チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 7/28 見どころ 【名裏方Benny Blancoが自身の名義でHot 100入り / Chun-Liが不完全燃焼】

 

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 こんばんは!今週はBenny Blancoなど、はじめてHot 100入りを果たすアーティストが多くいました!ほかNicki Minajのシングル、”Chun-Li"が不完全燃焼に終わる、【2連Ocean】、遅れてきたKygoなど。

 

☆今週のHot 100 ハイライト

・“In My Feelings”が引き続き圧倒的成績で首位。1週間のストリーム数の記録を更新(約1億1620万)

・”God is a woman”は11位デビュー

・Benny Blancoなど多くのアーティストがHot 100初登場を果たしています

・Nicki Minajの“Chun-Li”が滞在14週という不本意な成績でチャートから外れる

 

☆今週の1位~10位

1 Drake – In My Feelings

2 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin – I Like It

3 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You

4 Drake – Nice For What

5 Ella Mai – Boo’d Up

6 Juice WRLD – Lucid Dreams

7 Post Malone – Better Now

8 Ariana Grande – no tears left to cry

9 Post Malone feat. Ty Dolla $ign – Psycho

10 Drake – God’s Plan

 

曲の個別解説

↓今週のHot 100順位表

 

 ☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降 

☆94 Kygo feat. Miguel – Remind Me To Forget

 KygoとMiguelによる“Remind Me To Forget”が94位で登場。Kygoにとっては5曲目のHot 100エントリーに。

 この曲はリリースが少し前で、他の国のチャートではピークは少し前の時期(だいたい5月頃)に来ているのですが、アメリカではこの時期に登場したのは、ラジオでかかりはじめたのが最近だからです。

 ポップスでは、アメリカではラジオのピークがそのままHot 100のピークになるケースになることが多いので、微妙に他の国より遅いタイミングで曲が流行るケースが時折見られます。

 

☆92 Bebe Rexha – I’m A Mess

 Bebe Rexhaの“I’m A Mess”が92位で登場。先月リリースされたアルバム、”Expectations”から初のシングルです。(”Meant to Be"は前のEPからのシングル、とカウント)

 この曲は主にポップ系ラジオやSpotifyで人気。現在もヒット中のシングル“Meant To Be”の勢いに乗ってこの曲もヒットなるか!

 

☆90 G-Eazy feat. Yo Gotti & YBN Nahmir – 1942

 G-Eazyの”1942”が90位で登場。客演はYo GottiとYBN Nahmir。この曲は「お爺ちゃんバスケットボール映画」“Uncle Drew”のサントラにも採用されています。

 この曲は現在、Apple MusicのプレイリストHip-Hop A List、SpotifyのプレイリストRapCaviar*1からは外されていて、ストリーミング内のピークは既に過ぎている印象がありますが、ラジオ(リズミック系など)が伸びたことにより、このタイミングでHot 100にエントリーしました。

 

※似たような状況(既にプレイリストから外されているものの、シングルとしてラジオで浮上中)にある、Migosの“Narcos”も今週93位でHot 100に再登場を果たしています。

 

☆87 TK Kravitz feat. Jacquees – Ocean

 TK KravitzとJacqueesによるR&B曲“Ocean”が87位で登場。TK Kravitzにとっては初のHot 100入りに!

 この曲は主にR&B / Hip-Hop系のラジオで人気(12位)。

 ちなみに88位もMartin Garrixの“Ocean”で、2連”Ocean”がHot 100に出現しています。

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 Martin Garrixは、“Animals”という曲でHot 100デビューを果たしていましたが、その時Maroon 5の”Animals”も同時にヒットしていて、以前も「曲名被り」を体験しています。

 

☆79 twenty one pilots – Nico And The Niners

 先々週の水曜日にリリースされたtwenty one pilotsの”Nico And The Niners”が79位で登場。

 もう一つのシングル、”Jumpsuit”は今週60位→50位に。トップ40に突入すると思っていましたが、そこまでは到達せず。この曲はオルタナティブロック系ラジオで今週1位になっています!

 2曲とも先々週の水曜にリリースされたため、先週のチャートではリリースから1日目~2日目が、今週のチャートから3日目~9日目分が集計の対象だったのですが、DLが多かったのは、日数が短いながらもリリース直後にあたる先週のほうでした。

 

☆72 Wiz Khalifa feat. Swae Lee – Hopeless Romantic

 Wiz Khalifaの25曲入り”Rolling Papers 2”がアルバムチャート2位で登場。主にストリーミングで人気。

 アルバムからは2曲がHot 100入りを果たしています。先行リリースされていたSwae Leeとの“Hopeless Romantic”が72位、Lil Skiesを迎えた”Fr Fr”が73位で登場しています。

 また、101-125位相当の曲を扱うBubbling Underには”Hot Now”が 104位、Gucci Maneとの“Real Rich”が110位で登場しています。“Real Rich”はBlocBoy JBの”Look Alive”をヒットに導いたTay Keithがプロデュースを担当しています。

 

 今週のアルバムチャートは新登場が少なく、アルバムチャートのトップ10に新登場した作品はこのWiz Khalifaのアルバムのみでした。

 来週も同じように新リリースが少なく、アルバムチャートのトップ10に新登場がゼロの可能性も。

 

☆71 Eric Church – Desperate Man

 カントリー歌手・Eric Churchの新曲“Desperate Man”が71位で登場。DL(今週9位)やカントリー系ラジオで人気。

 先週までストリーミングの人気によって大量エントリーしていたDrake、Future、Meek Millの曲が減少したことからHot 100の「枠が空き」、今週登場した、または順位を上げたカントリー曲は多いです。(カントリー曲は地道にラジオを伸ばしてゆっくりとチャートを上昇することが多い)

 Cole Swindellの“Break Up in the End”が91位に再登場、Dylan Scottの”Hooked”が85位に登場、またBrett Youngの“Mercy”が38位とトップ40入りを果たしています。

 

☆68 Juice WRLD feat. Lil Uzi Vert – Wasted

 Juice WRLDとLil Uzi Vertの新曲“Wasted”が68位で登場。Juice WRLDにとっては4曲目のHot 100エントリーに。

 Juice WRLD、Lil Uzi Vertの持ち味がそれぞれ感じられる「エモラップ」の真骨頂のような1曲です。

 この曲は既にリリースされているJuice WRLDのアルバム、“Goodbye & Good Riddance”に新たに追加されています。

 

☆56 Benny Blanco feat. Halsey & Khalid – Eastside

 裏方として数多くの曲をヒットに導いてきたポップ系プロデューサー・Benny Blancoがついに表舞台へ。自信の名義での初シングル、“Eastside”が56位で登場しています。

 客演にHalseyとKhalidを迎えたほか、ライティングやプロデュースにはEd Sheeran、Andrew watt、Cashmere Catが関わるなど豪華布陣で制作された1曲です。

 この曲はストリーミングで好調なスタートを切っていて、(Spotify今週21位、Apple Musicでは50位前後など)、今後のヒットに期待が持てそうです!

 

 今週はHot 100に初めてエントリーしたアーティストが多く、ここまで紹介したTK Kravitz、benny blancoのほか、Lovelythebandが”Broken”*2で、Lauren Daigle が”You Say”*3でHot 100初登場を果たしています。

 

☆44 Childish Gambino – Summertime Magic

 Chilidsh Gambinoの新曲、“Summertime Magic”が44位で登場。DL(今週28位)やストリーミング(今週32位)のポイントを稼いでのHot 100エントリーです。

 同時にリリースされた“Feel Like Summer”は107位相当で惜しくもHot 100入りならず。

 この2曲はtwenty one pilotsと同様先々週の水曜日にリリースされ、先週のチャートではリリース後1日目~2日目、今週のチャートではリリース後3日目~9日目が集計の対象だったのですが、こちらの2曲は集計期間が長い今週のほうがDLは多かったです。

 通常のリリース日=金曜日以外にリリースされた曲は、不思議なチャートアクションをとることも多いので、観察していると面白いです。(逆に不自然なチャートアクションを取っている曲は、リリース日に注目してみると謎が解決することがあるかも)

 

☆11 Ariana Grande – God is a woman

 Ariana Grandeの新シングル、“God is a woman”が11位で登場。DL(今週4位)やストリーミング(今週11位)で人気を集めています。

 Spotifyでは今週4位とかなり快調なスタートを切っています。(ポップスはストリーミングをやや苦手とする傾向があるので……)

 個人的にはEd Sheeranが昨年記録した、ポップアルバムのUSストリーミング数の最高記録 (=1億3460万再生で、アルバムセールス90,000枚に相当)をAriana Grandeのアルバム“Sweetener”が破ることを期待しているのですが、どうでしょうか!

 

△7 Post Malone – Better Now

 Post Maloneのシングル、“Better Now”が7位とトップ10に再浮上しています!アルバムリリース時には、ほぼストリーミングの人気を中心にトップ10入りを果たしましたが、今回はラジオのポイントも稼いでのトップ10再登場です。

 この曲が主に人気のラジオ系統はポップ系やリズミック系など。一方、R&B / Hip-Hop系ラジオではまだ圏外とそこまで人気が出ていません。

 Post Maloneは“Psycho”以降、ラップ系のラジオよりも、ポップ系のラジオに支持されている印象があります。Post Maloneが客演しているTiëstoらの”Jackie Chan”も現在ポップ系ラジオで人気。

 

ラップ系のラジオ用シングルは“Ball For Me”が採用されていますが、こちらはそこまで人気が出ていません。(今週Hot 100で76位)

 

▽× Nicki Minaj – Chun-Li

 Nicki Minajの“Chun-Li”が今週チャートから外れました。一時期10位まで到達したものの、チャート滞在は14週間と短く、不完全燃焼に終わってしまいました。

 曲のリリース時、またはビデオのリリース時にはかなり注目を集めていたものの、ラジオやストリーミングの数字が長く持たず、短命に終わってしまいました。

 既にNicki MinajのシングルはAriana Grandeとの“Bed”に切り替わっていて、こちらのヒットに期待がかかります。8/10リリース予定のアルバム”Queen”の前にヒットシングルを出して景気づけをしたいところですが、果たして……

 

 今週はJ. Coleの“KOD”も似たような状況(ピーク10位、滞在12週)でチャートから外れましたが、こちらは「アルバム」という単位で売り出した作品が、ストリーミング予想外の好調で「たまたま」トップ10入りしたような曲という印象があり(=つまりシングルヒットはそこまで狙っていない)、こちらに尻すぼみ感はあまり無い、というのが個人的な感想です。

 

※この“Chun-Li”、”KOD”はいずれもピークがトップ10ながらも年間チャート入りが怪しいです。

 昨今はストリーミングの台頭などにより「一時的にポイントを大きく伸ばすものの、すぐにチャートを落ちてしまう曲」が増加。今までは週間のトップ10に入れば、よほど時期が悪くない限り年間チャート入りがほぼ確定でしたが、近年は週間トップ10入りしても「最終的にはそこまでヒットではない」曲が増えつつあります。

 たしかに、週間チャートでのトップ10入りは名誉なことですが、「最終的にはどれほどの規模のヒットになったのか?」ということを、年間チャートなど参照して調べてみることも大切だと思います。(逆に週間でのトップ10入りを逃したものの、かなりのヒットになっている曲もある)

 

 

今週チャートから外れた曲 (19曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Drake – Is There More (🗻36位 /⏰2週)

96 Iggy Azalea feat. Tyga – Kream (🗻96位 /⏰1週)

94 Juice WRLD – Legends (🗻65位 /⏰2週)

93 Drake – Peak (🗻38位 /⏰2週)

89 Nicki Minaj – Chun-Li (🗻10位 /⏰14週)

84 J. Cole – KOD (🗻10位 /⏰12週)

83 Lil Pump – Drug Addicts (🗻83位 /⏰1週)

79 Meek Mill feat. Jeremih & PnB Rock – Dangerous (🗻79位 /⏰1週)

78 Drake – Finesse (🗻42位 /⏰2週)

76 Future – Racks Blue (🗻76位 /⏰1週)

73 Meek Mill feat. Swizz Beatz – Millidelphia (🗻73位 /⏰1週)

71 Future – Cuddle My Wrist (🗻71位 /⏰1週)

69 Drake – Survival (🗻17位 /⏰2週)

68 Drake – That’s How You Feel (🗻37位 /⏰2週)

67 Drake – Jaded (🗻32位 /⏰2週)

64 Drake – Summer Games (🗻28位 /⏰2週)

63 Drake – Sandra’s Rose (🗻27位 /⏰2週)

62 XXXTENTACION – Jocelyn Flores (🗻19位 /20週)

53 Future – Wifi Lit (🗻53位 /⏰1週)

 

 

来週以降の動向・プレイリストなど

 

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集

 

・6ix9ine feat. Nicki Minaj & Murda Beatz - Fefe

 日曜日にリリースされ、爆発的な勢いで伸びている1曲。現在iTunes3位、Apple Music・Spotifyの両方で2位。

 この勢いが続けば来週か再来週にHot 100のトップ10入りを果たしそう!実現すれば6ix9ineにとっては初のトップ10に!場合によっては「ストップ・ザ・In My Feelings」の候補にもなり得るか……??

 

Ciara – Level Up

 DLで高い数字を記録。Spotifyでは人気が出なかったものの、Apple Musicで一定の人気を得たため、Hot 100に登場しそうです。

 

・Jonas Blue feat. Jack & Jack – Rise

 イギリスのプロデューサー、Jonas Blueによる“Rise”。アメリカ「以外」で軒並みヒット中の1曲。

 アメリカでもSpotifyなどの好調を受けてようやく浮上。今週120位相当とHot 100に接近中です。

 日本でもApple Musicで5位にランクインするなど、人気の1曲です。*4

 

・その他の新曲情報はこちらを参照してください!

 

 

・アルバムチャートの上位に新登場した作品

※アルバムチャート(Billboard 200)で50位以上に新登場した作品です

 

2 Wiz Khalifa – Rolling Papers 2

20 Soundtrack – Mamma Mia! Here We Go Again

47 Kidz Bop Kids – Kidz Bop 38

すくない

 

・プレイリスト

 

 

ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)

 

 

 

 

*1:それぞれのサービスで一番人気のプレイリストと言われている

*2:主にラジオで人気

*3:主にダウンロードで人気

*4:以前から日本ではアメリカの曲、イギリスの曲、どちらの方が人気なのか?というテーマが少し気になっている

7/20 新シングル・新アルバムを観察 【サマソニ出演組の曲が人気! Billie Eilish + Chance the Rapper など】

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 こんばんは!今週は「サマソニ組」が脚光を浴びています!今年のサマソニに参加予定のBillie Eilish、Chance the Rapperが新曲をリリースし、Spotifyで人気となっています。

 ほか同じくサマソニ参加のHigher Brothersなどの88risingアルバム、フィリピンで人気のバンドなど。

 

① 今週の主なアルバム

 

・Soundtrack - Mamma Mia! Here We Go Again (iTunes:1位)

・Soundtrack – Mamma Mia! (iTunes:4位)

ABBA – Gold: Greatest Hits (iTunes:6位)

 Mamma Mia!を題材にしたミュージカル映画が今週アメリカで公開に。その影響で関連サントラが複数iTunesアルバムの上位に入っています。“Here We Go Again”が今回公開された作品です。

 

・The Internet – Hive Mind (iTunes:5位)

 オルタナティブR&B系バンドのThe Internetが新作をリリース。批評メディアの間では今週一番の注目作品で、メディア平均採点が81点と高い評価を受けています。NMEは満点をつけています。

 iTunesでもある程度上位に入っています。

 

・Anuel AA – Real Hasta la Muerte (iTunes:9位)

 プエルトリコ出身のアーティスト、Anuel AAによるアルバム。iTunesで上位に入ったほか、Apple Musicでもある程度人気だったので、この週のアルバムチャートで良い順位を記録するかも。

 

・88rising – Head in the Clouds (iTunes 32位)

 ニューヨークに拠点を置く、アジア系アーティストが集うプロジェクト・88risingによるアルバム。

 アルバムにはインドネシア出身のRich BrianやNIKI、日系のJoji、中国のヒップホップグループHigher Brothersなどのアジア系アーティストのほか、BlocBoy JB、Goldlink、Playboi Carti、Murda BeatzなどのUSで活躍するアーティストも参加しています。

 アルバムにはFamous Dexのヒット、“Japan”のリミックスも収録されていて、韓国のラッパーKeith Apeと、「日本代表」としてVerbalが参加しています。*1

 このアルバムからは、JojiとBlocBoy JBによる“Peach Jam”と、88risingメンバー勢ぞろいのR&Bアンセム”Midsummer Madness”の2曲が今週Spotifyのランキング圏内に入りました。 

 このアルバムのうち、個人的なお気に入りはNIKIの“Warpaint”。スケールを感じるポップ~R&B系の1曲です。

 NIKIは88risingの歌姫的存在で、過去にHalseyのツアーに同行したこともあります。

 

・春ねむり – 春と修羅 (iTunes 圏外) ※今週のアルバムではない (4/11)

 音楽ブロガー(または音楽Youtuber)、The Needle Dropが取り上げ高評価をつけたことにより、一部で話題になっている日本人ポエットリー / ラップ歌手。現在アルバム評論まとめサイトAlbum of the Yearで注目を集めています。今後注目度が上る可能性も!

 The Needle Dropは「Jポップ・ラップを面白い感じで日本のインディーロックと混ぜている」とアルバムを評しています。

 Courtney BarnettやKero Kero Bonitoのファンならハマる可能性も!

 

 

② 今週の主なシングル

 

・Chance the Rapper – I Might Need Security (iTunes:取り扱い無し Spotify:7位)

・Chance the Rapper – 65th & Ingeleside(iTunes:取り扱い無し Spotify:20位)

・Chance the Rapper – Work Out(iTunes:取り扱い無し Spotify:35位)

・Chance the Rapper feat. Supa Bwe & Forever Band – Wala Cam(iTunes:取り扱い無し Spotify:61位)

 

 今週の目玉リリース。Chance the Rapperが新曲を4つリリースしています!歌詞の分析など、各メディアの注目を大きく受けている印象があります。

 ストリーミングでも人気を集めています。DLで開放されていないため、チャートではストリーミングとラジオ(しかし一気には伸びないため、リリースしたては数字が高くない)のみで勝負することになりますが、このうち何曲かがHot 100に登場しそう。

 

・Billie Eilish – you should see me in a crown (iTunes:32位 Spotify:28位)

 Selena Gomez監修のドラマ、”13 Reasons Why”のサントラに収録された“Lovely”がヒットし、注目を集めている16歳のシンガー、Billie Eilishが新曲をリリース。ダークな1曲。

 この曲はSpotifyで28位と快調なスタートを切り、さらにSpotifyの人気プレイリスト、New Music Fridayの今週の表紙になるなど、かなり注目されています。

 “Lovely”のヒットを受け昨年の彼女のEP、”don’t smile at me”がストリーミング等でじわじわ人気に。最近アルバムチャートでのピークを少しずつ更新しているのですが、この新曲リリースでさらにその流れが加速するでしょうか!

 

・Imagine Dragons – Natural(iTunes:2位 Spotify:53位)

 Imagine Dragonsの新曲。DLで高い数値を記録していること、またロック系やアダルトポップ系のラジオでは既に多くかかっていることから、Hot 100に良さげな順位で登場するかもしれません。

 

Ciara – Level Up(iTunes:11位 Spotify:圏外)

 主に2000年代半ばにヒットを連発したアトランタ出身のR&Bシンガー、Ciaraの新曲。かなりノリノリな1曲で、夏を盛り上げるアンセムとしてストリーミングでもある程度人気が出るのかな?と考えていましたが、Spotifyで圏外に。今後の巻き返しはあるでしょうか。

 

・Zedd & Elley Duhé – Happy Now(iTunes:51位 Spotify:50位)

 メインストリームでヒットを連発するプロデューサー・Zeddの新曲。DLとストリーミングでそれなりのスタートを切っています。 ただし、本格的なシングルとして運用されるかは不明です。

 近年、DJたちは「ポップスのプロデューサー」としての顔と、「もともとしたかったエレクトロ音楽のプロデューサー」としての顔を使い分けるケースがありますが、今回のこの曲はZeddにとって「エレクトロ」側の可能性もあるかもしれません。私の憶測に過ぎませんが

 

・The 1975 – Love It If We Made It(iTunes:38位 Spotify:71位)

 イギリスでシングル1位を獲得しても、アメリカではシングルチャートに登場すらしない……ということがあるなど、メインストリームではイギリスとアメリカの距離がある印象ですが、インディー界隈はイギリスの音楽もアメリカで人気な印象もあります。

 USでのアルバム1位歴もあるThe 1975の新曲がDL、ストリーミングの両方で上々の成績を記録しています。

 

・Becky G feat. French Montana & Farruko – Zooted(iTunes:圏外 Spotify:89位)

 ラテン路線で昨年ブレイク(復活とも言える)を遂げたBecky G。今回の新曲ではラテン系サウンドを取り入れつつ、自身のヴァースは英語で歌っています。

 客演にFrench Montanaのほか、昨年のヒット“Krippy Kush”で活躍したFarrukoを迎えています。

 

・LANY – Thru These Tears(iTunes:圏外 Spotify:91位)

 アメリカのインディーポップバンド、Lanyの新曲がリリース。主にSpotifyで人気を集めています。

 彼らはHot 100に登場したことは無いものの、Spotifyでの人気が高く、“Super Far”と“ILYSB”はSpotifyでの再生数が1億を超えています。

 彼らはフィリピンでの人気がかなり高く、この“Thru These Tears”はフィリピンのSpotifyで既に3位まで上昇しています。*2

 

その他のシングル

・Rich the Kid – Leave Me(iTunes:圏外 Spotify:171位)

Muse – Something Human(iTunes:96位 Spotify:圏外)

・Excision & Illenium feat. Shallows - Gold(iTunes:100位 Spotify:圏外)

 

③ プレイリストの動向

 

  🍎 S
Chance the Rapper / I Might Need Security
PnB Rock / Nowadays
Rich the Kid / Leave Me
Buddy feat. Guapdad 4000 / Shameless  
Chance the Rapper feat. Supa Bwe & Forever Band / Wala Cam  
Chance the Rapper / 65th & Ingleside  
6LACK / Switch  

🍎はApple MusicのHip-Hop A Listに入った曲

SはSpotifyのRapCaviarに入った曲

 

 今週は両方とも入れ替えが少なめです。Chance the Rapperのシングル4曲のうち、”I Might Need Security"が両方のプレイリストに入っています。

 

・New Music Friday

  Billie Eilishが表紙。てっきりChance the RapperがNew Music Fridayの表紙になると思っていたので、少し意外でした。Billie Eilishへの期待の高さが伺えます。

 

④ ラジオの近況

左の数字は現在推定ラジオ順位 

右の数字(+,-)は1日のべ再生数の増減(単位:100万)

 

・上り調子

21 Drake In My Feelings +4.5
4 Maroon 5 feat. Cardi B Girls Like You +4.1
15 Post Malone Better Now +3.0
11 Ella Mai Boo'd Up +2.1
1 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It +2.0
27 Brett Young Mercy +1.6
57 Tyga feat. Offset Taste +1.4
129 Ozuna Unica +1.3
2 Taylor Swift Delicate +1.3
22 Jake Owen I Was Jack +1.2

 ”In My Feelings"がストリーミング・DLだけでなく、ラジオでも絶好調。このまましばらく1位支配という展開も考えられそうです。

 ”I Like It"はラジオ1位になった現在も 数字を伸ばし続けています。

 

・下り調子

124 Eric Church Desperate Man -3,4
10 Bazzi Mine -2.1
5 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle -2.1
33 Cardi B Be Careful -2.0
7 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho -2.0
89 Halsey feat. Big Sean & Stefflon Don Alone -1.9
72 Migos feat. Drake Walk It Talk It -1.9
18 Drake God's Plan -1.8
6 Drake Nice For What -1.7
9 Shawn Mendes In My Blood -.17

  ”God's Plan"と”Nice For What"が後続シングルと入れ替わる形で数字を落としています。

 

・今週ラジオでかかり始めた曲

ポップ
29 Drake In My Feelings
42 Juice WRLD Lucid Dreams
49 Ariana Grande God is a woman
50 Lovelytheband Broken
HAC
35 Imagine Dragons Natural
47 5 Seconds of Summer Youngblood
リズミック
41 Childish Gambino Summertime Magic
45 Khalid, Ty Dolla $ign & 6LACK OTW
49 Alessia Cara Growing Pains
50 Goldlink feat. Miguel Got Friends
アーバン
42 BlocBoy JB Rover
44 2 Chainz feat.Quavo & Drake Bigger Than You
47 Saint Jhn Swoosh
50 Nick Grant feat. Yo Gotti The Switch Up

 Drakeの”In My Feelings"はラップ系ラジオ(アーバンとリズミック)だけでなく、ポップ系ラジオでも人気! ほか”Lucid Dreams"がポップ系ラジオにも飛び火、世界的ムーブメントの発信源BlocBoy JBの新シングルなど。

 

⑤ 各種トップ10

iTunes シングルトップ10 ($は割引)

1 Drake In My Feelings
2 Imagine Dragons Natural
3$ Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It
4 Maroon 5 feat. Cardi B Girls Like You
5 Lauren Daigle You Say
6 Drake In My Feelings
7 Florida Georgia Line Simple
8 Post Malone Better Now
9$ Ariana Grande God is a woman
10 5 Seconds of Summer Youngblood

 ”In My Feelings"の独走は変わらず。Ariana Grandeの新シングル”God is a woman"はかなり早いタイミングでiTunes割引を開始。

 

Spotify 今日のトップ10(再生数 M=100万)

1 Drake In My Feelings 3.84M
2 Juice WRLD Lucid Dreams 1.71M
3 Drake Nonstop 1.45M
4 XXXTENTACION SAD! 1.45M
5 Tyga feat. Offset Taste 1.39M
6 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It 1.38M
7 Chance the Rapper I Might Need Security 1.21M
8 Ariana Grande God is a woman 1.20M
9 XXXTENTACION Moonlight 1.19M
10 Post Malone Better Now 1.11M

 ”In My Feeling"が圧倒的。先週はSpotifyにおける1週間の再生数の記録を打ち立てました。(US・世界合計の両方で)

 

・パンドラ (ラジオ型ストリーミング)

1 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It
2 Lil Baby & Drake Yes Indeed
3 Migos feat. Drake Walk It Talk It
4 Drake Nice For What
5 Maroon 5 feat. Cardi B Girls Like You
6 Post Malone Better Now
7 Nio Garcia & Bad Bunny feat. Darell, Nicky Jam & Ozuna  Te Boté
8 Selena Gomez Back To You
9 Drake In My Feelings
10 NF Lie

 ここでも”In My Feelings"が浮上中。

 

SoundCloud

※ここ1週間の成績

1 Juice WRLD lucid dreams
2 Trippie Redd feat. Tadoe & Chief Keef I Kill People!
3 XXXTENTACION feat. Trippie Redd Fuck Love
4 Juice WRLD feat. Lil Uzi Vert Wasted
5 Juice WRLD legends :(
6 Lil Baby & Drake Yes Indeed
7 XXXTENTACION Hope
8 Trippie Redd & xxxtentacion feat. Quavo & Ski Mask The Slump God GHOST BUSTERS
9 Juice WRLD All Girls Are The Same
10 Tyga feat. Offset Taste

  上位は動かず。”Taste"がサウンドクラウドでも人気に。

 

・Album Of The Year / Most Popular

※批評メディアまとめサイトで注目されているアルバム

1 The Internet Hive Mind ☆
2 Deafheaven Ordinary Corrupt Human Love ☆
3 KIDS SEE GHOSTS KIDS SEE GHOSTS ☆
4 Brockhampton 1998 Trauman
5 Kanye West ye
6 Dirty Projectors Lap Lit Prose ☆
7 Ty Segall & White Fence Joy
8 Sophie Oil Of Every Pearl'S Un-Insiders ☆
9 Death Grips Year of the Snitch ☆
10 Pusha-T Daytona ☆

  この界隈の一番人気はThe Internetです。

 

*1:Famous Dexは以前Higher Brothersの“Made in China”の客演に参加したこともあります。

*2:フィリピンはアジアの中でSpotifyの再生数の規模が一番大きいです。ゆったりとしたポップスが流行するケースが多く、個人的にフィリピンで人気の曲を日本に「輸入」すれば日本でもブレイクするのでは?と考えています

Hot 100 7/21 見どころ 【Iggy Azalea2年ぶりにHot 100 / チャレンジ効果を支えたラジオ】

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 こんばんは!今週注目だったのはIggy AzaleaのHot 100エントリーでしょうか!2年ぶりにHot 100エントリーを果たしています。ほかDrakeの新シングルのラジオ効果、Futureのミックステープなど *1

 

☆今週のHot 100ハイライト

・Drakeの“In My Feelings”が首位に浮上。成績が圧倒的で今後しばらく1位に居座る可能性も

・Futureのストリーミングのみで公開したミックステープがアルバムチャート3位で登場。“Wifi Lit”など4曲がHot 100にエントリー

・Meek MillのEPから2曲がHot 100に

・苦労人Lauv、チャート入りから22週目でトップ40に到達

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Drake – In My Feelings

今週最もダウンロードが上昇した曲 Drake – In My Feelings

今週最もストリーミングが伸びた曲 Drake – In My Feelings

最も高い順位で新登場した曲           Future – Wifi Lit

 

曲の個別解説

↓この週のHot 100の順位表です。

 

☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降 

 

☆96 Iggy Azalea feat. Tyga – Kream

 Iggy AzaleaとTygaの“Kream”が96位で登場!Iggy Azaleaにとっては約2年ぶりと久しぶりのHot 100エントリーとなりました。

 Twerkダンスが際立つビデオ(YouTube今週19位)やDL(今週41位)の人気によってHot 100入りを遂げました。

 

 この2人は今年のコーチェラで一緒にいる所が目撃されてから、交際説が浮上しているようです

  

※Tygaのシングル、”Taste"は現在絶好調で近いうちにトップ10まで達するかもしれません。

 

☆88 Tiësto & Dzeko feat. Preme & Post Malone – Jackie Chan

 TiëstoやPost Maloneなどの“Jackie Chan”が88位で登場。もともとはPremeとPost Maloneのみによる曲でしたが、TiëstoとDzekoがリミックスしてシングル化したところ人気が出ました。

 DzekoとPremeは初のHot 100入り、Tiëstoは“Red Lights”や”Wasted”がヒットした2014年以来のHot 100入りです。

 この曲はポップ系ラジオやストリーミング(主にSpotify)で人気。アメリカ以外では、オーストラリア23位、イギリスで12位など、既にチャート上位に食い込んでいます。

 アメリカではチャートにラジオが導入されている、またストリーミングの競合が多い、などの理由でSpotifyのチャートに与える影響力が他国と比べると、やや低めな傾向にあります。(逆にUS以外の国はSpotifyのランキングとシングルチャートの並びがかなり似ている傾向にある)

 

 この曲のサビでは”I Just Ordered Sushi from Japan”と寿司が登場します。Hot 100に登場した曲で、歌詞に「寿司」が入っている曲は他にもそこそこあるようです。(Lil Uzi VertとNicki Minaj*2の“The Way Life Goes”やChris Brownの”Look At Me Now"など)

 

☆83 Lil Pump – Drug Addicts

 Lil Pumpの“Drug Addicts”が83位で登場。Lil Pumpにとって4曲目のHot 100エントリー。

 ストリーミングで人気の1曲。YouTube(今週30位)、Spotify(今週72位)などで主に人気です。

 

☆73 Meek Mill feat. Swizz Beatz – Millidelphia

 Meek Millが出所後では初となる作品、4曲入りのEP “Legends of the Summer”をリリース。アルバムチャートでは9位にランクインし、収録曲のうち2曲がHot 100入りを果たしました。

 Swizz Beatzを迎えた“Millidelphia”が73位、JeremihとPnB Rockを迎えた”Dangeros”が79位で登場しています。

 ほかの収録曲もBubbling Under(101-125位相当のチャート)には入っています。(Miguelとの“Stay Woke”は120位相当、”1am”は123位相当)

 

☆60 twenty one pilots – Jumpsuit

 twenty one pilotsの2年ぶりのカムバックシングル“Jumpsuit”が60位に登場しました!この曲は水曜日リリースで、今週のチャートではリリース後1日目・2日目分の数字しか集計されていないものの、その短い間で多くのDL(今週6位)やストリーミングを記録し、今週のチャートに滑り込みました。

 来週は1週間まるごと集計の対象となるため、大きな順位上昇が見込まれます。また同時にリリースした“Nico and the Niners”もHot 100に登場する見込みです。

 “Jumpsuit”は現在、オルタナティブロック系の絶大な支持を得ています。来週か再来週あたりには、このオルタナティブロック系ラジオの1番人気になりそうです。

 

☆53 Future – Wifi Lit

 Futureがミックステープ“Beast Mode2”をストリーミングのみでリリース。アルバムチャートの3位に食い込み、ストリーミングのみで公開された作品としてはアルバムチャートの最高位を記録しました。(以前の記録はChance the Rapperの”Coloring Book”による8位*3

 このミックステープはプロデューサー・Zaytovenとの共作で、2015年にリリースされた“Beast Mode”の続編にあたります。

 “Beast Mode 2”のうち、4曲が今週のHot 100に登場。53位で登場した”Wifi Lit”が最高位。ほか”31 Days”が65位、“Cuddle My Wrist”が71位、”Racks Blue”が76位で登場しています。

 またほか4曲がBubbling Under(101-125位相当のチャート)に入っています。

 

 ちなみに今週のアルバムチャートはストリーミングの効果で、「純セールス」の比率が恐ろしく低くなっています。↓の表のように、多くのアルバムがセールス「以外」の指標(主にストリーミング)でアルバムを「売り上げて」います。

 

アルバム 合計 セールス 割合
1 Drake / Scorpion 335,000 29,000 8.7%
2 Post Malone / Beerbongs & Bentleys 71,000 6,000 8.5%
3 Future / Beastmode 2 57,000 0 0.0%
4 XXXTENTACION / ? 51,000 2,000 3.9%
5 Cardi B / Invasion of Privacy 44,000 3,000 6.8%
6 Juice WRLD / Goodbye & Good Riddance 41,000 1,500 3.7%
7 Soundtrack / The Greatest Showman 30,000 16,000 53.3%
8 The Carters / EVERYTHING IS LOVE 29,000 6,000 20.7%
9 Meek Mill / Legends of the Summer 26,000 6,000 23.1%
10 Lil Baby / Harder Than Ever 26,000 400 1.5%

 

合計=ストリーミングなどを含むアルバムの「トータル売上」 

割合=アルバムの「合計」のうちセールスが何%を占めているか

※ちなみに、今週の”Scorpion"は歴代のアルバム1位で最もセールスの比率が低いです。(アルバム1位の作品のうち、セールスの割合が10%を下回ったのは今回が初)

 

△40 5 Seconds Of Summer – Youngblood

 5 Seconds Of Summerのアルバム表題シングル、“Youngblood”が好調。ポップ系ラジオやSpotifyの好調を受けて、トップ40入りを果たしました!(トップ40はHot 100でヒットの基準とされているラインです)

 5 Seconds of Summerにとって、前アルバムのシングル”She’s Kinda Hot”以来3年ぶりのトップ40入りに*4。以前はダウンロードの人気を中心に「一気に上がり、一気に落ちる」というチャートアクションが多かったですが、今回の曲は「じっくり上昇」しています。楽曲がより幅広い層に支持されるようになった、ということでしょうか。

 この曲は彼らの母国オーストラリアでは絶大な支持を得ていて、現在8週連続でシングル1位をキープしています。

 

△37 Florida Georgia Line – Simple

 Florida Georgia Lineの“Simple”が37位へ浮上。彼らにとってキャリア12曲目のトップ40に。カントリー系ラジオで人気のほか、ストリーミングでもそれなりに数字を稼いでいます。(Spotify今週70位、Apple Musicでは120位前後)

 先週のチャートからのルール変更(無料会員のストリーミングを2/3に、など)によって若干ラジオで強い曲の順位が上がっているように見え、ラジオで強いカントリーに追い風が吹いているような気がします。

 カントリー界のエース・Florida Georgia Lineにかかる期待は大きいです。

 

△35 Kenny Chesney – Get Along

 カントリー界のベテラン・Kenny Chesneyの”Get Along”が35位へ浮上。彼にとってキャリア26曲目のトップ40に! ちなみにトップ40は多いものの、トップ10入りの経験は無いです。

 この曲は主にラジオで人気。カントリー系ラジオで今週の一番人気です。彼は来週にキャリア17枚目のアルバム“Song for the Saints”をリリース予定です。

 

△33 Lauv – I Like Me Better

 Lauvの“I Like Me Better”がついにトップ40入り!チャート入りから22週目でピークを更新し続けており、かなりの遅咲きです。

 Spotifyのピークからは約1年が経過していますが、ラジオでは今がまさにピーク。このピークの「ズレ」はプラスに働くこともマイナスに働くこともありますが、この曲の場合はプラスに働いている印象があります。*5

 Lauvはまだこの曲でしかHot 100入りの経験がありませんが、DJ Snakeとの“Different Way”がBubbling Underに入ったことも

 

△5 Ella Mai – Boo’d Up

 Ella Maiの“Boo’d Up”が好調をキープしています。今週はラジオでの浮上やNicki Minaj、Quavoとのリミックスのリリースなどがあり、11位→5位とジャンプアップしました。

 現在はR&B / Hip-Hopやリズミックなどのラジオ系統で人気を集めていますが、ポップ系ラジオでも人気を得ることができれば、さらなるヒット or ロングヒットになりそうです。

 

△1 Drake – In My Feelings

 Drakeの“In My Feelings”が首位に浮上。DLやストリーミングで他を圧倒する数字を叩き出していて、今後しばらく一位をキープする可能性もあります!

 Drakeはこれで通算6曲目の1位に(“What’s My Name”、”Work”、”One Dance”、“God’s Plan”、”Nice For What”に次ぐ)なり、シングル1位が最も多いラッパーとなりました!(Diddy、EminemLudacrisがこれに次ぐ5曲の1位を記録している)

 

 

 

 この曲のヒットの要因は「チャレンジ」の効果が取り上げられますが、個人的にその動きを下支えしたラジオに注目しています。

 当初、シングルとしてラジオに主にかかっていたのはMichael Jacksonを迎えた“Don’t Matter To Me”だったようですが、このチャレンジの人気を受けてシングルを”In My Feelings”へとスイッチ。

 そのシングル選定の結果、“In My Feelings”DLやストリーミングだけではなく、ラジオからもポイントを得て、Hot 100で破格の強さを誇っています。

 チャレンジでの人気を見て、ラジオ局(かレーベル?)の素早い「シングル切り替え」は称賛に値すると私は考えています。

 昨年の“More Life”ではラジオ局ごとにかけるシングルがバラバラで、結局明確なシングルがあまり定まらないまま終わってしまいましたが、今回はシングルを一本化することで新たに大ヒットが生まれています。

 

 この記事にラジオ局のシングル選定の悩みについて書かれています。レーベル側からは“Free Smoke”をシングルにするとの指定があったようですが、ストリーミングのチャートを見て、ラジオ局の判断で”Passionfruit”にシングルを変更しました。

 

 また、ここ7週連続で首位が交代していますが、“In My Feelings”が破格の強さを誇っているため、しばらく1位が動かなさそうです。(今週まで、Nice For What→Psycho→Nice For What→SAD!→I Like It→Nice For What→In My Feelingsの順番で変化)

 

▽× Charlie Puth feat. Kehlani – Done For Me

 Charlie PuthとKehlaniの“Done For Me”が今週チャートから外れました。ラジオではある程度好調だったものの、ストリーミングで数字が伸びなかったことが祟り、ピーク53位・チャート滞在9週と微妙な成績でチャートを後にしています。

 Charlie Puthに限らず、ポップ系のラジオで支持を受けているアーティストはストリーミングが弱い傾向にあります。しかし逆に、ポップ系ラジオの支持とストリーミングを両立できれば、Hot 100上位を席巻することが可能です。(最近の“Girls Like You”がこれに当てはまる)

 

 

今週チャートから外れた曲 (14曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Blake Shelton – I Lived It (🗻63位 /⏰18週)

98 XXXTENTACION – The Remedy For A Broken Heart (🗻55位 /⏰5週)

97 Reik feat. Ozuna & Wisin – Me Niego (🗻77位 /⏰3週)

96 Famous Dex – Japan  (🗻28位 /⏰15週)

95 Bad Wolves – Zombie (🗻54位 /⏰17週)

94 Sam Hunt – Downtown’s Dead (🗻94位 /⏰2週)

92 Kanye West – Yikes (🗻8位 /⏰5週)

91 XXXTENTACION – Everybody Dies in Their Nightmares (🗻42位 /⏰7週)

88 Lil Pump – Esskeetit (🗻24位 /⏰12週)

78 Charlie Puth feat. Kehlani – Done For Me (🗻53位 /⏰9週)

63 Queen Naija - Karma (🗻63位 /⏰1週)

57 Drake – March 14 (🗻57位 /⏰1週)

56 Drake – Final Fantasy (🗻56位 /⏰1週)

52 Drake – Ratchet Happy Birthday (🗻52位 /⏰1週)

 

来週以降の動向・プレイリスト

 

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集

 

・Lauren Daigle – You Say

 今週の途中からiTunes2位を長くキープ。DLのポイントを中心に、来週のHot 100デビューなるか?

 

・Wiz Khalifa feat. Swae Lee – Hopeless Romantic

・Wiz Khalifa feat. Lil Skies – Fr Fr

 Wiz KhalifaのアルバムからHot 100に登場するかもしれない2曲です。

 

・その他の新曲情報はこちらを参照してください!

 

 

 

・アルバムチャートの上位に新登場した作品

※アルバムチャート(Billboard 200)で50位以上に新登場した作品です

 

3 Future / Beastmode2 (ストリーミングのみ)

9 Meek Mill / Legends of the Summer

 今週はアルバムのリリースが少なめです。(Drakeのアルバムの影響でアルバム1位を取りづらいと判断したからでしょうか???)Years & Yearsのアルバム は75位。

 

・プレイリスト

 

 

 

ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)

 

 

*1:画像はIggy Azalea & Tyga Fuel Romance Rumors at Coachella | Rap-Up より

*2:とOh Wonder

*3:ただしそのChance the Rapperが今週アルバムをリリースする噂があり、この記録はすぐに塗り替えられてしまうかも

*4:ちなみにファーストアルバムの時はDLの勢いが凄まじく、アルバムから5曲もがトップ40入りしていました

*5:ラジオとSpotifyのピークがズレて、惜しい状態が続きながらもHot 100に入れないケースもある。その場合はズレがマイナスに働いているといえる。

Bebe Rexha / “Expectations” レビュー 【ポップシンガー・積年の苦労が形に】

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リリース日:6/22

★★★★☆

Fav Tracks: Ferrari、Shining Star、Don’t Get Any Closer、Grace

 

・アルバム情報

 

 アメリカのポップシンガー・Bebe Rexhaによる「デビューアルバム」。彼女は今までに何回かEPはリリースしていましたが、アルバムは今回が初めてでした。

 2015年にDavid Guettaらとの“Hey Mama”の客演でUSのトップ10入りして以降、”Me, Myself & I”、“In the Name of Love”など他人とのコラボを中心にヒットを連発。

2017年以降は”I Got You”や“Meant to Be”など自分がメインの曲もヒットするようになり、自身への注目度も向上。2018年初のアルバムリリースに至りました。

 アルバムにはそのヒット“I Got You”と”Meant to Be”が収録されています。その“Meant to Be”の効果などもあって、USのアルバムチャートでは13位を記録しました。

 

 このアルバムへの反応は「そこそこ」です。アルバム評論まとめサイト Album of the Year”によると、このアルバムへのメディア採点平均点は62点。

 The Gurdianが20点をつけて平均点を大きく落とす一方、NMEが80点、Rolling Stoneは70点と大手メディアの採点は高めの点数をつけています。(ちなみにNMEとRolling StoneはGwen StefaniやNo Doubtとこのアルバムの関連性について触れています)

 また、このサイトのユーザーによる平均点は52点と低め。

 

 

・レビュー

 Bebe Rexhaからはすごい才能を感じています。 パワフルで特徴的なボーカルは唯一無二。ソングライティングも巧みにこなし、Eminemの“The Monster”をはじめとして多くの曲をヒットに導いています。2016年のUS年間19位と大ヒットだった“Me, Myself & I”は、もともとBebe Rexhaが作っていた曲をベースに作られている、という説もあるようですね(NME)

 

 

 あとはビジュアル面もなかなか評判が良いのか?日本語Google検索では昔から何番目かに「Bebe Rexha かわいい」とサジェストされ続けているような気がします。

 単なるシンガー&ソングライターとしてだけではなく、アイドル的素質も実はある?という見方もできると思います。

 

※個人的なお気に入り写真です

 

 

 そんな才能あふれるBebe Rexhaですが、そのキャリアは順風満帆とはいえないものだったと思います。上の項目で触れたように、客演や他人へのソングライトを中心にヒットの数は多かったものの、自身のヒットにはあまり恵まれませんでした。

 何回かHot 100に接近し、101~125位相当のチャート=Bubbling Underに入るものの、Hot 100の壁はなかなか破れず。

 しばらくして、“I Got You”という曲で念願の(自身の曲での)Hot 100デビューを果たしたものの、トップ40には届かない程度のヒットで、今まで客演してきた曲と比べると小規模のヒットでした。

 その結果なのか、なかなかフルアルバムはリリースできず、EPのリリースがしばらく続きました。2015年以降、彼女はEPを3枚リリースしています。

 2017年にEPを2つリリースしたのですが、それらの曲はR&B、ヒップホップ、カントリー、ダンスホール……などジャンルが多岐に渡っており、「ヒットを生み出すための苦労」のようなものが伺えました。

 その苦労の末、Bebe Rexhaは自身の曲でヒットが生まれます。Florida Gerogia Lineを迎えたカントリー調の“Meant To Be”が大ヒットになったのです。新ジャンルに挑戦した効果が表れた、とも言えます。

 この曲はHot 100(USシングル)で2位まで到達。さらに5週の間、全米のラジオで最もかかった曲となり、飛躍を遂げたのです。

 この曲のヒットにより、Bebe Rexhaはついに念願のデビューアルバムのリリースを果たしました!

 

 その“Meant To Be”を生み出したEP“All Your Fault pt.2”について以前の記事ですこし触れていました。 (Julia MichaelsのEPレビューで、「同じCash Cashのボーカルを務めた者同士」というくくりで触れました)

 

 ちなみに文中に登場したBebe Rexhaも最近EPをリリースしたのですが、こちらはJulia Michaelsとは真逆でEP全曲ジャンルが違うのでは?と思うほどに様々なジャンルに挑戦しています(80年代ポップス、Murda Beatzによるラップ調、ダンスホール、Florida Georgia Lineを招いてのカントリーなど) 

 ここまで幅広いジャンルをこなす器用さはすごいと思いますし、実際Florida Georgia Lineとの曲がそこそこヒットするなど調子も良いみたいで、芸達者スタイルも面白いと思いますが、私は「アーティストのカラー」を見たいと思う人間なので、何か「Bebe Rexhaはどういう音楽をしたいのか?」のようなものを見たいとも思ってしまいます。

 ポップスシンガーは「売れる」という命題もあるので、スタイル確立とのバランスの取り方が難しいですけどね……

 

Julia Michaelsの【ボーカル】に再注目! 【Nervous System (EP) レビュー/感想】 - チャート・マニア・ラボ (CML) より

 

 今回のアルバムは、その「Bebe Rexhaはどういう音楽をしたいのか?」ということが見えて、個人的な「願い」が叶った作品、と感じています。

 

 私は先行リリースされていた“Ferrari”がお気に入りでした。この曲はロックで壮大なサウンドに、Bebe Rexhaの力強いボーカルが映え、さらにメロディセンスが光る……といった曲で、彼女の才能が存分に発揮されていて 特にコーラスの持つパワーはすごいと思います。

 “Expectations”は、この“Ferrari”の世界観をアルバムサイズに広げたものだと思います。アルバムを象徴する”Ferrari”を最初に配置。そこから ロックサウンドと哀愁のあるメロディを基本線としつつも、一部ラテンやダンスホールの要素を取り入れるなど個性的な曲が並んでいます。

 このアルバムを聞いて、私はBebe Rexhaがついにスタイルを確立したのか!と勝手に嬉しくなりました。

 

 アルバムの中で特に良かったのは“Ferrari”、”Shining Star” “Don’t Get Any Closer”と”Grace”

 “Ferrari”は先行シングルにして、アルバムを象徴する1曲。Bebe Rexhaの恵まれたボーカルセンス、メロディセンスを活かした、ロックサウンドでスケールの大きい1曲です。

 “Shining Star”は哀愁のあるメロディセンスが光る1曲です。個人的には先行シングル以外で、一番耳に残る曲と思っています。

 “Don’t Get Any Closer”と”Grace”はセットだと思っています。メロディ展開があり、情熱的な“Don’t Get Any Closer”。そこからBebe Rexhaのパワフルな歌声が映えるバラード調の”Grace”。この流れはアルバムのハイライトの一つだと思います。

 

 NMEもレビューでは、自身のスタイルを確立したことを評価していて、

「Bebe Rexhaは主に他のアーティストとのコラボレーションで知られている」とWikipediaに書かれているが、この記述は改める必要がある。このアルバムでBebe Rexhaは自身のスタイルを確立したのだ

とユニークな視点からこのアルバムを分析しています。(現在、Wikipediaのこの記述は訂正された)

 

 

 “Ferrariスタイル”ではない、以前にヒットを飛ばしていた“I Got You”や”Meant To Be”もこのアルバムに入っていますが、正直ほかの曲との相性は微妙な気がします。

 Hot 100で2位まで浮上し大ヒットだった“Meant To Be”を、ボートラ風にアルバムの最後に配置しているのは納得です。

 しかし、ヒットとはいえHot 100のトップ40に届かなかった”I Got You”をアルバムに入れ、さらにアルバムのど真ん中に配置したのは少し驚きでした。

 アルバム構成上はマイナスだと感じたのですが、今まで自身のヒットが出ず、ずっとアルバムをリリースできなかったBebe Rexhaの苦労のようなものが垣間見られるような気がして、良い味を出しているような感覚もあります。

 

 “Expectations”は完全無欠!とまではいきませんが、それでもBebe Rexhaの才能、またはそれまでの苦労も感じる、名ポップアルバムだと感じました!

 

 

・プチ知識

☆Bebe RexhaはNicki Minaj・Cardi B・Iggy Azalea3人全てと仕事をしたことがある。(前者二人は客演、Iggy Azaleaは“Team”のソングライト) この女性ラッパーの代表格3人全てと仕事をした人はあまりいない(あとはQuavoくらい)

 

☆現行アルバムチャートは、ストリーミングやシングルDLを含むため、シングルヒットがあるとアルバムもチャートを同時に上昇する傾向にある。

 その効果で“Meant To Be”が最初に収録されていたEP・”All Your Fault Pt.2”は長くアルバムチャートの40位前後を推移していたのですが、このアルバムリリースで、“Meant To Be”の「管轄」がアルバムの”Expectations”に「移行」したため、EPの方はアルバムチャートの圏外へ落ちてしまいました。

 

 

・関連

 

 

 

 

7/13 新シングル・新アルバムを観察 【twenty one pilots、重厚なサウンドでカムバック】

 

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 今週の注目はtwenty one pilots新曲!DLやストリーミングで好調!以前よりも骨太なロックサウンドが特徴的な1曲です。

 ほか、今週からレイアウトを大きく変えました。「今週どのアルバム・どのシングル」がリリースされたのか、ということが分かりやすいようにしました。

 

 

① 今週の主なアルバム

 

・Wiz Khalifa – Rolling Papers 2 (iTunes:2位)

 Wiz Khalifaが4年ぶりにスタジオアルバムをリリース。iTunesで2位と上位につけています。そして、ストリーミングも好調。アルバムの多くがSpotifyランキング圏内に入りました。

 曲数が多いことも有効に働き、アルバムチャートの上位に食い込みそう。しかしDrake(3週目)の壁はまだ高く、アルバム1位の可能性は薄いと思われます。(ストリーミングの数字で負けているだけではなく、セールスでも負けそうです。 現在のiTunesアルバム1位はDrakeです)

 

Spotifyランキング圏内に入ったアルバム曲

38位 Wiz Khalifa feat. Swae Lee Hopeless Romantic
44 Wiz Khalifa Hot Now
53 Wiz Khalifa feat. Lil Skies Fr Fr
71 Wiz Khalifa Ocean
72 Wiz Khalifa feat. Gucci Mane Real Rich
80 Wiz Khalifa Rolling Papers 2
85 Wiz Khalifa feat. Jimmy Wopo and Hardo Blue Hunnids
93 Wiz Khalifa Goin Hard
98 Wiz Khalifa feat. Snoop Dogg Penthouse
103 Wiz Khalifa Holyfield
104 Wiz Khalifa Very Special
143 Wiz Khalifa feat. THEMXXNLIGHT & Curren$y Mr. Williams / Where is the Love
155 Wiz Khalifa feat. PARTYNEXTDOOR Rain
156 Wiz Khalifa Bootsy Bellows
160 Wiz Khalifa feat. Problem Gin and Drugs
171 Wiz Khalifa Late Night Messages
188 Wiz Khalifa feat. Chevy Woods  Karate
Wiz Khalifa feat. Darrius Willrich Never Hesitate
195 Wiz Khalifa 420 Freestyle
190 Wiz Khalifa King

 アルバム収録25曲中、19曲がランキング圏内に。大所帯ながらも、アルバム の多くの曲が一定の再生数を得ているということが伺えます。一番人気はSwae Leeを迎えた”Hopeless Romantic"。 

 今のところ、このアルバムの曲で、Hot 100に入ったのは昨年リリースされたTy Dolla $ignとの”Something New" *1のみです。今後何かヒットは生まれるでしょうか。

 

 

・Deafheaven - Ordinary Corrupt Human Love (iTunes:18位)

 アメリカのメタルバンドDeafheavenの新作がリリース。評論家方面から人気の作品で、現在メディアの採点平均点が85、と高い評価を受けています。

※先週の記事で、評論家の採点が既についていることから「先週にリリースされた」と勘違いしていましたが、今週リリースでした。すいません。

 

Dirty ProjectorsLamp Lit Prose (iTunes:56位)

 Dirty Projectorsのアルバムが同じく評論方面から熱視線を集めています。今のところメディアの採点平均点は76点と上々の成績です。

 

② 今週の主な新シングル

iTunesSpotifyともにリリース日=金曜日の順位です)

 

・twenty one pilots – Jumpsuit (iTunes:2位 Spotify:22位)

・twenty one pilots – Nico And The Niners (iTunes:16位 Spotify:28位)

 2016年に大ブレイクを遂げたtwenty one pilotsが2年ぶりにカムバック。2曲入り「シングル」を水曜日にリリースしました。

 2曲ともDL、ストリーミングで好調。特に“Jumpsuit”はリリース以降iTunes2位をキープしています。(Drakeの”In My Feelings”に次ぐ)

 ラジオ・DL・ストリーミングの全てで好調なことから、Hot 100で好調なスタートを切りそうです!また水曜日リリースなので、リリース後1日目・2日目が集計される来週のHot 100に登場すると思われます。

 

 2016年にヒットした曲は親しみやすさもあり、“Stressed Out”と”Ride”の2曲がポップ系ラジオの1位を獲得したのですが、今回の曲はロック成分が強め。ビルボードはこの2曲のリリースについて、「ポップ系ラジオに媚びない*2サウンド」と評しています。(ただしヒットになりそうとも予想しています)

 

 このロック路線で成功を収めることができれば、最近メインストリームでのヒット不足が叫ばれるロック界隈にとって明るい話題となるかもしれません。

 *3

 

・Childish Gambino – Summertime Magic (iTunes:8位 Spotify:6位)

・Childish Gambino – Feels Like Summer (iTunes:19位 Spotify:46位)

 Chilidish Gambinoが新曲をリリース。偶然にも上記のtwenty one pilotsと同様、「水曜リリース」「2曲入りシングル」という形態を取っています。

 彼への注目度の高さがストリーミングから伺えます。“This Is America”は聴いた瞬間に「衝撃」がすごい曲でしたが、今回の2曲はどちらかというと「じわじわハマっていく」ようなテイストの曲だと思います。

 

・Juice WRLD feat. Lil Uzi Vert – Wasted (iTunes:100位以下 Spotify:33位)

  “Lucid Dreams”のヒットで勢いに乗るJuice WRLDが新曲をリリース。Lil Uzi Vertとの”Wasted”を火曜日にリリースしました。さっそく各ストリーミングで人気を得ています。

 ロックの要素を強く感じる、いわゆる「エモラップ」の1曲。Lil Uzi Vertのヴァースでは” Rockstar, that's our style, these boys can't take it (yeah)” と「俺らはロックスター!」と宣言しています。

 

※チャートが金曜日~木曜日のサイクルで集計されるシステム上、水曜日や火曜日にリリースされた曲はリリース直後数日の成績が反映される形で「来週」のHot 100に登場するかもしれません。

通常の金曜日にリリースされた曲は「再来週」のHot 100に登場します。

 

・Ariana Grande – God is a woman (iTunes:3位 Spotify:8位)

  Ariana Grandeの新曲”God is a woman”。DLやストリーミングでかなり注目を集めています。快調なスタートを切ったと言えそうです。

 同時にビデオもリリースされていました。 “no tears left to cry”に次ぐアルバム2つ目のシングルとして運用される見込みです。

 Ariana Grandeはアルバムの曲すべてを小文字表記にしていますが、“God”は固有名詞扱いなのか大文字になっていますね。

 

・benny blanco, Halsey & Khalid - Eastside (iTunes:23位 Spotify:24位)

  ポップ系プロデューサーとして大活躍し、最近はKanye Westのアルバムへの参加も話題となったbenny blancoが表舞台へ。今までは裏方のプロデューサーに徹していましたが、はじめて自身の名義の曲をリリースしました。

 客演はHalseyとKhalid。Benny blancoは“Now Or Never”のプロデュースを担当するなど、以前も一緒に仕事をしたことがありましたが、Khalidとは初のコラボのようです。

 この曲には豪華な面々が携わりました。

Cashmere CatとAndrew wattがプロデューサーとして、Ed Sheeranがソングライターとして、この曲に参加しています。彼れは今までbenny blancoと多くの仕事を共にしてきた面々です。

 

Mac Miller - Self Care (iTunes:101位以下 Spotify:95位)

 Mac Millerが新曲のリリースとともに新アルバム"Swimming"をアナウンスしました。リリースは8月3日の予定だそうです。

 

 

その他の主なシングル

・Erich Church – Desparate Man (iTunes:7位 Spotify:201位以下)

・Lauren Daigle – You Say (iTunes:12位 Spotify:201位以下)

 ・Tinashe - Like I Used To Do (iTunes:98位 Spotify:201位以下)

 ・Louis The Child & Quinn XCll - The City (iTunes:101位以下 Spotify:193位)

 

③ プレイリストの動向

 

・Hip-Hop A List・RapCaviar

  🍎 S
Juice WRLD feat. Lil Uzi Vert - Wasted
Wiz Khalifa feat. Lil Skies - Fr Fr
Fabolous feat. Ty Dolla $ign - Ooh Yea
Chief Keef feat. Playboi Carti - Uh Uh  
Future - 31 DAYS  
Derez Deshon feat. YFN Lucci - Beat the Odds  
Buddy feat. Khalid - Trippin'  
Denzel Curry - CLOUT COBAIN I CLOUT CO13A1N  
YBN Cordae - Kung Fu  
Anderson. Paak feat. Busta Rhymes - Bubblin (Remix)  
Drake - In My Feelings  
Rich the Kid - Plug Walk (Original)  
MadeinTYO feat. A$AP Ferg - Ned Flanders  

🍎はApple MusicのHip-Hop A Listに入った曲

SはSpotifyのRapCaviarに入った曲

 

 Apple MusicのプレイリストとRapCaviarで入る曲数にずいぶん違いが出ています。Apple Musicのプレイリストでは、先週まで”Plug Walk"のリミックスが入っていましたが、今週リミックスではなくオリジナル版がプレイリストに復活しました。

 ほか、Apple Musicのプレイリストでは”Ball For Me"が外れ、Post Maloneの曲がプレイリスト内で0曲に。(RapCaviarでは2曲が入っている)

 Apple Music内では、このようにHip-Hop A Listから外れた曲は ”Today's Hits"というプレイリスト(アメリカで2番人気のぷれ)に移る傾向があります。

 現在この”Today's Hits"にはPost Maloneの曲が4つも入っています。(”Psycho"、”Better Now"、”Ball For Me"、Tiëstoらとの”Jackie Chan")

 

・New Music Friday

  今週の表紙はtwenty one pilots。2年ぶりのカムバックで、曲もインパクトがあるので納得の選出です。

 

④ ラジオの近況

左の数字は現在推定ラジオ順位 

右の数字(+,-)は1日のべ再生数の増減(単位:100万)

 

・上り調子

71 Drake In My Feelings +5.1
8 Maroon 5 feat. Cardi B Girls Like You +3.1
4 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It +2.9
269 Twenty One Pilots Jumpsuit +2.0
22 Post Malone Better Now +2.0
110 Darius Rucker For The First Time +1.5
3 Taylor Swift Delicate +1.3
100 Juice WRLD Lucid Dreams +1.0
79 Tyga feat. Offset Taste +1.0
103 Nicki Minaj feat. Ariana Grande Bed +0.9

 Drakeのアルバムからのシングルは”In My Feelings"に一本化。凄まじい速度でラジオの数字を伸ばしています。ほか今週半ばにリリースされたtwenty one pilotsの新曲も順調に伸びています。

 

・下り調子

10 Camila Cabello Never Be The Same -2.8
13 Drake God's Plan -2.1
84 Charlie Puth feat. Kehlani Done For Me -1.9
62 Childish Gambino This Is America -1.7
45 Morgan Wallen feat. Florida Georgia Line Up Down -1.6
2 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle -1.5
6 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho -1.4
51 Migos feat. Drake Walk It Talk It -1.4
39 Maroon 5 Wait -1.3
26 Cardi B Be Careful -1.2

 Camila Cabelloの”Never Be the Same" がラジオで落ちてきています。そろそろ次のシングルがリリースされる頃でしょうか。アルバムから何がシングルになるのか気になりますね。

 

・今週各種ラジオでかかり始めた曲

                                          ポップ
43 Justin Timberlake Soulmate
50 Ella Mai Boo'd Up
                                           HAC
43 Justin Timberlake Soulmate
50 Daughtry Deep End
                                       リズミック
46 Bazzi Beautiful
49 Yella Beezy That's On Me
                                        アーバン
23 Drake In My Feelings
47 Lil Donald Do Better
48 A$AP Rocky feat. Skepta Praise The Lord

  Justin Timberlakeの新曲が早速ラジオに登場。しかし、まだ再生数が伸びていないようです。 Ella Maiの”Boo'd Up"がポップ系ラジオに飛び火

 

⑤ 各種トップ10

iTunes シングルダウンロード

1 Drake In My Feelings
2 twenty one pilots Jumpsuit
3 Ariana Grande God is a woman
4 Maroon 5 feat. Cardi B Girls Like You
5$ Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It
6 Post Malone Better Now
7 Eric Church Desperate Man
8 Childish Gambino Summertime Magic
9 Drake In My Feelings
10 Florida Georgia Line Simple

$は割引

 ”In My Feelings"がダウンロード首位を独走中。別のバージョンも9位に入っています。Cardi Bの2曲が長いこと人気。(ラジオで人気の曲はDLが伸びてくる傾向にある)

 

Spotify 再生数

1 Drake In My Feelings 4.81M
2 Drake Nonstop 2.07M
3 Juice WRLD Lucid Dreams 1.96M
4 Drake feat. Michael Jackson Don't Matter To Me 1.74M
5 XXXTENTACION SAD! 1.55M
6 Childish Gambino Summertime Magic 1.49M
7 Tyga feat. Offset Taste 1.48M
8 Ariana Grande God is a woman 1.47M
9 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It 1.43M
10 Drake Nice For What 1.36M

  ”In My Feelings"が首位を独走。ピーク時の”God's Plan"並の再生数を叩き出し、新シングルとしてかなりの存在感を発揮しています。ほかTygaが好調

 

・パンドラ (ラジオ型ストリーミング)

1 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It
2 Migos feat. Drake Walk It Talk It
3 Lil Baby & Drake Yes Indeed
4 Drake Nice For What
5 Maroon 5 feat. Cardi B Girls Like You
6 Post Malone Better Now
7 Nio Garcia & Bad Bunny feat. Darell, Nicky Jam & Ozuna  Te Boté
8 NF Lie
9 Selena Gomez Back To You
10 Khalid, Normani Love Lies

 Selena Gomezの”Back To You"がパンドラでトップ10に到達。ただしHot 100等では既に勢いが止まってきている印象。果たして……

 

SoundCloud

※ここ1週間の成績

1 Juice WRLD lucid dreams
2 Trippie Redd feat. Tadoe & Chief Keef I Kill People!
3 XXXTENTACION feat. Trippie Redd Fuck Love
4 Juice WRLD legends :(
5 Lil Baby & Drake Yes Indeed
6 Trippie Redd & xxxtentacion feat. Quavo & Ski Mask The Slump God GHOST BUSTERS
7 XXXTENTACION Hope
8 Juice WRLD All Girls Are The Same
9 Lil Xan feat. Lil Skies Lies
10 Juice WRLD feat. Lil Uzi Vert Wasted

  Juice WRLD人気は不変。Lil Xan新曲が登場。

 

・Album Of The Year / Most Popular

※批評メディアまとめサイトで注目されているアルバム

1 Deafheaven Ordinary Corrupt Human Love ☆
2 Twenty One Pilots Trench (シングル)
3 Dirty Projectors Lap Lit Prose ☆
4 Years & Years Palo Santo ☆
5 KIDS SEE GHOSTS KIDS SEE GHOSTS ☆
6 Childish Gambino Summer Pack (シングル)
7 Kanye West ye
8 Gorillaz The Now Now
9 Let's Eat Grandma I'm All Ears ☆
10 Pusha-T Daytona ☆

  この界隈で主に注目されているのは、DeafheavenとDirty Projectorsの新作。

 ロック路線をとったtwenty one pilotsはこのサイトの住民から高く評価されているようです。(現在ユーザー平均スコア 74点)

 

*1:ただしこの曲は今日のSpotifyランキングに入っていない

*2:やや意訳しています。もともとの文章は「無関心」ですが、こちらのほうが意味合いは伝わりやすいかなと考えました

*3:あと個人的な考えなのですが、“Jumpsuit”という単語でThe Red Jumpsuit Apparatusを思い出しました。サウンド的にもそこそこ近い気がします。