bunny, Prince Royce & J Balvin Sensualidad
161 blackbear santa monica & la brea
172 Joji Will He
177 Sam Smith One Day At A Time
192 Kelsea Ballerini End of the World

✫=新リリースではないが、新アルバムに収録

 

前述したMetro Boominらのミックステープに加え、Sam Smithのアルバムも全曲がSpotifyトップ200位圏内に!ポップスのシンガーとしてはやや珍しい記録です。

ちなみに今年ポップスのシンガーで、アルバム全曲がアメリカのSpotify 200位圏内に登場したのはEd Sheeran、Harry Styles、Lordeに次いで4人目。

ラッパーが14のアルバムで同じ200位圏内の記録を成し遂げていることを考えると、その4人がやや控えめな数字であることが分かります。リリースペースの違いという面もありますが。

ちなみにアルバムチャートでは1位だったKaty PerryP!nkはアルバムの半分も200位圏内に入れず……アルバム自体は週の1位クラス(P!nkに至っては今年ベストのセールス)でも、ストリーミングでは数字が低いということも。こういう辺りから「ポップスはストリーミングが苦手気味」という印象があります。

そのような事実から、ここまで曲が入ったSam Smithへの期待度は相変わらず高いということが分かります。アルバム1位争いで一歩リードといえます。

一方Maroon 5はわずか2曲のみの登場に。どちらも順位は高めですが、これではストリーミングでのポイント増が望めませんかね……アルバム自体は超ポップなジャケからは予想もつかないような曲もあって(特に最後の11分超えのClosure)少し驚きました。*2

ほかKygoのアルバム?EP?Kids In Loveから2曲が登場。Katy Perryの名相方として2010年代前半の多数のヒットをソングライトしたBonnie McKeeが久々のカムバックしたRiding Shotgunが人気。(Bonnie McKeeの紹介など↓)

 

今週は注目シングルがいくつかあります。

まずはTaylor SwiftのCall It What You Want。来週のアルバムに向けて最後のプロモーション。果たしてどんなアルバムなのか?客演はあるのか?カニエへさらなる仕掛けはあるのか?売上は?来週を待ちましょう。

そしてPharrell率いるN.E.R.D.のカムバックシングルLemon。ダウンロードでも好調で13年ぶりのHot 100入りになりそう。コラボしたRihannaが存在感を示していて、Pitchforkはこの曲を「N.E.R.D.の曲なのにRihannaの独壇場」と評しています。

さらにはDavid Guetta & Afrojack らのSexy Dirty Moneyにも注目。客演にはCharli XCXとFrench Montana、さらにプロデュースにはSkrillexが参加。他ソングライト陣にはCharli XCXの曲を受け持つことが多いA.G.CookとNoonie Baoが。このように多方面からの勢力を集めた超豪華シングルです。French MontanaはUnforgettableのブレイク以降、ポップスへのコラボが増えています。ALMAとのPhases、Redone, Daddy Yankee, Dinah Jane(Fifth Harmonyのメンバー)とのBoom Boomなど

 

※ここから少しマニアックな話

French MontanaはStefflon Don、ALMAというCharli XCXの妹的存在?とのコラボに次いで姉様とのコラボに。

(Stefflon DonはAfter the AfterpartyのVIPリミックスに参加・関係性はそこまで深くないかも?) ALMAは最近ビルボードに「Charli XCXのBFF」のタイトルでインタビュー記事が載っていました。

 

※そしてソングライターの一人Noonie Baoにも個人的に注目。このシングルではDavid Guetta・Afrojack・Skrillexという豪華な面々のDJと仕事をしている(実際会っているかは不明ですが)彼女ですが、過去にもZedd(Stayのソングライト)・AviciiとNicky Romero(I Could Be the Oneのボーカル)・Alesso(ボーカル)・Alan Walker(ボーカル)など錚々たる面々のDJと仕事をした経験が。他にもポップス系シンガーへのソングライトも増え始めている彼女。今後のソングライト活動や、また自身のシンガー活動にも期待しています。

 

他には、Metro Boominの今週2度目の仕事・Big Seanとのコラボ曲、シングル化とともにNicki MinajのリミックスがリリースされたLil Uzi VertのThe Way Life Goesなど。客演に新たに追加されたOh Wonderはこの曲のサンプリング元となったバンドです(Landslideという曲です)そして、今週EPをリリースしたJojiの曲など。

 

 iTunesアメリカップ10+新曲の順位 (金曜日)

1 Taylor Swift Call It What You Want
2 Imagine Dragons Thunder
3 Ed Sheeran Perfect
4 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
5 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
6$ Maroon 5 feat. SZA What Lovers Do
7 Portugal. The Man Feel It Still
8 N.E.R.D & Rihanna Lemon
9 Taylor Swift ..Ready For It?
10 Halsey  Bad at Love

セールスでは無双のテイラーが1位。歴代単独最多の15曲目のダウンロード1位へ。来週か再来週にWhat Lovers DoはHot 100のトップ10に入りそうです。

 

11 Sam Smith Too Good at Goodbyes
13$ Blake Shelton I'll Name the Dogs
15 Lil Uzi Vert feat. Nicki Minaj The Way Life Goes (Remix)
27$ Maroon 5 Wait
36 Big Sean & Metro Boomin feat. 21 Savage Pull N Wreck 
45 David Guetta & Afrojcak feat. Charli XCX & French Montana Dirty Sexy Money
47 Kelsea Ballerini I Hate Love Songs
50 21 Savage, Offset & Metro Boomin feat. Travis Scott Ghostface Killers
51 21 Savage, Offset & Metro Boomin feat. Quavo Rap Saved Me
59 Lil Kim Took Us a Break
✫61 Sam Smith Burning
66 Kygo feat. One Republic Stranger Things
69 Luke Bryan  Most People Are Good
76 Offset & Metro Boomin Lic Flair Drip
78 Blake Shelton Why Me
80 Sam Smith One Last Song
82 Led Zeppelin Immigrant Song
84 Chris Kohanski Landslide
86 Mariah Carey All I Want For Christmas Is You
✫87 Kelsea Ballerini Legends
95 In Real Life Feel This Christmas
96 Sam Smith Say It First
98 Blake Shelton I Lived It
100 DJ Luian & Membo Kingz feat. Bad Bunny, Prince Royce & J Balvin Sensualidad

✫は新リリースではないものの、新アルバムの曲

$は値引きシングル

 

上記の人気曲が多くダウンロードも記録。Metro Boominのミックステープのシングルはストリーミングで無双しつつダウンロードでも一定の数字を記録しています。Hot 100の成績が楽しみです。

一部クリスマス曲がダウンロードされ始めています。人々は気分をクリスマスに切り替えていっているようですね。

ちなみに先週の半ばにiTunes50位前後にTWICEの新曲LIKEYが入っていましたが、今週に入ってからはiTunes100位圏外へ……

 

iTunes アルバム順位 (アメリカ)

1 Sam Smith The Thrill of It All
2 Kelsea Ballerini Unapologetically
3 Blake Shelton Texoma Shore
4 Maroon 5 Red Pill Bluse
5 Kid Rock Sweet Southern Sugar
6 Chris Brown Heartbreak on a Full Moon
7 Grace Vanderwaal Just the Beginning
8 Joji In Tongues EP
9 21 Savage, Offset & Metro Boomin Without Warning
10 Kelly Clarkson Meaning of Life

 

Sam Smithのアルバムが1位。2位3位に新旧カントリー勢。Maroon 5は現状4位に。瞬間的に2位だった瞬間もあるみたいですが。Blake Shelton、Maroon 5はキャリアが長くファンベースもしっかりしているので、ライバルとしては強力ですが、iTunesではSam Smithが強いみたいです。彼は前述のようにストリーミングでも上々、さらにシングルのセールスでは大差がついていないので、店頭を差し引いてもSam Smithがアルバム1位になりそうですね。と思ったら正解みたいです↓

前のアルバムでは1位を取れなかったので初のアメリカでのアルバム1位です。


たまに参考にするこの予想ですがこの予想はいつも日曜に出ているみたいです。この予想は今のところデータが見当たらない(ビルボードのチャートが出るまでわからない)セールスの具体的な数字を先に教えてくれるので重宝しております。

 

⑤現在ラジオで上り調子の10曲

新企画です。今ラジオで伸び幅の大きい10曲を紹介します。ソースはおなじみkworb.comです。

6 Imagine Dragons Thunder
20 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
17 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
44 G-Eazy feat. A$AP Rocky & Cardi B No Limit
21 Ed Sheeran Perfect
33 Halsey Bad At Love
5 P!nk What About Us
36 Taylor Swift ..Ready For It
64 Russell Dickerson Yours
12 Sam Smith Too Good At Goodbyes

Hot 100でもトップ10につけるThunder、Havanaの2曲がラジオでも大きく伸びています。rockstarもまだまだ伸びます。

 

⑥各ラジオ局で今週かかりはじめた曲

✫ポップ系

38 Selena Gomez & Marshmello Wolves
42 Cheat Codes feat. Fetty Wap & CVBZ Feels Great
45 Liam Payne Bedroom Floor
47 Bebe Rexha & Florida Georgia Line Meant To Be
50 Harry Styles Kiwi

Selena GomezとMarshmelloのWolvesが、同じくMarshmelloのSilenceを抜くレベルに好調。Harry Stylesの新シングルも。これは3曲目のシングルですが、2曲目のシングルTwo GhostsはHot 100に入れませんでした……

 

✫アダルトポップ系

45 Bebe Rexha & Florida Georgia Line Meant To Be

ラジオで強そう

 

✫リズミック系

40 Migos, Cardi B & Nicki Minaj MotorSport
43 Russ Wife You Up
45 A$AP Ferg Plain Jane
48 Taylor Swift ..Ready For It
50 Lil Pump Gucci Gang

...Ready For It?が局の系統を広げ、シングルとして少しずつ上昇しています。

 

✫アーバン系

25 Migos, Cardi B & Nicki Minaj MotorSport
36 Lil Pump Gucci Gang
43 Calvin Harris feat. Kehlani & Lil Yachty Faking It
47 Ayo & Teo Better Off Alone
48 Jacques feat. Dej Loaf At The Club

ストリーミングで人気のMigos・Lil Pumpの曲が勢いよく駆け上がっていっています。

 

✫カントリー系

44 Blake Shelton At The House
46 Blake Shelton I Lived It
47 Blake Shelton Turnin' Me On
49 Blake Shelton Money

この4曲はシングルではないのですが、アルバムリリースを期にラジオでかかるとはさすが大御所Blake Sheltonです。カントリー界はラジオのサポートが充実しているので、仮にストリーミングの数字とラジオを両立できる究極の大御所がいればHot 100を席巻できそう。ただしカントリー歌手はストリーミングを上記のポップス以上に苦手とする傾向がある(ストリーミング総合トップ50に入るのすらレア)ので、あまり現実味はないですね……

 

⑦その他の国のSpotify トップ10

 

✫イギリス

1 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
2 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
3 Sam Smith Too Good At Goodbyes
4 Dua Lipa New Rules
5 Marshmello feat. Khalid Silence
6 ZAYN feat. Sia Dusk Till Dawn
7 Avicii feat. Rita Ora Lonely Together
8 Post Malone I Fall Apart
9 Mabel feat. Kojo Funds Finders Keepers
10 Big Shaq Man's Not Hot

イギリスのラッパー、Big ShaqがSpotifyのトップ10へ。またSpotifyでは2位のHavanaですが、セールスではrockstarを上回っており、今週ついにシングルチャートでは逆転。Work from Homeは最高2位だったので、ついに古巣越えを達成。

 

✫ドイツ

1 Bausa Was Du Liebe nennst
2 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
3 Kollegah Gamechanger
4 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
5 ZAYN feat. Sia Dusk Till Dawn
6 Marshmello feat. Khalid Silence
7 NF Let You Down
8 Dua Lipa New Rules
9 Axwell ∧ Ingrosso More Than You Know
10 Ed Sheeran Perfect

上位2曲の強さは相変わらず。Kollegahの曲がSpotifyトップ10から抜けて新たにまたKollegahの曲が同トップ10に。

 

✫日本

1 Ed Sheeran Shape of You
2 DAOKO & 米津玄師 打上花火
3 Maroon 5 feat. SZA What Lovers Do
4 Selena Gomez & Marshmello Wolves
5 TWICE One More Time
6 Dua Lipa New Rules
7 Sam Smith Too Good at Goodbyes
8 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
9 清水翔太 My Boo
10 Justin Bieber & BloodPop Friends

Sam Smithがアルバム効果でトップ10に入った以外大きな変化なし。TWICEの新曲LIKEYが11位まで浮上。

*1:Hot 100の集計は金曜日~木曜日のサイクル

*2:逆に言うと、この内容やるなら何でこのジャケ?とも思いました