チャートのチャート研究ラボ

音楽チャート・ポップス等の動向・文化について頑張って研究しています!議論のネタになるような変わった視点からの記事を目指しています。

1989年生まれ歌手から学ぶUSチャートとUKチャートの大まかな違い

※チャートの違いの説明も、一位獲得数も2015年当時の数字です

 

先日、こんなクイズを出してみました。

その答えとは、、、Jason Deruloです!回答してくださった方ありがとうございました!

ここで1989年生まれの歌手でUK1位を獲ったことのある人を並べてみましょう。

(歌手じゃないDJなども入れておきました)

 

Jess Glynne 5曲 (Rather Be、My Love、Hold My Hand、Not Letting Go、Don't Be So Hard on Yourself)

Jason Derulo 4曲 (In My Head、Don't Wanna Go Home、Talk Dirty、Want to Want Me)

Avicii 2曲 (I Cold Be the One、Wake Me Up)

Labrinth 2曲 (Pass Out、Beneath Your Beautiful)

Lauren Bennett 1曲 (Party Rock Anthem

Dev 1曲 (She Makes Me Wanna)

Chris Brown 1曲 (Turn Up the Music)

Nicky Romero 1曲 (I Could Be the One)

Kiesza 1曲 (Hideaway)

 

みたいな感じです。意外とChris Brown少ないんですね。1曲て。

しかし、それよりもみなさんあの人がこのリストにいないことをお気づきだろうか。

そう、あの1989といえばの…

 

 

 

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はい!そうです。Taylor SwiftはシングルではまだUKで1位を獲ったことがありません。アルバムではRedと1989で1位を獲っていますがね。

 

そこで、私は彼女がシングルでUK1位を穫れない理由を分析し、またUSチャート(Billboard Hot100)とUKチャート(Official Singles Chart Top 100 )の違いを説明していきたいと思います。

 

彼女がUKで1位を穫れない理由

それは人気が無いからではありません。アルバムでは2015年前半の売上チャートで、1989は4位に食い込んでいます。(2014年リリースですが)※トップ5では唯一のアメリカ人

考えられる理由は下の通り

リリース日がアメリカ基準になっていること

アルバム発売以降のシングルがUKで1位を獲るのは困難であること

(③彼女の初期のスタイルであるカントリーはほぼアメリカでのみ受ける音楽であるということ)

 

今回は①と②に重点を置いて説明をしていきます。

 

まず①リリース日がアメリカ基準になっていること

これがあてはまるのは主に、We Are Never Ever Getting Back TogetherとShake It Offです。

みなさんはシングルのリリース日がアメリカとイギリスで微妙に違うことにお気づきでしょうか。例えば…

See You Again → USリリース11/10 UKリリース12/8

このように、USのリリース日(正確にいうとダウンロード解禁日)とUKのリリース日は一ヶ月ほどずれていることが多いのです。なぜずれているのでしょうか。

それは宣伝のためと思われます。え、どういうこと?

 

そのためにはUKチャートの仕組みを理解する必要があります。

ここにリンクを貼りましたが、based onから続く文章を見れば分かると思いますが、UKチャートはセールス(ダウンロード、CD、ヴァイナル)とストリーミングに基づくことが分かると思います。

それに比べてUSチャート(Hot100)はどうでしょうか。

ranked byから続く文章を見てください。こちらはラジオセールスストリーミングに基づいていることが分かります。

こちらのほうがより複合的なチャートであることが分かります。

 

さらに言うと、UKチャートがストリーミングを計算に入れはじめたのは2014年の7月からであり、セールスがUSより順位に反映されやすい(具体的にいうと、ダウンロード数4位の曲がUKだと5位になるが、USだと33位になるということ)

※UK8/21のIntoxicatedとUS8/29のFetty WapのAgainを比較しています。

つまり、何が言いたいのかというと、UKチャートはセールス(現在はほとんどがダウンロード)を中心としているチャートであるということです。

そういった販売中心のチャートでは何が起こるかというと、多くの曲がダウンロード解禁された週をピークとして順位を落としていきます

つまり、UKチャートではダウンロード解禁された週がチャート勝負なのです。

 

では、話をもとに戻しましょう。先ほど述べた宣伝期間の意味がわかったでしょうか。

リリース(ダウンロード解禁)の約1ヶ月のずれは、ダウンロード解禁初週に一気にダウンロードを集められるようにするためと思われます。まあ、要はチャート戦略ということなのです。

ここで話をテイラーに戻します。テイラーはWe Are Never Ever Getting Back TogetherとShake It Offでこのような戦略を行っていません。なぜかというと、アメリカでの1位を狙ったから。(ラジオなど多くの要素があるアメリカのHot100では宣伝期間を設けてダウンロードを集中させるよりも、リリース即ダウンロード開放のほうが有効なので)彼女はそのような宣伝期間を設けなかったうえ、リリース日をアメリカと揃えたため、UKシングルチャートでは1位を獲り逃してしまいました。テイラーほどの知名度があれば、宣伝期間が無くとも普通に売れたりしますが、この際問題はどちらかというと、リリース日をアメリカと揃えていたこと。そのことによって、ダウンロードされた週の集計が7日間フルにされず、週の半ばから集計されることになってしまったのです。

Shake It Offは週の途中から登場し、ものすごい勢いでダウンロード数を伸ばしていきましたが、1位には追いつかず、結果的にその週はDavid GuettaのLovers on the Sunに首位を明け渡しました。その後、何回か首位に迫ったこともありましたが、結局1位をとれずに終わってしまった、ということです。

※UKチャートでもじわじわ知名度が上がっていくようなケースがあれば、ピークがダウンロード解禁の週ではない場合もあります。(ストリーミングの影響なのかこういう曲も最近は多いです。ただそれで1位まで行くのはかなり至難の技のようです。)

 

※※現在は楽曲が世界同時リリースされるようになっていて、アメリカのチャート向けの日付でリリースしても、自然とイギリスのチャートにも合うようになっています。

※※しかし現在でもテイラーはまだ1位を獲得していません。

 

もう一つの②アルバム発売以降のシングルがUKで1位を獲るのは困難であることも同じような理屈で理解できるかと思います。

アルバムを持っているのに、わざわざもう一回ダウンロードする必要性というのは低いと思われます。とはいえ、PVなどで曲が注目を集めてその「曲」自体に注目が集まり、上がってくることはあります。が、1位まで行くのは困難。

※とはいえThinking Out Loudはアルバムが飛ぶように売れているうえにアルバム発売後のシングルが首位を獲るという異例中の異例もあります。

※新しく客演が加わったバージョンなら別例になる場合があります。Sam SmithのLay Me Down(John Legendを加えた)が良い例です。この曲は1位を獲っています。

テイラーもBad Bloodで同じようなこと(Kendrick Lamarが参加)をしていましたが、1位は穫れませんでした。残念。

 

こうやって長々と説明しました。自分でも書いてて頭が混乱するくらい、色々なことを書いて複雑な文章を書きましたが、最後にこれだけ覚えておいてください!

 

①UKチャートは(現状では)セールス主体のチャートであること

②意外とテイラーはUKでシングル1位を(まだ)獲っていないこと

ですかね。

ただ、ストリーミングの力がより強大になればこのシステムも変わる…かもしれませんね。

 

※最近UKチャートで見られる「爆上げ」現象について

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この爆上げってどうやって起こっているかというと、先週まではストリーミングのみの成績→今週はダウンロードも成績に入って一気に上昇ということです。

UKチャートではダウンロードがメインなので、人気曲でもストリーミングだと70位くらいまでしか順位が伸びませんが、ダウンロードがあれば、人気曲なら上位に行くということです。

UKチャートの爆上げの要因はほとんどがダウンロード解禁ということです。