チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 6/2 見どころ 【BTSがアルバム1位の偉業!シングルでもトップ10! / イギリス出身Ella Maiの躍進】

 

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 今週のチャートではアメリカ国外のアーティストの活躍が際立ちました!まずはBTS!アルバム1位を獲得する快挙に加え、シングルチャートでもトップ10入りとアルバム・シングルの両方で存在感を示しました!

 そしてイギリス人R&BシンガーのElla Mai。今週”Boo'd Up"がトップ10入りを果たしました! ほか中国出身のKris Wuも初のHot 100入りを達成。

 (ちなみに今週は祝日によってHot 100などチャートの発表が一日遅かった)

 

~今週USチャートのハイライト~

BTS、アルバム1位・そして“FAKE LOVE”がシングル10位で登場! アルバム・シングルの両方で大健闘です

・Lil BabyとDrakeの“Yes Indeed”が6位へ浮上。アルバム3位、他にも2曲がHot 100入り

・元EXOで中国出身のKris Wu、“Like That ” (73位)で初のHot 100入りを達成

Justin Timberlakeの“Say Something”わずか16週でチャートから外れる

・イギリス出身のR&Bシンガー、Ella Maiの”Boo'd Up"がトップ10入り!

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Post Malone feat. Ty Dolla $ign - Psycho

今週最もダウンロードが上昇した曲 Camila Cabello feat. Young Thug - Havana

今週最もストリーミングが伸びた曲 Lil Baby & Drake – Yes Indeed

最も高い順位で新登場した曲           BTS – FAKE LOVE

 

 

曲の個別解説

[New] 99 Backstreet Boys – Don’t Go Breaking My Heart

 Backstreet Boysの“Don’t Go Breaking My Heart”が99位で登場。彼らの曲がHot 100に登場するのは2007年の”Inconsolable“以来。(客演としては2017年にFlorida Georgia Lineとの”God, Your Mama, And Me”でもHot 100に入った)

 主にラジオで好調。特にアダルトポップ系では人気(今週20位)。AfrojackやKygo、Marshmelloの曲でボーカルを務めたWrabelがこの曲のソングライトに参加。

 

[New] 98 Sam Hunt – Downtown’s Dead

 Sam Huntの“Downtown’s Dead”が98位で登場。カントリー系ラジオやDLで主にポイントを稼いでいます。

 前シングル“Body Like A Back Road”はポップ系リスナーにも飛び火し、Spotifyなどストリーミングでも人気が出ましたが、まだこの曲にそのような動きは見られません。(まだストリーミングで人気にはなっていない)

 

[New] 86 NAV feat. Travis Scott – Champion

 カナダ出身のNAVのデビューアルバムが計36000ユニットを売り上げ、アルバムチャートの8位で登場。うち純セールスは4000で、残りはほぼストリーミングで稼いでいます。

 そのアルバムから、Travis Scottとの“Champion”が86位で登場。

 NAVは過去に、Lil Uzi Vertとの”Wanted You”でHot 100入りの経験あり。(以前Travis Scottと組んだ“Beibes in the Trap”もHot 100に入ったが、そのアルバムでTravis Scottは客演を表記していなかったので、ビルボードのデータではNAVのHot 100エントリーとしてはカウントされていない)

 NAVは地元カナダでの人気が高く、今まで計10曲がCanadian Hot 100にエントリーしています。このアルバムからは“Champion”のほかQuavoとの”Faith”もシングルチャートに入りました。

 

[New] 84 Diplo, French Montana & Lil Pump feat. Zhavia Ward – Welcome To The Party

 Diploらの“Welcome To The Party”が84位で登場。“Deadpool 2”という映画のサントラからのシングル。脇を固めるのはFrench Montana、Lil Pumpの2名のラッパーと、オーディション番組”Four”のファイナリスト*1のZhavia Ward。

 オーディション番組“Four”は2018年にスタート。ジャッジはDJ KhaledやMeghan Trainorが務めています。司会はFergie

 DJ+ラッパーの組み合わせ、映画のサントラに入る夏のパーティーアンセムという点でSkrillexとRick RossのPurple Lamborghiniを彷彿とさせます。

 

[New] 83 Pharrell Williams & Camila Cabello – Sangria Wine

 ファレルとCamila Cabelloの“Sangria Wine”が83位で登場。”Havana”で組んだ2人が再タッグ。DLやストリーミングで少しずつポイントを稼いでいます。

 感覚的にはN.E.R.D.の音にCamilaを招いた、ような1曲。

 

[New] 73 Kris Wu – Like That

 Kris Wuの“Like That”が73位で登場。DL(今週11位)に加えてYouTubeのビデオのポイントが多少乗ってHot 100に入りました。

今週はほぼ全期間iTunesシングルで1位だったものの、DLは今週11位という査定に。(割引していたから?)

Kris Wu初のHot 100入り。そして彼のInstagramの文言から、中国人初のHot 100エントリーであることも推察されます。 *2

 

 いずれにせよ、快挙であることには変わりありません!

 

[New] 68 Kevin Gates – Change Lanes

 Kevin Gatesが3曲入り「シングル」、“Chained to the City”をリリース。そのうち“Change Lanes”が68位で、”Let It Sing”が82位で登場。もう一つの“Vouch”は105位。

 以前のYoung Thugと同様、「シングル」と名乗っているため、アルバムチャートにはカウントされず。(前アルバムの“Isalah”は今週191位)

 

[↑] 36 Khalid & Normani – Love Lies

 KhalidとNormaniの“Love Lies”が36位へと上昇。リリース以来中位に長くいましたが、ついにトップ40入り。Fifth HarmonyメンバーのソロではCamilaに次いで2人目のトップ40達成者に。ラジオが伸びてきたことが大きいです。

 そのCamilaとNormaniは先週のBillboard Music Awardsで顔を合わせ、一緒に写真を撮っていました!CamilaがFifth Harmonyの離脱を表明して以降、メンバーと公の場で会うのは初だったようです。

  

 オーストラリアでもKhalidはかなり人気で、この“Love Lies”は一時期3位まで到達しました。彼はUSで”1-800-273-8255”しかトップ10を記録していませんが、オーストラリアでは”1-800~”のほか、”Young Dumb & Broke”、Marshmelloとの“Silence”と”Love Lies”の計4曲でトップ10入り。また最近の“Lovely”や”OTW”でもUSよりも高い順位をオーストラリアで記録しています。(ちなみにオーストラリアのお隣、ニュージーランドではもっと人気のよう)

 ほかオーストラリアはR&B/ヒップホップとポップスを良い塩梅で混ぜた曲が人気で、“Psycho”が1位に到達、”I Fall Apart”が2位に到達……など一部USのアーティストがUSよりも高い順位をオーストラリアで記録しています。

 

[↑] 35 Juice WRLD – Lucid Dreams

 Juice WRLDの“Lucid Dreams”が急上昇。今週74位→35位に。もう一つの彼のヒット、”All Girls Are The Same”も92位→53位と上昇しています。

 彼は先週の水曜日に初のアルバムもリリース。集計は2日でしたが、アルバムチャートの15位で登場しました。

 “Lucid Dreams”は既にSpotifyApple Musicでトップ10入り。ほかSoundcloud1位、YouTube11位など他のストリーミング媒体でも絶好調で、今後台風の目になりそうです。

 (彼はSoundCloudでブレイク。少し先のヒットをチャートから見つけるならば、SoundCloudのランキングを見ると良いかも)

 

[New] 10 BTS – Fake Love

 「ワールドアルバム」では初、つまりアジア圏では初のアルバム1位に引き続き*3、シングルでも快挙を達成しました!“FAKE LOVE”が10位で登場しました!主なパート*4が英語「ではない」曲としては史上17曲目のUSトップ10を成し遂げました! ↓参考

  17曲のうち、スペイン語が6曲、ドイツ語が3曲、韓国語が3曲、イタリア語が2曲、フランス語が2曲*5、日本語が1曲。

 K-Popとしては史上9曲目のHot 100入りに。PSYの“Gangnam Style”以降は毎年1曲ずつ何かしらのK-Pop曲がHot 100に入っています (↓図) *6

 

アーティスト 曲名 ピーク位
2009 Wonder Girls Nobody 76
2012 PSY Gangnam Style 2
2013 PSY Gentleman 5
2014 PSY feat. Snoop Dogg Hangover 26
2015 PSY feat. CL Daddy 97
2016 CL Lifted 94
2017 BTS DNA 67
2017 BTS feat. Desiigner MIC Drop 28
2018 BTS FAKE LOVE 10

 

 この“FAKE LOVE”はDLが今週1位*7ということに加え、YouTubeでの好調 (リリース1日で全世界再生が約3300万。歴代で3番目の多さ *8 USのみの再生数は今週6位)が加味され、Hot 100のトップ10に食い込みました。

 この“FAKE LOVE”は現在ラジオでの支持が拡大中。今後シングルとしてどこまで活躍できるか?注目です。

 

※関連記事↓

 

[↑] 8 Ella Mai – Boo’d Up

 Ella Maiの“Boo’d Up”が好調をキープ。”Boo’d Up”が8位とトップ10入りを果たしました!Hip-Hop/R&B系ラジオやストリーミングで好調。それに伴いダウンロードも上昇しています。親しみやすいR&Bバンガーで、ポップ系ラジオでも人気がでるかも。

 ストリーミングは主にYouTubeApple Musicで人気。YouTubeでは今週2位。Spotifyではまだ100位前後。

 DJ Mustardに招かれたアメリカにやって来たElla Mai。現在拠点はアメリカにあるようですが、出身はイギリス。イギリス人女性シンガーのUSトップ10はやや珍しく、2010年代では6*9人がUSトップ10に入っています。(客演を除く) ↓参考 イギリス人女性シンガーの、2010年代のUSトップ10入り

 

Adele (Rolling in the Deep, Someone Like You, Set Fire to the Rain, Skyfall, Hello, Send My Love)

Jessie J (Domino, Bang Bang)

Ellie Goulding (Lights, Love Me Like You Do)

Charli XCX (Boom Clap) ※客演でも2曲トップ10入り*10

Dua Lipa (New Rules)

Ella Mai (Boo’d Up)

※La Roux (Bulletproof)

 

客演

Lauren Bennett (Party Rock Anthem)

Lily Allen (5 O'clock)

M.I.A. (Give Me All Your Luvin')

Florence Welch (Sweet Nothing)

Charli XCX (I Love It, Fancy)

Foxes (Clarity)

Rita Ora (Black Widow)

Jess Glynne (Rather Be)

Kyla (One Dance)

Anne-Marie (Rockabye)

 

※La Rouxは当時プロデューサーとシンガーの2人組だったので、「女性シンガー」の範疇に入るのかは微妙?

 

[↑] 6 Lil Baby & Drake – Yes Indeed

 Lil BabyとDrakeの“Yes Indeed”が6位へと急浮上。先週は集計3日分でしたが、今週は7日分フルカウントとなり、順位が上がりました。 *11

 Lil Babyは初のトップ10、Drakeにとっては26曲目のトップ10に。

 Lil Babyはこのタイミングでデビューアルバムもリリース。セールスは少ないですが、ストリーミングだけで65000枚相当のポイントを稼ぎ、アルバムチャートの3位に食い込みました。

 アルバムからは他に2曲がHot 100にエントリー。Southside(人名)がプロデュースした“Southside”(曲名)が79位、Lil Uzi Vert、Gunnaを迎えた”Life Goes On“が80位で登場。

 Gunnaは初のHot 100入り。ストリーミングで人気の“Drip Season 3”はアルバムチャートで55位まで到達した。彼はYoung Thugのレーベルと契約している。

 

[↓] × Justin Timberlake feat. Chris Stapleton – Say Something

 Justin Timberlakeの“Say Something”がチャートから外れました。チャート滞在はわずか16週という結果に。

 DLを中心に人気を集めて、登場した時は9位と絶好調だったこの曲。しかし後は続かず、アルバムが不評&注目度が低かったこともあり、この曲への人々の興味が低下。結局頼みの綱のラジオもあまり伸びず、尻すぼみに終わってしまいました。(一応、年間チャート100位以内に入りそうな成績は残しました。ただし年間80位~100位程度だと思われます。)

 「ルーツへの回帰」をテーマに今回のアルバムではカントリーの導入を試みたJustin Timberlakeでしたが、アルバム・シングルともに不調だったことは否めませんかね……

 

※Justin Timbelakeのアルバム“Man of the Woods”は少し前まで「1週間の売り上げが今年最大のアルバム」でしたが、J. ColeとPost Maloneに抜かれてしまいました。一方、ストリーミング等を抜いた「純粋な」セールスではまだ今年最大。

 

 

今週チャートから外れた曲 (11曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton – Say Something (🗻9位 /⏰16週)

99 Luke Combs – Beautiful Crazy (🗻58位 /⏰2週)

98 Post Malone – 92 Explorer (🗻40位 /⏰3週)

97 Post Malone – Takin’ Shots (🗻29位 /⏰3週)

95 Carrie Underwood – Cry Pretty (🗻48位 /⏰3週)

93 Post Malone feat. G-Eazy & YG – Same Bitches (🗻20位 /⏰3週)

90 Post Malone – Zack And Codeine (🗻23位 /⏰3週)

89 Post Malone – Over Now (🗻24位 /⏰3週)

83 Jordan Davis – Singles You Up (🗻50位 /⏰15週)

77 Reik feat. Ozuna & Wisin – Me Niego (🗻77位 /⏰1週)

44 Migos – Stir Fry  (🗻8位 /⏰21週)

 

 

来週以降の動向・プレイリスト

 

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集

 

・Post Malone のPsycho 対 Drake の Nice For What

 新曲では無いですが、来週の見どころの一つ。“Psycho”はラジオやストリーミングで好調、それに加えてiTunes割引を敢行。アルバムリリース時に取りそこねたHot 100の1位の座を再び狙います。果たして……

 

・Shawn Mendes – In My Blood

 これも新曲ではないですが、チャート動向に注目。アルバムリリース+iTunes割引でDLが急浮上。ラジオとの上昇も合わせて来週トップ10に達する可能性も。

 

・6ix9ine feat. DJ Spinking - TATI

 日曜日にリリースされ、ストリーミングで人気に。来週のHot 100で登場するでしょう。

 

Weezer – Africa

 WeezerTotoの“Africa”をカバー。週の後半にリリースされiTunesシングル首位に立ちましたが、集計期間が短いので、来週のHot 100入りは厳しいですかね。その次の週のHot 100入りの可能性ならあるかも。

 ちなみにTotoの“Africa”はSpotifyで今も人気の1曲。USのSpotifyランキングでは150-200位くらい、UKの同ランキングでは100位辺りをキープしています。

 

 

・その他の新曲情報はこちらを参照してください!

 

  

・プレイリスト

 

 

 

*1:3位に相当

*2:73位が中国人にとっての最高位と言うメディアが多いので、74位~100位に別の中国人Hot 100エントリーがあった可能性も否定できないが……

*3:参考 BTS’ ‘Love Yourself: Tear’ Becomes First K-Pop Album to Hit No. 1 on Billboard 200 Chart | Billboard

*4:「主なパート」というのは、メインのアーティストが英語かどうか、で判別されていると思います。例えば今年トップ10入りしたCardi Bの”I Like It”は半分以上のパートがスペイン語ですが、メインのCardi Bが英語で歌っているため、この「非英語曲」にカウントされていません

*5:うち1曲がラテン語と混ぜて歌っている

*6:熱心なK-Popファンが各シングルチャートに入った曲一覧のさらに詳しいまとめをウィキペディアに作っています List of K-pop songs on the Billboard charts - Wikipedia

*7:売上は28,000。週1位のDL数としてはかなり少ない

*8:テイラーの”Look”、PSYの“Gentleman”に次ぐ

*9:後述のLa Rouxをカウントすると7

*10:ソングライトでも1曲トップ10入り

*11:今週のサムネ画像候補として作成した クソコラ画像です 

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年間チャート トップ10 半年前予想! 2018 (USシングル)

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 チャートオタクの楽しみの一つ、それは「年間チャート」です。週間でリリースされるチャートを1年分合算して作られるコレを、予想するなどします。

 これを半年分のデータでしてみよう!というのが私の試みです。なぜ半年で予想できるのか?のロジックは昨年版の記事を見てください!

 

 昨年の半年前予想と結果はこんな感じでした。ちなみに予想が外れた“I’m the One”は年間12位、Taylor Swift Upcoming Single、つまり”Look What You Made Me Do”は年間39位でした。

  予想 結果
1 Shape of You Shape of You
2 That's What I Like Despacito
3 Despacito That's What I Like
4 Bad and Boujee HUMBLE.
5 HUMBLE. Something Just Like This
6 Closer Bad and Boujee
7 I'm the One Closer
8 Taylor Swift Upcoming Single Body Like A Back Road
9 Something Just Like This Believer
10 Congratulations Congratulations

 

 

 ちなみに5月の現時点でなぜ「半年」かと言うと、年間チャートの集計は12月~11月だからです。ちなみに、1月にチャート日付修正が入ったので今年の年間チャートは53週間で集計されると思われます。

 

 では予想していきましょう!(昨年は8/10当たりましたが、未来のことを予想しなければならないので、大外しする可能性もあります。)

 

・2018 Hot 100 年間シングルトップ10 予想はこれだ!

 

1 Drake – God’s Plan

2 Ed Sheeran – Perfect

3 Drake – Nice For What

4 Bebe Rexha & Florida Georgia Line – Meant to Be

5 Post Malone feat. Ty Dolla $ign - Psycho

6 Camila Cabello feat. Young Thug – Havana

7 Post Malone feat. 21 Savage – rockstar

8 BlocBoy JB feat. Drake – Look Alive

9 Zedd, Maren Morris & Grey – The Middle

10 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin – I Like It

 

 

 どのようにしてこのような予想をしたのか?ロジックを説明します。

・どのような曲が年間上位へ?

  まず、どのような曲が年間チャートで上位に入るのでしょうか?昨年の記事を復習してみましょう。

・年の前半にピークがある曲が強め
・トップ10週数が長い曲など、ロングヒットの曲が強め
・全体的な大枠は、前半ヒット約8曲+後半ヒット約2曲

 

 年間チャートで上位に入る曲はこのような特徴を持っています。他にもラジオで強い曲が週間のピークの割に年間チャートでは高くなる……など色々な特徴があります。

 このような傾向を踏まえ、チャートオタクの知識を総動員させて、半年前の時点から年間チャートを予想していきます。

 

・年間チャート 上位候補のデータ

 ①はトップ10滞在週数、② はピークの順位、 ③はピーク日を指します。

曲名
Rockstar * 17 1 10月28日
Perfect 25+ 1 12月23日
Bad At Love 10 5 1月27日
Havana 20 1 1月27日
Finesse 14 3 1月20日
New Rules 5 6 2月17日
God's Plan 17+ 1 2月3日
Meant to Be 15+ 2 3月31日
Look Alive 13+ 5 2月24日
Psycho 12+ 2 3月10日
The Middle 11+ 5 4月28日
Nice For What 6+ 1 4月21日

 

曲名
Walk It Talk It 1 10 4月14日
I Like It 2 8 4月21日
Be Careful 0 11 4月21日
No Tears Left To Cry 4+ 3 5月5日
Never Be The Same 3+ 6 5月12日
This Is America 2+ 1 5月19日
Whatever It Takes 0 12 5月19日
Boo'd Up 0 11 5月26日
FRIENDS 0 16 5月26日
Lucid Dreams 0 74 5月26日

 

* “rockstar”のピークは昨年の集計分

☆トップ10滞在週、ピークは2018年間チャート集計期間内のもの

 ↑のデータ表などを踏まえて、曲ごとのポイントを解説していきます。

 

~ 年間トップ10に入る可能性が高そうな曲 ~

 

・God’s Plan

 言わずもがなの年間1位超筆頭候補。今年の序盤はラジオであまりポイントを稼がなそうなことを理由に、この曲が年間1位を取ることに対して私は懐疑的でしたが、それを吹き飛ばすほどビッグなストリーミングを記録し、大ヒットとなっています。(すいません。あと、ラジオもそれなりに良い数字をゲットした)

 Hot 100に登場するタイミングが良くて、ピークも高く、息も長い……など年間チャートで上位に入る上での好条件が揃っています。

 それだけでも十分なのですが、6月予定のアルバムリリースという「伸び代」も残しています!(アルバムがリリースされると、先行シングルがストリーミングで再浮上する傾向にある。例えば今年、Post Maloneの”rockstar”がアルバムリリースでストリーミングを伸ばしてHot 100のトップ10に返り咲いた)

 

・Perfect

 (集計期間内の)トップ10滞在が25週と最も長い曲。ラジオで不滅の人気を誇り、長いことチャートの上位に留まっています。上位キープの長さを見ると、実は年間1位の隠れ候補なのですが、チャート滞在最初の約10週が今年の年間チャートの集計「対象外」であることと、現在既にチャート滞在38週目で先が短いことを考えると最終的には“God’s Plan”よりは下になると思います。

 

・Nice For What

 Drakeその2。“God’s Plan”と同じく1位デビューを果たして以降上位をキープ。現在トップ10滞在が6週目。ラジオとストリーミングの両方で高い数字を叩き出していることから、今後もチャートの上位に残りそうです。(次のHot 100で1位復帰が濃厚)

 ほか“God’s Plan”の項目で説明したように、アルバムリリースによる再浮上も期待でき、年間チャートで好成績を期待できるのではないでしょうか?

2016に年間3位だった”One Dance”のようなチャートアクションを取ると考え、この“Nice For What”も年間3位にしました。

 

・Meant To Be

 ラジオマスター。ポップやカントリーといった規模の大きいラジオ系統を制し、チャート上位をキープしています。ピーク2位 / トップ10滞在15週と既に好成績を残しています。チャートに登場するタイミングが良くて、かつラジオを中心に今後も粘りを発揮しそうなので、年間4位です。(複数ラジオで活躍する曲は年間チャートで強い)

 

・Psycho

 Post Maloneの大ヒットその2。現状の成績はピーク2位、トップ10滞在12週。現在ラジオが伸び盛り(特にポップ系で好調)で、またiTunes割引を敢行。再び1位の座を伺います。ストリーミングも安定しており、夏ぐらいまではチャート上位にいるのでは?と考えて、年間5位としました。

 昨年の“Closer”と”Something Just Like This”と立場が似ています。“Closer”=”rockstar”で、”Psycho” = “Something Just Like This” です。

 

・Havana

 じわじわ上昇し、23週目という遅めのタイミングで1位も獲得した苦労人的な1曲。「じわじわ」のおかげでかなりポイントを稼ぐことに成功していますが、ただし既に40週目で先が短く(53週目以降は25位以上でないとチャートから外れる) 年間6位

 

・Rockstar

 大ヒットですがピークは昨年で、今年の集計期間内の成績は1位(3週)で、トップ10滞在が17週。アルバムのリリース時にはトップ10に復帰するなど、長いこと大人気ですが、現在チャート滞在35週目で古い曲を外す「リカレントルール」が迫っているので年間7位。

 上記の“Havana”と似たような成績を記録していて、どちらを上の順位にするか迷う所ですが、ピークが今年の”Havana”を上にしました。

 

~ トップ10入りはまだ微妙だが、他の候補よりはやや有利な曲 ~

・Look Alive

 ストリーミングを中心に長いこと人気の曲。DrakeのパワーもあってHot 100で6位デビューを果たし、その後も好位置をキープしています。現在ピーク5位で、トップ10滞在は13週。既にラジオのピークは過ぎており、またビデオもアルバムもリリース済で伸び代はほぼ無いですが、それでも今後もストリーミングの人気をキープして比較的上位に残るのでは?と読んでいます。

 昨年の”Body Like A Back Road"のポイント源がストリーミングバージョン、または”Jumpman"の強化版、そのようなチャートアクションを取っているように思います。

 この曲はShootというダンスの流行の元となり、各所で話題にもなっています。現在Hot 100で好調のFamous Dexの”Japan"でも”Look Alive"に合わせてそのShootを踊る場面があります。この曲への注目度の高さが分かると思います。

 

 ほかワークアウト曲としても適していることもストリーミングではプラスに働きそうです。あとは、Pitchforkがこの曲を年間ベストで高い順位に配置しそうな予感がします。(BlocBoy JBのアルバムは7.7点)

 

・The Middle

 現在ピーク5位 / トップ10滞在11週と年間トップ10には少し足りない成績な気がしますが、今後もラジオを中心に安定したチャートアクションを取るのでは?と考えて年間9位となりました。現在ラジオ1位をキープしており、あと何週間かトップ10に残るのでは?と予想。

 Zeddはこの曲で初のアダルトポップ系ラジオの1位を獲得。Zeddの曲はラジオと相性が良いですね。(アダルトポップ系は一回人気になった曲が比較的長く持つ傾向がある)

 昨年ピーク7位、トップ10滞在8週で年間17位だった“Stay”の強化版のようなチャートアクションを取っています。

 

~ 残り1枠?で迷った曲 ~

 ここまでの9曲はそこそこな速度で決まったのですが、残り1枠でとても悩みました。以下がその悩んだ有力候補の枠の曲たちです。

 

・Childish Gambino - This Is America

 Hot 100では首位を獲得。他に首位を獲得したDrakeの2曲、“Perfect”、”Havana”は年間トップ10予想にしていて、順当に行くならこれを年間トップ10のどこかに入れるべきだと思います。

 しかし私は昨年の“I’m the One”のようになるのでは?と予測しています。”I’m the One”は“This Is America”と同じタイミングでリリースされ、同じく1位でデビュー。その後そこそこ上位に残るが、ある時期から一気に下落。そして短命に終わりました。その結果、年間チャートではわずかにトップ10に届かず年間12位に。

 “This Is America”もそこまで長く持たず、わずかに年間トップ10に届かないかも?と考えています。リリース最初の週は凄まじいYouTube再生でHot 100の首位を獲得しましたが、その後下落。最新のデータでは先週比 -44.3%というすごいペースでYouTubeの調子を落としています。またApple MusicやSpotifyでも少しずつ後退していて、現在は全体的に勢いが落ちつつあります。

 政治的ニュアンスを持ったビデオが人々の興味を引き、結果的にビデオの再生数が伸びましたが、この曲には「重い」という側面もあると思います。強力なメッセージがあるぶん、1回耳にしたらサーッとは聞き流しづらい、「正座をして聞くような曲」 そのような考え方をしている人もいるかもしれません。

 多数の合いの手役を招き、純粋なヒップホップとしても充実していると思うこの曲ですが、今後はどのようなチャートアクションを取るか……良くも悪くも「一目置かれる」曲だと思いますが、それがチャートアクションにどう影響するか……

 (あとラジオも微妙かもしれません。ヒップホップ系やリズミックでは上位に入りそうですが、ポップ系とは相性が悪そう。しかし何故かロック系オルタナティブ)のラジオでこの曲がかかっているらしいです)

 ちなみにほぼ毎年、集計期間内に1位を獲得しても年間トップ10に入らない曲が何かしらあります。(2016年だと”Cheap Thrills"、2015年だと”Cheerleader"、2014年は"Timber"……など)

 

・Ella Mai - Boo’d Up

 個人的に年間トップ10に入れたくて仕方が無かった曲です。来週Hot 100でのトップ10入りが濃厚で、今後伸びそうな1曲。

昨年予想時には週間のトップ10にすら入っていなかったPost Maloneの“Congratulations”を「年間」のトップ10に入れて、的中させた……という昨年の再現を狙ってこの曲を予想に入れてみたかったのです。

 実際YouTubeApple Musicあたりのストリーミングで人気を博していて、今後もガンガン浮上しヒットになりそうな予感がすごくします。

 ただし、現在まだチャート入り7週目でそこまでチャート滞在が長くないこと、そして案外ラジオに伸び代がない(Hip-Hop / R&B系ラジオは今がピークといったところ) など“Congratulations”ほどのチャート成績を残すのは難しいと判断し、年間トップ10のリストからは外しました。ですが、今後のヒットを大いに期待しています。

 

・I Like It

 登場した週に8位、次の週9位。現在トップ10入りはわずか2週のみではありますが、まだシングルとしては発展途上であることなどから今後伸びる可能性があります。

 現在Cardi Bのメインシングルは“Be Careful”ですが、”I Like It”もシングルとしてラジオでかかっています。ポップ、リズミック、アーバンと幅広い系統でかかっていて伸び率も高め。今後のラジオのポイント上昇が期待できます。ラテン系*1やアダルトポップ系など、より広い系統のラジオに今後広がるかも?

 あとCardi Bのアルバムの中での一番人気の座を確保していることも大きいと思います。Cardi Bへの昨今のメディアの注目度が高く、今後彼女への注目度が落ちることは考えづらいです。(今年出産というイベントもありますし!) その彼女自身への注目がアルバムへの注目に繋がり、アルバムのストリーミングが長いこと高い水準を保つのではないか?という予想を私はしています。その恩恵を受け、アルバム一番人気の“I Like It”も長いこと人気を保つのではないか?と読んでいます。

 さらにまだビデオの公開やiTunes割引、はたまたリミックス(既に人数が多いから微妙かも)などチャートでプラスに働く「戦略カード」を残しているので、今後の伸びに期待できるのではないでしょうか?

というわけで、最終的にこの曲を選び、年間トップ10のリストに載せました。

 

・Ariana Grande - No Tears Left To Cry

 2014年に年間9位に入った“Problem”と似たような時期にリリースし、登場時の順位も3位で同じだった”No Tears Left To Cry”。 “Problem”の再現を狙います。

 ただし2014年当時はそこまで重要視されていなかったストリーミングが台頭し、そこで他のライバル達にやや見劣りする点が不安要素。ポップスとしては上々の水準のストリーミングを記録していますが、他のラップ曲などを打ち負かすパワーは無いと考え年間トップ10からは外しました。

 

・Drake – I'm Upset

 そんな年間トップ10のラストひと枠を悩んでいる間にリリースされた1曲。Drakeの曲なので、すぐにチャート上位へと駆け上がるでしょうが、この曲を聞いたところ“God’s Plan”や”Nice For What”ほどの接しやすさは無いと感じ、この2曲ほどはヒットしないと予想。

 

・Drakeのアルバムシングル

 Drakeが天下を握る昨今、アルバムからビッグなシングルが生まれる可能性もあるのでは?という考え方もできます。アルバムは6月リリースと考えられており、ここから巻き返して年間チャート上位に食い込むことは可能だと思います。

しかし、前のアルバム“Views”ではアルバムのタイミングでリリースした曲、”Controlla”や“Too Good”などは結局週間のトップ10にも入らなかったことから、Drakeは今回も先行リリース曲をアルバムのメインに据えるのでは?と予想。このことから、アルバムのタイミングでリリースされる曲は”God’s Plan”や“Nice For What”の影に隠れて年間トップ10には届かないと予想。

 

~ 可能性は低そう ~

 

・Bad at Love

 ラジオを中心に輝き、週間5位にも入った“Bad at Love”しかし落ちるスピードが早かったので、年間チャートではそこまで順位が高くないと思います。

 

・Finesse

 今年の序盤、記事やTwitterで何回か「既に今年の年間1位有力候補!」と書き記すも、そこまで伸びなかったこの曲。(予想を外して申し訳ない……)週のピーク3位で、トップ10にも14週入っていたというと好成績を収めているようにも見えますが、この曲も順位を落とすスピードが早いので、年間チャートではそこまで良い成績を出せないと思います。仮に今後現在の30位前後の順位を10週ぐらいキープできれば年間のトップ10に入る可能性はあるかも???

 

・New Rules

 ピーク6位、トップ10滞在5週と微妙な成績ながらも上位にいる期間が長かったため、総合的なヒット度は高めと思われます。ただし古い曲をチャートから外す「リカレントルール」の適用期間が迫っているため、年間チャートで上位に入るのは厳しいと思います。

 

・Walk It Talk It

・Be Careful

・Never Be the Same

・Whatever It Takes

 最近ヒットしている曲。ただしラジオなどを参照すると、今がまさにピーク or 既にピークが来たような曲が多く、あまり伸び代は無いと判断し、年間のトップ10には届かないと予想しました。

 

・FRIENDS

・Lucid Dreams

 伸び代はありますが、ここらへんはさすがに厳しいかと思います。まだ週間のトップ10に入るかすらも怪しいです。

 

・その他のアーティストのUpcoming Single

 終盤から巻き上げられるパワーを持つアーティストで、曲をリリースしそうな人が思いつきませんでした。

 

 

 

おまけ UK年間トップ10の予想

 今年はUKもやってみようと思います。ちなみにUKの年間チャートは1月 – 12月集計なので、まだ半年は経過していません。

 UKはかつてセールス中心のチャートで、年末の曲が一気に巻き返すことも可能でした。例えば2015年はJustin Bieberの“Love Yourself”、”Sorry”、Adeleの“Hello”と年の瀬にリリースされた曲が終盤のパンプアップで年間トップ10入りを果たしています。

 しかし最近はストリーミングがベースとなり、Billboardのように「だんだん上昇」&「ゆっくり下降」の曲の数がかなり増えました。そのことから、最近はイギリスの年間チャートでも年の前半の曲が年間チャートで有利となりつつあります。

 昨年のイギリスの年間チャートでは“New Rules”以外は年の前半からチャートインしている曲が年間トップ10に入りました。

 今年は昨年よりも年間チャートで後期の曲が上位に入りやすいかもしれません。UKチャートは昨年チャートを改定し、過去のヒット曲にゆるやかな規制をかけるようになり、トップ10に長く居座る曲が減ったように思います。

 

(つまり、現行ルールでの年間チャートが出来るのは今年が初で、読めない点もある)

 

では予想!↓

 

1 Calvin Harris & Dua Lipa - One Kiss

2 Drake - God’s Plan

3 Ed Sheeran - Perfect

4 Keala Settle - This Is Me

5 Drake - Nice For What

6 Rudimental feat. Jess Glynne, Macklemore & Dan Caplen - These Days

7 Dua Lipaのジェームズ・ボンド主題歌 (何かしらの未リリース曲)

8 Anne-Marie - 2002

9 George Ezra - Paradise

10 Portugal. The Man - Feel It Still

 

 ここ数週のイギリスを支配する“One Kiss”、そして今年序盤に9週連続1位だった”God’s Plan”が年間1位を争うと予想。最終的には地の利を生かして“One Kiss”がリードするのでは?と考えました。

 昨年終盤からUKトップに立ち、その後も息が長い“Perfect”が3位、DLが高め・上位でかなり粘っているThe Greatest Showmanの”This Is Me”が4位。

  リリース以降1位~3位と常に上位をキープする“Nice For What”が5位。アルバムでのパンプアップも期待できます。同じく1位まで到達した”These Days”が6位。イギリスで大ヒットながらもHot 100にはエントリーしない点が昨年のClean Banditの“Symphony”っぽいです。

 後半の曲にもある程度スポットライトが当たると考え、年間7位は今後リリースされる曲では!と予想。昨年の“New Rules”のように、イギリス産ミュージシャンが入るかな?と思っています。ここで書いたDua Lipaは例の一つです。(James Bondの主題歌を担当するという噂がある)ほかRita Oraなどの曲が後半大ヒットする可能性もあるかも。あとは定番Ed Sheeranのソングライト曲など?ほか個人的にはJorja Smithなどの飛躍にも期待。

 Ed Sheeran+Anne-Marieというイギリスにおける人気コンビの”2002”が今後伸びそうと考え8位、そしてロングヒットになりそうな“Paradise”と”Feel It Still”を9位と10位に配置しました。

 “Feel It Still”は昨年のヒット曲という印象が強いですが、イギリスでは今年に入ってから人気に火が付きました

 他の候補はM.O (MØではない)の“Bad Vibe”。UKチャートの「過去のヒット曲にゆるやかな規制」はトップ10滞在週数に由来するのでは?と個人的に考えており、トップ10に入らずこの規制を回避しているこの曲が年間チャートで上位に入る可能性もあるのでは?と考えました。

 サマソニでも来日するイギリスのラッパーRamzの“Barking”は週ピーク2位まで到達していますが、少しポイントが足りないと思います。 ちなみにこの曲、アメリカだと話題になっていませんが、実はドイツでは人気でシングルチャート4位まで到達しています。*2 

 ほか1位に浮上した“Freaky Friday”はややポイントが足りないと予想。

 

*1:ラテン系ラジオは実はグローバルヒットの英語曲もかける。昨年は“Shape of You”がラテン系ラジオ24位まで食い込んだ。この”I Like It”がラテン系ラジオのリスナー的に英語曲に属するのかラテン曲に属するのかは不明

*2:ドイツのSpotifyデイリーでは1位まで到達した

5/25 新曲/新リリースの初動を観察 【アルバム激戦区 / 今週もiTunesシングルトップ2はK-Pop関連】

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 今週は注目のアルバムリリースが多め!中でも中心になりそうなのは、直近の2アルバム が1位を獲得しているA$AP RockyとShawn Mendesか!画像は3年前のForbes Under 30の企画で偶然出会い、即興ソングを作る二人 *1

 

Spotify デイリーのアメリカトップ10 (金曜日)

1 Drake  Nice For What 178万
2 Lil Baby & Drake Yes Indeed 164万
3 Post Malone Better Now 151万
4 Childish Gambino This Is America 151万
5 A$AP Rocky feat. Skepta Praise The Lord 134万
6 Juice WRLD Lucid Dreams 133万
7 Drake  God's Plan 133万
8 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho 129万
9 BlocBoy JB feat. Drake Look Alive 112万
10 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It 107万

※赤字は新曲、数字は一日の再生数

 DrakeがSpotifyのトップ2つを支配。Apple Musicでもトップ2はDrake。

 A$AP RockyのアルバムからSkeptaを迎えた”Praise the Lord"が人気に。今回のアルバムの目玉シングルになりそうです。Skeptaは正式にHot 100デビューを果たすかも!(前のDrakeの”Skepta Interlude"は名義はDrakeのみだった)

 ほかJuice WRLDの”Lucid Dreams"も上位をキープしています!

 

② 新曲/新アルバム アメリカSpotifyデイリー順位

A$AP Rocky / Testing 圏内:14/14曲

11 A$AP Rocky feat. Moby, T.I. & Kid Cudi A$AP Forever REMIX
12 A$AP Rocky Distorted Records
15 A$AP Rocky feat. FKA Twigs Fukk Sleep
16 A$AP Rocky Tony Tone
27 A$AP Rocky Buck Shots
28 A$AP Rocky feat. Kodak Black CALLDROPs
32 A$AP Rocky feat. Juicy J Gunz N Butter
42 A$AP Rocky OG Beeper
53 A$AP Rocky feat. Frank Ocean Purity
54 A$AP Rocky feat. French Montana Brotha Man
61 A$AP Rocky Kids Turned Out Fine
67 A$AP Rocky Hun43rd
74 A$AP Rocky Changes
82 A$AP Rocky Black Tux, White Collar

 トップ10に入った”Praise the Lord"と合わせて、A$AP Rockyのアルバム全曲がランキング圏内に。順位も全体的に高いです。新たにT.I.とKid Cudiのボーカルを加えた”A$AP Forever”やアルバム最初の”Distorted Records"が人気。

 また、”Fukk Sleep"で客演を務めるFKA TwigsのHot 100デビューを密かに期待しています!(Apple Musicでも上位に入っているので、可能性はある!)

 

・Pusha T / DAYTONA 圏内:7/7曲

17 Pusha T If You Know You Know
36 Pusha T feat. Kanye West What Would Meek Do?
51 Pusha T The Game We Play
56 Pusha T feat. Rick Ross Hard Piano
62 Pusha T Come Back Baby
69 Pusha T Santeria
70 Pusha T Infrared

 Kanye Westが全面プロデュースのPusha Tのアルバムも人気。アルバム全曲が高い順位で登場しています。純粋にアルバムへの評判が良いだけではなく、Drakeへのディスなど「盛り上がり要素」もあるため、注目を集めています。

 Pusha T 対 Drakeのビーフは新たな展開が

 

・Shawn Mendes / Shawn Mendes 圏内:14/14曲

21 Shawn Mendes Nervous
39 Shawn Mendes In My Blood
41 Shawn Mendes feat. Khalid Youth
76 Shawn Mendes Where Were You In The Morning?
78 Shawn Mendes feat. Julia Michaels Like To Be You
80 Shawn Mendes Lost In Japan
93 Shawn Mendes Fallin' All In You
99 Shawn Mendes Particular Taste
101 Shawn Mendes Why
108 Shawn Mendes Because I Had You
123 Shawn Mendes Queen
128 Shawn Mendes Mutual
138 Shawn Mendes Perfectly Wrong
151 Shawn Mendes When You're Ready

 2人のラッパーに負けず存在感を発揮したのはShawn Mendes。彼もまたアルバム全曲がSpotifyのランキング圏内に入りました。3つのアルバムが「全曲ランキング入り」を果たすのは珍しい気がします。(少なくとも昨年は無かった)

 ポップ系のアクトはストリーミングで苦戦するケースも多いので、いくら人気のShawn Mendesといっても全曲ランキング入りは簡単なことではない気がします。今年ポップ系アクトで、アルバム全曲がSpotifyのランキング圏内に入ったのはCamila Cabello、Justin TimberlakeBTSに次いで4人(組)目。

 先行シングルの”In My Blood"や”Youth"に加えて、今週公開された”Nervous"が人気。この曲はJulia Michaelsがソングライトに参加。今後のシングル有力候補ですかね。

 ちなみに”Fallin' All In You"という曲はEd Sheeranがソングライトしていますが、特段注目されているわけではないですね。

 

・Juice WRLD / Goodbye & Good Riddance 圏内:3/15曲

26 Juice WRLD All Girls Are The Same
89 Juice WRLD Lean Wit Me

 ”Lucid Dreams"と”All Girls Are The Same"が人気のJuice WRLD。週の途中にアルバムをリリースしました。人気曲2つに加えて”Lean Wit Me"がランクイン。

 アルバムは全体的にロックの影響を感じるやや暗めな内容。

 

・J Balvin / Vibras 圏内:2/14曲

168 J Balvin Cuando Tú Quieras
177 J Balvin & Willy William Mi Gente

 シングルヒットは連発しているラテン界隈ですが、アルバムでは存在感をまだ示していないように思います。ラテンのエースJ Balvinが今週アルバムをリリースするも、そこまで大きな存在感を示すことができず。

 

・新曲

83 Panic! At The Disco High Hopes
103 Belly feat. The Weeknd What You Want
127 YG feat. 2 Chainz, Big Sean & Nicki Minaj Big Bank
181 G-Eazy feat. Nef The Pharaoh & P-Lo Power
197 Zayn Entertainer

 G-Eazyが3曲入りシングル(?)The Vaultをリリース。そのうち”Power"がランクイン。Panic! At the Discoが水曜日にリリースしたシングルも浮上しています。Zaynの新曲は注目度低め?など

 

③ プレイリストの動向

  🍎 S
Pusha T feat. Kanye West - What Would Meek Do?
Belly feat. The Weeknd - What You Want
A$AP Rocky feat. Skepta - Praise the Lord
Pusha T - If You Know You Know
A$AP Rocky - Tony Tone  
G-Eazy feat. Global Dan - Wasabi  
Zaytoven feat. Lil Uzi Vert - Strong  
Pusha T - Infrared  
Snoop Dogg & Dave East - Cripn 4 Life  
Denzel Curry - Percs  
Juice WRLD - Lucid Dreams  
Anderson .Paak - Bubblin  
Tyga feat. Offset  
A$AP Rocky - Buck Shots  

  

 今回からApple Music・Spotifyのプレイリストについての調査を始めます!それぞれのヒップホップ主要プレイリスト、Hip-Hop A List(🍎)とRapcaviar(S)に今週新たに入った曲を表にまとめました。

 Apple Musicのほうが曲の入れ替わりが早く、結果的に後のシングルをSpotifyのRapCaviarよりも先にキャッチできるケースが多いですが、今週🍎に入ったJuice WRLDの”Lucid Dreams"はRapCaviarが先にキャッチしていました。(”All Girls Are The Same"は先週から両方のプレイリストに入っていた)

 人気のアーティストがアルバムをリリースした際、それぞれのプレイリストで取り入れる曲が割れるのが見どころ。そこで、どちらのプレイリストが先にシングルを取り込めるか……

 どちらのプレイリストにもBellyとThe Weekndの”What You Want"が入りましたが、その影響でどちらのプレイリストにも入っていたBellyの前シングル”Maintain"が両方から外れました。

 またApple MusicのA Listに長らく入っていた”God's Plan"がついに外れました。プレイリストから外れても再生数がガクッと落ちることは考えづらいですが。

 

④  iTunesアメリカ 新曲の順位など

1 Kris Wu Like That
2 Jackson Wang  Fendiman
3$ Shawn Mendes In My Blood
4 Panic! At the Disco High Hopes
5$ Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho
6 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
7 Imagine Dragons Whatever It Takes
8 Ariana Grande No Tears Left To Cry
9 Bebe Rexha & Florida Georgia Line Meant to Be
10 Kane Brown Heaven

 $は割引

 

 先週に引き続き、USのiTunesシングルの上位2つをK-Pop関連アーティストが占めています!先週に引き続きKris Wuの”Like That"がiTunes首位、そして今週はGot 7のメンバーで香港出身のJackson Wangの”Fendiman"がiTunes2位に食い込んでいます。

 K-Popリスナーの規模が拡大していることが分かります。また、DLで上位に浮上するということは、ファンの「サポートしよう」という熱心さの表れでもあると思います。

 ほかアルバムを機に割引された”In My Blood"が浮上。

※後日追記 DrakeがPusha Tへのアンサー”I'm Upset"をリリースし、まもなくiTunes首位へ浮上しそう。

 

・新曲群

15 Maddie Poppe Going Going Gone
17 YG feat. 2 Chainz, Big Sean & Nicki Minaj Big Bank
32$ Shawn Mendes Nervous
53$ Shawn Mendes feat. Khalid Youth
56 Taylor Swift, Sawyr & Ryan Teder Delicate (remix)
69 A$AP Rocky feat. Skepta Praise the Lord
70 Belly feat. The Weeknd What You Want
73 A$AP Rocky feat. Noby, T.I. & Kid Cudi A$AP Forever
74 Z. Tao Misunderstand (誤會)
79 Juice WRLD Lucid Dreams
80 Zayn Entertainer
84 Jonas Blue feat. Jack & Jack Rise
89 Eli Young Band  Love Ain't
91 Pusha T feat. Kanye West What Would You Meek DO?
96 Dierks Bentley feat. Brothers Osborne Burning Man

 A$AP RockyやShawn Mendesのアルバム曲が一部ランクイン。 ほか”Delicate"のリミックスなど

 

⑤  iTunes アルバム順位 (アメリカ)

1 Shawn Mendes Shawn Mendes
2 Pusha T DAYTONA
3 A$AP Rocky TESTING
4 CHVRCHES Love Is Dead
5 サントラ The Greatest Showman
6 John Williams & John Powell A Star Wars Story
7 Snow Patrol Wildness
8 Post Malone beerbongs & bentleys
9 Five Finger Death Punch And Justice for None
10 J Balvin Vibras

  デビュー作・セカンドアルバムが2連続でアルバム1位に輝き、今週3枚目のアルバムをリリース……という共通点があるShawn MendesとA$AP Rockyがアルバム1位争いの中心でしょうか!

 ※Headline Planetなどによると、セールスで大幅にリードするShawn Mendesがそのままアルバム1位を取るのが有力だそうです。ストリーミングでもある程度ポイントを稼いでいる点も効きましたかね。

 

⑥ ラジオの近況

※数字は現在推定ラジオ順位

↑↓の数でどれくらい上がっているのか?下がっているのか?を表す

 

・上り調子

9 Maroon 5 Wait ↑↑↑
14 Ariana Grande No Tears Left To Cry ↑↑↑
16 Taylor Swift Delicate ↑↑↑
6 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho ↑↑
73 Selena Gomez Back to You ↑↑
12 Bazzi Mine ↑↑
35 Charlie Puth feat. Kehlani Done For Me ↑↑
70 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It ↑↑
120 Maluma El Prestamo ↑↑
33 Ella Mai Boo'd Up ↑↑

 Maroon 5のシングルがラジオでは好調。Hot 100ではまだ25位ですが、ラジオ次第ではトップ10も目指せるのでしょうか?ストリーミングは足りていませんが……

 

・下り調子

8 The Weeknd & Kendrick Lamar Pray For Me ↓↓↓↓
4 Bebe Rexha & Florida Georgia Line Meant to Be ↓↓↓↓
3 Drake God's Plan ↓↓
13 Dua Lipa New Rules ↓↓
112 Jon Pardi She Ain't In It ↓↓
41 Luke Bryan Most People Are Good ↓↓
101 Meghan Trainor No Excuses ↓↓
93 Rae Sremmurd feat. Juicy J Powerglide ↓↓
26 Jason Aldean You Make It Easy ↓↓
60 Tank When We ↓↓

  ”Pray For Me"がマイナスに。ストリーミングでもピークを終えているので、これからはHot 100の順位も落ちるか。

 

・今週ラジオでかかり始めた曲

ポップ系

37 Backstreet Boys Don't Go Breaking My Heart
47 NOTD feat. Bea Miller I Wanna Know
50 Jennifer Lopez feat. DJ Khaled & Cardi B Dinero

 アダルトポップ系でも好調のBackstreet Boysのシングルが浮上中。ストリーミングで人気のNOTDの”I Wanna Know"が登場。

 

アダルトポップ系

46 U2 Love Is Bigger Than Anything In Its Way
49 P!nk Whatever You Want

 アダルトポップ系ラジオを得意とする2つのアーティストが登場。

 

リズミック系

43 Kyle feat. Kehlani Playinwitme
49 Tank  When We
50 Caye feat. Wiz Khalifa Easy

 Spotifyで大人気の”Playinwitme"が登場。

 

アーバン系

44 Janelle Monae I Like That
45 Young Thug feat. Nicki Minaj Anybody
47 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It
49 DJ Esco feat. Future Chek
50 The Weeknd Call Out My Name

 ストリーミングで既に人気を得ている曲がラジオへ。Janelle Monaeは前シングルはポップ系ラジオで先に人気となりましたが、今回はアーバン系ラジオで先に人気に。

 Cardi Bはその逆で、”I Like It"はポップ系ラジオでかかり始めるのが早かったです。

 

⑦ 各種トップ10

Apple Music

1 Lil Baby & Drake Yes Indeed
2 Drake  Nice For What
3 A$AP Rocky feat. Skepta Praise the Lord
4 Pusha T If You Know You Know
5 A$AP Rocky feat. Moby, T.I. & Kid Cudi A$AP Forever
6 Pusha T feat. Kanye West What Would Meek Do?
7 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho
8 Lil Baby & Drake Yes Indeed
9 A$AP Rocky Tony Tone
10 Pusha T Infrared

 A$AP RockyとPusha Tのアルバムが人気。それぞれの人気曲がいくつかHot 100に登場しそう。 Apple Musicでは A$AP Rocky = Pusha T > Shawn Mendes > Juice WRLDの順に人気。トラックメイカー・Zaytovenのアルバムは注目度低め。

 ”Yes Indeed"は人気すぎて2つのバージョンがトップ10に。

 

・パンドラ

1 Drake Nice For What
2 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho
3 Bazzi Mine
4 Normani & Khalid Love Lies
5 BlocBoy JB feat. Drake Look Alive
6 Marshmello & Anne-Marie FRIENDS
7 Nicky Jam & J Balvin X
8 Shawn Mendes In My Blood
9 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
10 Jason Aldean You Make It Easy

 トップ10の面々は変わらず。”Psycho"と”Nice For What"の首位争い。

 

SoundCloud

1 Juice WRLD lucid dreams
2 Juice WRLD All Girls Are The Same
3 Famous Dex Japan
4 Lil Skies Lust
5 Rich the Kid Plug Walk
6 YoungBoy Never Broke Again Through the Storm
7 Ella Mai Boo'd Up
8 BlocBoy JB feat. Drake Look Alive
9 Lil Pump ESSKEETIT
10 XXXTENTACION feat. Trippie Redd Fuck Love

  正式リリース後はSpotifyApple Musicなどでも赤丸急上昇中のJucie WRLDがサウンドクラウドでも抜群の人気。 Ella Maiも浮上。

 

・Album Of The Year / Most Popular

1 Pusha T Daytona ☆
2 A$AP Rocky Testing
3 CHVRCHES Love Is Dead
4 Parquet Courts Wide Awake! ☆
5 Shawn Mendes Shawn Mendes ☆
6 Beach House 7 ☆
7 Courtney Barnett Tell Me How You Really Feel ☆
8 Clairo diary 001
9 Arctic Monkeys Tranquility Base Hotel & Casino
10 Stephen Malkmus and the Jicks Sparkle Hard

   Pusha Tのアルバムは、純粋に評価が高いだけではなく、Drakeディスでも注目を集めています。次いでA$AP RockyCHVRCHESが注目されています。

 ちなみにCHVRCHESは先行シングルのSpotifyでのストリーミングが良かったので、アルバムがSpotifyのランキングへ大量登場することもあるかな?と考えていたのですが、今週は激戦区だったので、それは実現せず。

 Shawn Mendesは現状ではレビューの数が少なく(4)、NMEが80点を付けるなどしているので、批評家平均が75点と良い数字。

 8位のClairoはボストン出身の女性SSW。PC MusicのDanny L Harle や Rejjie Snowなどがアルバムに参加。

 

⑧ 個人的・今週のお気に入り7曲

 「今週」と題していますが、新曲でない曲が混ざるケースもあると思います。

 

A$AP Rocky feat. Moby, T.I. & Kid Cudi - A$AP Forever Remix

・Pusha T - If You Know You Know

・Shawn Mendes - Nervous

CHVRCHES - Forever

・Hatchie - Sugar & Spice (オーストラリア・オルタナティブ

・Clairo feat. Danny L Harle - B.O.M.D. (アメリカ・オルタナティブ

・G-Eazy feat. Global Dan - Wasabi

 

Hot 100 5/26 見どころ 【好調のラテン界隈!今週もUSトップ40に突入!+カントリー界の王子】

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 今週はラテン の活躍が際立っています!先週ミームの”Dame Tu Cosita"がUSトップ40入りを果たしたのに続き、今週もラテン曲が新たに(ヒットの基準とされる)トップ40に入りました!ラテン界隈からは続々とスターが誕生しており、いま注目の業界ですね! ↑はその”Te Bote”に参加した6人。 *1

 今週はほかカントリー界の王子・Drakeが来週成し遂げそうな記録 など

 

~今週のHot 100ハイライト~

・“This Is America”が首位をキープ。上位はあまり動かず1位~6位が先週と同じ

・サウンドクラウド発のラッパーJuice WRLDが初のHot 100入り。“Lucid Dreams”と”All Girls Are the Same”の2曲。

・Lil Baby & Drakeの“Yes Indeed”3日分の集計ながらも49位デビュー

・Playboi Cartiがアルバム3位& “Shoota”がシングル46位

・現在YouTube再生世界1位!ラテンヒット“Te Bote”がUSトップ40入り

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Post Malone feat. Ty Dolla $ign - Psycho

今週最もダウンロードが上昇した曲 Kane Brown – Heaven

今週最もストリーミングが伸びた曲 Childish Gambino – This Is America

最も高い順位で新登場した曲           Playboi Carti feat. Lil Uzi Vert - Shoota

 

 

曲の個別解説

[New] 91 Lil Skies – Lust

 19歳のラッパーLil Skiesが3曲目のHot 100。“Lust”が91位で登場。YouTubeでのビデオリリース以降注目を集め、浮上。YouTube(今週31位)、サウンドクラウド(今週5位)などで人気。Apple MusicやSpotifyでも中位にランクイン。

 ラジオではようやく“Red Roses”(この曲はHot 100では今週87位・19週目)がかかり始めた段階ですが、ストリーミングでは一個次のシングルの人気が出始めています。この「サイクルのズレ」がHot 100でうまく行かない要因になるケースも時折あります。

 

[New] 77 Reik feat. Ozuna & Wisin – Me Niego

 Reikの“Me Niego”が77位で登場。Reikにとっては初のHot 100に。今週ラテン系ラジオの1位ほか、YouTubeでUS35位。世界全体のYouTubeランキングでは、今週6位。

 

[New] 74 Juice WRLD – Lucid Dreams

 シカゴ出身のラッパーが初のHot 100デビュー。“All Girls Are the Same”が92位、”Lucid Dreams”が74位でそれぞれ登場。

 この“Lucid Dreams”は2017年半ばのリリース以降、サウンドクラウドで人気に。その人気を受けて、この曲と”All Girls Are the Same”が正式にリリースされSpotifyApple Musicで「開放」。そこからさらに人気が上昇し、2曲がHot 100にエントリーしました。特にSpotifyでは人気で、現在Spotifyのトップ10に接近中。

 “Lucid Dreams”はStingの”Shape of My Heart”をサンプリング。哀愁のあるメロディラインが特徴です。

 ちなみにLucid Dreamとは明晰夢という意味。明晰夢とはそれを夢と認識しながら見る夢のことです。

 

[↓] 51 Post Malone feat. Nicki Minaj – Ball For Me

 Post Maloneが今週もアルバム1位をキープ。純粋なセールスは18000枚(今週5位)ながらも、ストリーミングでの人気によって大きくポイントを稼いでいます。純粋に人気なだけではなく、曲数が多いことも集計でプラスに働いています。(アルバムの収録曲数に関わらず 1500ストリーミング=1アルバムセールスとカウントされるため)

 リリースから3週目にあたる今週も、アルバム18曲のうちまだ13曲がHot 100に残っています。“Better Now”は非シングルですが、今週もトップ40圏内に残っています(26位)

 どの曲もストリーミング大人気で、アルバムからのシングル候補は豊富にありますが、“Ball For Me”が最近シングルに決定したそう。これに対応し、SpotifyのプレイリストRapCaviarは”Ball For Me”を同リストに追加しました。シングルを決めると、純粋にラジオのポイントを稼げるだけでなく、「ストリーミングでどの曲を聞けば良いのか?」が統一できるため、シングルチャートに良い影響が出るかもしれません。 *2

 彼の現行シングル“Psycho”はラジオで好調。今週ラジオの伸び幅が最も大きい曲になりました。ラジオで上位の曲が現在横ばいor下落中なので、ラジオの1位をもしかしたら狙えるかも?(現在のラジオ1位はZeddの”The Middle”。しかし指数は低め)

 

 ちなみに今週のアルバム2位はP!nk。チケット付きCDをリリースし、大きくセールスを伸ばしました。しかしわずかにPost Maloneに及ばず。(Post Maloneは14.7万枚相当、P!nkは13.9万枚相当)

 

[New] 50 Selena Gomez – Back To You

 Selena Gomezの“Back To You”が50位で登場。DLが今週6位。自身が監修?するドラマ”13 Reasons Why”のサントラからの1曲。

 ポップ系を中心にラジオで好調。今週ポップ系ラジオで35→24位とジャンプアップ。

 また同サントラに採用される16歳のソングライターBillie EilishとKhalidの“Lovely”が浮上中。今週120位相当。

 

[New] 49 Lil Baby & Drake – Yes Indeed

 火曜日のリリースで集計は3日分ながらも、49位に食い込んだLil BabyとDrakeの“Yes Indeed”。ストリーミングで大人気。Apple Musicではリリース後すぐに首位に立っています。

 来週は集計がフルの7日分になり、またLil Babyのアルバムリリースがチャートに反映されることから、大きな上昇が見込まれます。Hot 100でトップ10入りする可能性が高いと思います。来週はトップ10にDrakeの曲がたくさん並ぶかも?(“Walk It Talk It”の項に詳しく書いています)

 Lil Babyのアルバムからも何曲かHot 100エントリーするかもしれません。(“Life Goes On”が有力な候補) また、ストリーミングの人気によってアルバムチャートでも上位に入りそう。(Post MaloneとBTSに次ぐ3位?)

 

[New] 46 Playboi Carti feat. Lil Uzi Vert – Shoota

 Playboi Cartiが初のスタジオアルバム“Die Lit”をリリース。今週アルバムチャートの3位に入っています。純粋なセールスは5000枚(今週31位)ながらも、ストリーミングの人気(ストリーミングのみでアルバム55000枚セールス相当の成績を記録)によって3位に食い込みました。

 アルバムからは1曲がHot 100に。Lil Uzi Vertとの“Shoota”が46位で登場。

 Hot 100入りは惜しくも逃しましたが、Travis Scottとの”Love Hurts”が115位相当、Nicki Minajとの“Poke It Out”が113位相当にランクインしました。

 

[↑] 39 Calvin Harris & Dua Lipa – One Kiss

 Calvin HarrisとDua Lipaの“One Kiss”が39位へ浮上。トップ40入りを果たしました。Dua Lipaにとって”New Rules“に次いで2曲目のUSトップ40。”IDGAF”はまだトップ40には到達していません。(今週59位) 一方Calvin Harrisは14曲目のトップ40に。(トップ40はヒットの基準とされている)

 ラジオではポップ~リズミックと幅広い系統でかかり、またストリーミングも悪くない数字を記録していて、ポイントのバランスが良い印象。まだまだ伸びそうです。

 

[↑] 38 Casper Magico, Nio Garcia, Darell, Nicky Jam, Ozuna & Bad Bunny – Te Bote

 ラテンの飛躍。Casper Magicoらの“Te Bote”が38位へ浮上。トップ40に入りました。Bad Bunny以外は全員はじめてのUSトップ40。他にもJ Balvin とNicky Jamの”X”が今週41位、Daddy Yankeeの“Dura”が今週43位など他のラテン曲もUSトップ40を伺っています。

 実はYouTubeでは“This Is America”を差し置いて、今週世界合算再生数1位を記録(US限定だと8位。USのYouTube1位は”This Is America”)またApple MusicやSpotifyでも50位前後に入っており、人気。ラテン系ラジオでは13位。おそらくポイントのほとんどをストリーミングから稼いでいるでしょう。

 ラテン系はリミックスなどで客演を多く配置し、スターが新たなスターを紹介し……という好循環が続いているように思います。この曲はもともとCasper Magico、Nio Garcia、Darellの3名による曲でしたが、Nicky Jam・Ozuna・Bad Bunnyとラテン系の大物が加わり、ヒットとなりました。

 

[↑] 36 Taylor Swift – Delicate

 Taylor Swiftの“Delicate”が36位浮上。トップ40入りを果たしています。アルバム”Reputation”からのシングルは「リリース時に大きく注目→尻すぼみ」に終わることが多かったですが、このシングルは逆にじわじわ上昇しています。この調子を維持したいですね。

 今週ラジオを24位→20位と伸ばしています。

 これでTaylor Swiftにとって56曲目のトップ40に。歴代で5番目に多いトップ40で、女性としては最多。(1位はElvis Presleyの80曲、2位はDrakeの72曲)

 

[↑] 35 Luke Combs – One Number Away

 Luke Combsの“One Number Away”が35位へ浮上。キャリア3曲目のトップ40入りを達成。

 昨年の“Hurricane”以降全てのシングルがトップ40入りと好調をキープしています。

 Luke Combsは見た目に貫禄?はありますが、昨年デビューアルバムをリリースしたばかりの新人です。

 

[↑] 15 Kane Brown – Heaven

 Kane Brownの“Heaven”が15位へと浮上。カントリー系ラジオで首位に立っていることに加えて、今週DLが伸びた(14位→4位)ことが好調の要因。”What Ifs”(ピーク26位)を超える自己最高位を記録しています。

 ただしラジオは既に下り坂になりつつある点から、今週(または来週)あたりがピークになりそう。Hot 100での15位はカントリー歌手としてはかなり優秀な成績だと思います。

 カントリー曲はストリーミングを苦手としがちですが、この“Heaven”はApple MusicでもSpotifyでもそれなりに上位に入っています(60位~80位程度)

 Camila Cabelloの“Never Be the Same”リミックスに参加し、この曲のトップ10入りにも寄与したKane Brown。この”Heaven”などヒットを飛ばしているだけでなく、本人も「既存のカントリーの枠にとらわれない活躍をしたい」と示唆していることから、今後ポップ系シングルの客演として重宝されるかも?

(Kane Brownのインタビュー)

 

 

[↑] 12 Migos feat. Drake – Walk It Talk It

 Migosの“Walk It Talk It”が12位へ浮上。シングル化されて以降、Hip-Hop / R&B系やリズミック系など、ラジオで好調。ストリーミングもYouTube7位など好調をキープ。再びトップ10入りを狙います。

 仮にこれが来週トップ10に入ることができれば、Drakeは大記録の達成を狙えます。Drakeは既存の“Nice For What”、”God’s Plan”、“Look Alive”に加え来週はLil Babyとの”Yes Indeed”がトップ10入り有力で、これらが来週全てトップ10入りを果たせば史上4人(組)目となる「トップ10に同時4曲ランクイン」という記録を達成します。

 それだけでも十分凄い記録なのですが、この4曲に加え仮に“Walk It Talk It”も来週トップ10に入ることが出来れば、「トップ10に同時5曲ランクイン」というThe Beatlesしか歴代で達成していない記録を樹立できます!

 ただライバルも多いので、来週のトップ10復帰の可能性は微妙か。

 今週17位→11位と順位を伸ばしたElla Maiの“Boo’d Up”やラジオが好調の”Whatever It Takes”(今週14位)がトップ10エントリーの競合か。

 

 

今週チャートから外れた曲 (9曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

98 YoungBoy Never Broke Again - Preach (🗻98位 /⏰1週)

96 Cardi B feat. SZA – I Do (🗻23位 /⏰5週)

95 Mason Ramsey – Famous (🗻62位 /⏰2週)

94 YoungBoy Never Broke Again – Diamond Teeth Samurai (🗻59位 /⏰5週)

93 Post Malone – Blame It On Me (🗻47位 /⏰2週)

89 Post Malone – Otherside (🗻46位 /⏰2週)

84 Nicki Minaj – Barbie Tingz (🗻25位 /⏰4週)

81 Cardi B feat. 21 Savage – Bartier Cardi (🗻14位 /20週)

65 Shawn Mendes feat. Khalid – Youth (🗻65位 /⏰1週)

 

 

来週以降の動向 ・プレイリスト

 

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集

 

・Lil Baby feat. Gunna & Lil Uzi Vert – Life Goes On

・Gunna feat. Lil Baby – Sold Out Dates

 来週Hot 100に入るかもしれない?Lil Baby & Gunnaコンビの2曲。前者はLil Babyのアルバムの2番人気、後者は今週102位相当と既にHot 100に接近中。

 どちらかが来週Hot 100に入ればGunnaは初のHot 100。Gunnaは……

 

・Britton Buchanan – Where You Come From

・Brynn Cartelli – Walk My Way

 The Voiceのパフォーマンスを受けてDLが浮上した曲。ただしThe Voiceの曲はストリーミングで開放されておらず、ポイントをDLのみで稼ぐ必要があり、Hot 100エントリーへのハードルがいつも高いです。

 この2曲は週間2位~5位相当のDLを稼いでいますが、それでもHot 100にエントリーするかは微妙な水準。

 

BTS – FAKE LOVE

 リリース後24時間でYouTube約3590万再生(全世界)を記録。これは“Look What You Made Me Do”と”Gentleman”(Psy)に次ぐ3番目の成績。

 USではどこまでの数字を記録しているか不明ですが、このYouTubeやDLのポイントが活きて、Hot 100では40-15位で登場しそうです。アルバムチャートではPost Maloneとの熾烈な1位争いを展開中。

 

 

・その他の新曲情報はこちらを参照してください!

 

 

・プレイリスト

 

 

 

*1:画像は http://frecuenciario.com.ar/?articulos_seccion_1566/id_1021/te-bote-remix より

*2:各ストリーミングサービスによる、「どちらが先にシングルをプレイリストに取り込めるか?」という争いに密かに注目しています

Spotifyの公式プレイリストからの除外はXXXTENTACIONにどのような影響が?+復帰後は?

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 XXXTENTACIONがSpotifyの公式プレイリストから除外されたことが各所で話題になりました。理由は「反暴力の規定」によるものだそう。結局どのくらい影響があったのか?除外が実施されてから1週間が経過したので、分析したいと思います。

 (たしかにRapCaviarなどの主要プレイリストからは外されていますが、This Is XXXTENTACION = Apple Musicの「はじめてのXXXTENTACION」に当たるプレイリスト は残っているので、全部が全部消えた訳ではないようですね)

 さらにその後、プレイリスト復帰など様々な動きを見せたので、その動向もまとめました!

  Billboardがこの事例の経過と関連ニュースをまとめています。タイトルには「除外されたアーティストのストリーミングが落ちた」との情報が。

 また記事の最後には「どこに基準を置くのか?」「誰が判断を下すのか?」などとし、今後もこの問題が長引く可能性があるとしています。

 

 記事中ではXXXTENTACIONが具体的にどのくらいストリーミングが落ちたのか?が説明されています。Spotifyの有力プレイリストに入っていた“SAD!”は除外されたことによってSpotify内のストリーミング数が17%落ちたとのことです。

 また、除外の影響で“SAD!”は選択型ストリーミング*1全体でも9%落ちてしまいました。Spotifyの規模が大きいからでしょうか。

 

 「Spotifyで”SAD!”が17%下落!」「ストリーミング全体で9%も下落!」と聞くとXXXTENTACIONは「除外」で深刻なダメージを負ったように思えます。

 しかし、実は“SAD!”以外の曲を見ると、案外そこまで痛手を負っていない、という見方もでる、と私は考えています。

 以下は5/3、5/10、5/17のUSにおけるSpotify週間再生数のデータ表です。XXXTENTACIONが公式プレイリストから除外されたのは5/10頃とされているのです。除外の影響が出るのは5/17のデータです。

 

()内の数字は再生数の順位 *2

[]内はそれぞれの収録アルバムを指す。

“?”は 2018年の3月16日、”17”は2017年の8月25日にリリース。

 

  5月3日 5月10日 5月17日
SAD! [?] 7,427,711 (24) 7,104,955 (16) 5,921,607 (16)
Moonlight [?] 4,394,928 (47) 4,008,847 (48) 3,589,068 (50)
Jocelyn Flores [17] 2,892,969 (66) 2,794,493 (68) 2,657,124 (71)
Changes [?] 2,807,976 (69) 2,574,387 (75) 2,443,132 (83)
Fuck Love [17] 2,569,797 (90) 2,504,351 (82) 2,342,556 (89)
Everybody Dies in Their Nightmares [17] 1,850,648 (142) 1,812,019 (139) 1,708,770 (147)
the remedy for a broken heart [?] 1,718,901 (157) 1,587,703 (171) 1,468,308 (193)

 

 表を見ると、“SAD!”は大きくストリーミングが減っていることが分かります。5/10と5/17を比較すると、Billboardが示した「17%減」と一致します。

 しかしそれ以外は「自然減」程度に留まっています。(少し“Everybody Dies in Their Nightmares”の減少が多い気もしますが。この曲もある程度何らかのプレイリストに入っていたのかも?) ここで言う「自然減」とはリリースから時間が経って注目度が落ちることによる再生数の減少を指します。

 ”SAD!"以外の曲は軒並み、5/3→5/10の減少幅と5/10→5/17の減少幅にあまり違いがありません。

 つまりプレイリストから外れた主要曲(“SAD!”)以外はあまり影響を受けていない、ということが分かると思います。

 

 そしてこの表から読み取れるポイントがもう一つあります。それは「シングル以外も多くランキングに残っている」という点です。

 「シングル」とは、ラジオでかかっている or ビデオが作られているなどの理由から「スポットライトが当てられているアルバム内の曲」を指します。プレイリストの選曲もこの「シングル」に依拠して決まることが多いです。*3しかしシングルではない曲が↑の表には何曲かあるのです。

 “?”からは“Moonlight”と”the remedy for a broken heart”と2曲シングル「ではない」曲がランクイン。また”Changes”もWikipediaにはシングルと表記されていますが、ラジオでもほぼかかっておらず、ビデオもありません。 *4

 そして“17”からは”Everybody Dies in their Nightmares”が「非」シングルながらもランクインしています。

 このことから何が分かるかというと、XXXTENTACIONには「世の中のシングル・非シングル」に左右されずに曲を聞く熱心なリスナーがたくさんいるということです。そして、これらの曲は「除外」の前後でも「自然減」程度のマイナスに留まり、あまり影響を受けていません。

 

 このように、XXXTENTACIONにはプレイリストや「シングル」のサポート無しでも大きな支持基盤があるのです。また、それぞれある程度リリースから時間が経過していますが、それでも多くの曲が上位に入っているのは熱心なリスナーが多いことを表しているのではないでしょうか。特に約9ヶ月前にリリースされたアルバム"17"から未だに3曲も残っているのは驚異的だと思います。

 

 たしかに、プレイリストから除外されてしまうことは、ある程度はマイナスに働きますが、XXXTENTACIONには世の中の「シングル・非シングル」に囚われずアルバムごと聞くような熱心なリスナーが多くいることが推測され、「除外」の影響力は限定的なものになるだろうと私は考えています。

 

 今後も「除外」の対象になるアーティストが増えるかは分かりませんが、仮に実行されれば、シングルで勝負をするタイプのアーティストは大きな痛手、アルバムで勝負をするタイプのアーティストはそこまでダメージが無い、ということは言えると思います。

(シングル勝負=ポップシンガー、アルバム勝負=ラッパー、インディー寄りアーティストなど あくまで傾向の話ですが)

 ただし、「除外」の対象が「新アルバム通知」にまで及び、かつ新アルバムのリリースのチェックをSpotify内「のみ」で行っているユーザーが多かった場合は、影響があるかもしれないです。

 

☆その後の展開

 Kendrick Lamarが自身の音源をSpotifyから引き下げることを示唆したことをはじめとして、Spotifyの「除外」の判断に対する批判は多く、Spotifyは結局判断を翻すことに。6/1付けでXXXTENTACIONの”SAD!"をRapCaviarに戻しました。

 

 では、実際にプレイリスト復帰を果たして再生数はどのように動いたでしょうか?同様に該当期間のUS週間Spotify再生数ランキングのデータを見比べてみます。6/7のデータから復帰が反映されています。

 

  5月24日 5月31日 6月7日
SAD! [?] 5,516,756 (15) 4,995,292 (17) 5,091,216 (23)
Moonlight [?] 3,139,675 (55) 2,838,826 (64) 2,706,632 (69)
Jocelyn Flores [17] 2,580,868 (71) 2,413,983 (83) 2,326,269 (87)
Changes [?] 2,284,482 (85) 2,026,513 (121) 1,865,345 (127)
Fuck Love [17] 2,234,052 (93) 2,084,065 (114) 2,023,498 (109)
Everybody Dies in Their Nightmares [17] 1,631,090 (163) 1,541,259 (188) 1,496,189 (182)

 

  ”SAD!"は5/31から、プレイリスト復帰後の6/7で2%しか再生数が増加しておらず、「あまり変化が無い」ようにも見えますが、5/24→5/31の激しい減少ペースを考慮すると、その激しい減少を抑えてプラスに転じたという点で、プレイリスト復帰は2%以上のプラスをもたらした可能性もあります。

 他のアルバム曲はあまり動かず。昨年のアルバム"17"の収録曲が依然として影響力を保っています。

 

☆その後の展開2

 その「復帰」からあまり時間が経っていない6/18、XXXTENTACIONに思わぬ悲劇が訪れます。XXXTENTACIONは地元で銃撃を受け、帰らぬ人となってしまいました。

 現在も”SAD!"はHot 100にエントリーしていて、まさに今楽曲がヒット中の現役ラッパーの死とあって、人々に与えたショックはとても大きく、その後XXXTENTACION関連の曲はSpotifyを含む各種ストリーミングのランキングで急浮上しました。

 その人気を受けてか、RapCaviarは6/22の段階で、”Moonlight"をプレイリストに戻しました。”SAD!"は「除外」が解除されたタイミングでプレイリストに復帰していたので、現在はRapCaviarにXXXTENTACIONの曲が2つある、ということになります。

 約1ヶ月前には、「問題のあるアーティスト」としてプレイリストから除外されていたXXXTENTACIONでしたが、現在は2曲もがプレイリストに。

 「除外」をした過去を改め、プレイリストに入れることでアーティストへの「リスペクト」を示した、とも取れます。

 ただし、今にそのような行動を見ていると、果たして1ヶ月前の「除外」はする必要があったのか?とも感じ、何ともやるせない気持ち、もあります。 

 

おまけ

 また、“SAD!”が大きく再生数を落としたのは”RapCaviar”の特性が表れているとも言えます。SpotifyのRapCaviarと(似たような役割を持つ)Apple MusicのHip-Hop A Listを比較すると、RapCaviarはやや古い曲も残している(現在昨年10月末リリースの“Ric Flair Drip”も残っている)のに対して、Hip-Hop A Listは入れ替わりが早めです。

 このことから、SpotifyのRapCaviarは「聞き心地重視」、Apple MusicのHip-Hop A Listは「発掘重視」という考え方ができると思います。つまり、RapCaviarを頼りにラップを聞いている層が一定数はいるのでは?ということもこのデータから伺えます。

 ちなみにRapCaviarに入ってもUSのSpotify人気ランキング200位圏内に入らない曲もあります。(現在入っている曲だとYBN NahmirとYBN Almighty Jayの”Bread Winners"や、Jay Rockの”The Bloodiest"など)

 

 また、彼に限らず場合ストリーミングでは「アルバム曲」が力を持つようになってきているように思います。その部分の分析も、今後行っていきたいです。

 

...

*1:オンデマンド・ストリーミングと呼ばれる。Apple MusicやSpotifyなどのオーソドックスなストリーミングサービスがこれに当たる。曲の選択を任意で行えるストリーミングサービスを指す。パンドラやYouTubeはこれに当てはまらない

*2:5/3→5/10で“SAD!”の再生数が減っているにも関わらず、順位が上昇しているのは、Post Maloneのアルバム曲が順位を落としたため

*3:リリース直後は、シングルではない曲をとりあえず何曲か入れるケースもあるが、だんだんシングルに統一されていく傾向がある。

*4:そもそもXXXTENTACIONはラジオの恩恵をあまり受けていません。最新シングル”SAD!"こそ Hip-Hop / R&B ラジオチャートの35位まで到達しましたが、それ以外のシングルはこのチャートの50位以内に入ったことが無いです。つまり今までほぼストリーミングでチャート入りを果たしていたのです。ちなみに客演ではKodak Blackとの”Roll in Peace"がラジオのチャートに登場したことがあります。