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2/2 リリース新曲/新作の初動を観察 【Justin Timberlakeが余裕のアルバム1位!その裏で躍進したアジア勢とは……!】

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 先行シングルは今のところやや不発ですが、しっかりアルバムでは数字を残しています。余裕のアルバム1位見込みのようです。しかし、彼以外にも今週は結果を残したアーティストが何人かいるのです!写真はインドネシア出身のラッパーRich Brian (旧名 Rich Chigga)

 

Spotify デイリーのアメリカトップ10 (金曜日)

1 Drake  God's Plan
2 Migos Stir Fry
3 The Weeknd & Kendrick Lamar Pray For Me
4 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
5 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse
6 Migos Narcos
7 Post Malone I Fall Apart
8 Bazzi Mine
9 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
10 Offset & Metro Boomin Ric Flair Drip

 

 新譜が先週リリースされたMigosの曲でトップ10に残ったのは、Stir FryとNarcos。Stir Fryはアルバムリリース以降さらに順位を上げています。

 Zedd、Maren Morris、GreyのThe Middleはグラミー放送のCMでビデオが公開されて以降好調で上位をキープ。ラジオでも急速に数字を伸ばしていて、今後のヒットにかなりの期待が持てそうです。そしてVine出身の新人BazziのMineが急浮上中。各ストリーミングサービスでの大きな存在感を示しており、その効果でダウンロードも上昇中。どこまでビッグになるか要注目です。

 そしてリリースが2/9に決まったブラックパンサーのサントラからの先行カット、The WeekndとKendrick LamarのPray For MeがSpotify3位で登場。最新アルバムの収録曲が全てHot 100に入るなど、ストリーミングでかなり強い2人のコラボとあって、順調なスタートを切っています。2人はそれぞれR&B、ラップ系統のミュージシャンですが、この曲が主にポップ系ラジオで人気のようです。このサントラ、トラックリストも発表されています。ちなみに来週はFifty Shades Freedのサントラもリリースされます。どちらも豪華メンバーがサントラに参加していますが、どちらに軍配が上がるのでしょうか。


 

② 新曲/新アルバムからのシングル アメリカSpotifyデイリー順位 (金曜日)

※今週からアルバム単位ごとに曲をまとめています

 

Justin Timberlake / Man of the Woods  圏内:16/16曲

13 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton Say Something
28 Justin Timberlake Man of the Woods
36 Justin Timberlake Filthy
58 Justin Timberlake Midnight Summer Jam
59 Justin Timberlake Supplies
62 Justin Timberlake Sauce
74 Justin Timberlake Higher Higher
78 Justin Timberlake feat. Alicia Keys Morning Light
85 Justin Timberlake Wave
105 Justin Timberlake Flannel
109 Justin Timberlake Montana
111 Justin Timberlake Breeze Off the Pond
130 Justin Timberlake Hers (Interlude)
144 Justin Timberlake Livin' Off the Land
163 Justin Timberlake Young Man
164 Justin Timberlake The Hard Stuff

 ストリーミングではイマイチ数字が伸びていなかったJustin Timberlakeでしたが、アルバムは全曲しっかりとランキング圏内に。Katy PerryP!nkなどポップ系のビッグスターのアルバムでも、Spotifyでは全く人気が無い(3曲ぐらいしかランキングに入らない)こともあるので、この「アルバム全曲エントリー」は意外と容易なことではないと思います。全体的にそこまで順位は高くないですが。

 一番人気はFilthy や Suppliesではなく、カントリーシンガーChris Stapletonを迎えたSay Somethingに。カントリー成分の強い「オーガニック」な1曲でもあるのでストリーミングで人気なのは意外です。このSay Somethingはシングルカットもされるようです。Suppliesと入れ替わる形で今後ラジオで上昇するでしょうか。

 次に人気なのは、表題曲のMan of the Woods。Filthyは36位とそこそこな順位に。Alicia Keysが客演のMorning Lightは78位。

 

Rich Brian / Amen 圏内:7/14曲

53 Rich Brian feat. Offset Attention
116 Rich Brian Amen
120 Rich Brian Glow Like Dat
140 Rich Brian Cold
149 Rich Brian feat. Joji Introvert
171 Rich Brian See Me
172 Rich Brian Occupied

 そして今週最大のサプライズだったのはRich Brianの躍進です。アルバムの半分にあたる7曲がSpotifyデイリーのランキング圏内に入りました!アルバム1位を獲得してきた名だたるアーティストでも、アルバムの半分以上がSpotifyのランキングに入らないことも多いので、これはかなりの偉業だと思います。アルバムの完成度も高く、今年台風の目になるかもしれません。

 アルバムの中で一番人気はOffsetとのAttentionでした。イギリス人ラッパーでもUSでここまで人気になることは珍しく(昨年大活躍だったJ Hus、Stormzyは自身の曲ではUSのSpotifyの200位圏内に入っていない*1)、しかもそれがアジア人によって成し遂げられるというのは本当に驚きということがわかると思います。

 

・その他のシングル

90 CHVRCHES Get Out
167 Red Velvet Bad Boy
173 YBN Nahmir Bounce Out With That

 シングル単位でも躍進を果たしたアーティストが2組。まずはCHVRCHES。Get Outが90位となかなかの順位で登場しています。Spotifyでは昨年インディーポップがなかなか人気だった(The xx、Lana Del Reyなど)ことから、CHVRCHESは意外とSpotifyと相性が良い可能性があります。アルバムがストリーミングで人気を集めるかもしれません。

 そして女性K-Popグループ、Red VelvetのBad Boyが167位で登場!Rich Brianと並んで今週はアジア勢の活躍が目立ちます。よく「世界中で人気」と言われるK-Popアーティストですが、それでもアメリカSpotifyの 200位圏内に入るのはハードルが高く、K-Pop女性グループの代表格、BlackpinkもアメリカのSpotify 200位圏内に入ったことが無いです。(ただし、As If It's Your Lastでグローバルの183位に入ったことがあります)今回のBad Boyの167位はなかなか好成績といえると思います。Bad BoyはSpotifyグローバルでも同じ183位に入っています。

 ちなみに日本では飛ぶ鳥を落とす勢いで大活躍中のTWICEですが、人気は東アジアに集中しており、東アジア以外の国のSpotifyランキングには登場したことが無いみたいですね。(一応アメリカのiTunesシングルの100位くらいに入っていたことはありましたが)

 そして、Rubbin off the PaintでブレイクしたYBN Nahmirの新曲Bounce Out With Thatが登場しています。この曲は今週サウンドクラウドで一番人気だったようです。

 

 iTunesアメリカップ10+新曲の順位 (金曜日)

・1-10位

1 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton Say Something
2 The Weeknd, Kendrick Lamar Pray For Me
3 Drake  God's Plan
4 Jason Aldean You Make It Easy
5 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse (Remix)
6 Ed Sheeran Perfect
7$ Bebe Rexha & Florida Georgia Line Meant to Be
8 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
9 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
10$ Justin Timberlake Filthy

 Justin TimberlakeのアルバムからはSay Somethingが人気。The Weeknd、Kendrick LamarのPray For Meも上々のスタート(後に1位へ)

 

・新曲群

11 Why Don't We Trust Fund Baby
16 Iggy Azalea feat. Quavo Savior
19 Justin Timberlake Man of the Woods
24 Jessie James Decker Flip My Hair
31 Jennifer Lopez Us
34 Justin Timberlake feat. Alicia Keys Morning Light
61 Bishop Briggs Never Tear Us Apart
62 In Real Life Tatto (How 'Bout You)
74 Childish Gambino Freaks and Geeks
82 Busta Rhymes feat. Missy Elliott & Kelly Rowland Get It
86 CHVRCHES Get Out
100 Steve Aoki, Daddy Yankee, Play-N-Skillz & Elvis Crespo  Azukita

 Iggy Azaleaが新曲をリリース!流行りのQuavoを迎えて復活を期しています!ダウンロードは16位とそこそこの数字を記録しましたが、上のSpotifyの項目で登場しなかったようにストリーミングでの注目度は壊滅的。この調子ではHot 100に入らなさそうですが、果たして……現実的な目標は101位 - 125位相当のBubbling Under入り?

 ほかFifty Shades Freedのサントラからの、イギリスのオルタナティブ系シンガーBisop BriggsによるNever Tear Us Apartなどが登場しています。

 

 

iTunes アルバム順位 (アメリカ)

1 Justin Timberlake Man of the Woods
2 Various Artists The Greatest Showman
3 Montgomery Gentry Here's to You
4 Rich Brian Amen
5 Various Artists Now That's What I Call Music, Vol. 65
6 Migos Culture Ⅱ
7 Awolnation Here Come the Runts
8 Chris Stapleton From A Room: Volume 2
9 Madison Beer As She Pleases
10 The Avett Brothers

True Sadness

 Justin Timberlakeが1位。ほかの指数も優秀で余裕のアルバム1位でしょう。また、週の途中にスーパーボウルのハーフタイムショーにも参加することから、さらに数字を伸ばすと予測されています。また、Rich BrianはiTunesでも4位と大健闘しています。

アジア人としては初めて、iTunesのHip-Hopアルバムで1位を取った事例のようです。


 

⑤現在ラジオで上り調子の10曲

6 Bruno Mars & Cardi B Finesse
44 Drake God's Plan
139 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
14 G-Eazy & Halsey Him & I
56 Cardi B feat. 21 Savage Bartier Cardi
128 Jason Aldean You Make It Easy
60 Camila Cabello Never Be the Same
40 Scotty McCreery Five More Minutes
7 Charlie Puth How Long
15 Selena Gomez & Marshmello Wolves

 ラジオではBruno Marsの勢いが飛び抜けています。Drakeがどこまで食いつけるか。

 

⑥各ラジオ局で今週かかりはじめた曲

✫ポップ系

31 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
38 Drake God's Plan
44 Jack & Jack Beg
49 Symon Lonely Girl
50 Miguel feat. Travis Scott  Sky Walker

 ZeddのThe Middleが絶好調。最初にブレイクしたClarityの時から、Zeddはずっとポップ系ラジオとの相性が良いですね。MiguelはR&B界隈から人気がポップ系ラジオへと飛び火。Miguelは過去にもAdornがポップ系ラジオに登場していたようです。

 ほかDrakeがポップ系ラジオでもそれなりの数字を記録しています。

 

✫アダルトポップ系

40 Tom Walker Leave A Light On
46 Welshly Arms Legendary
47 Demi Lovato Tell Me You Love Me

 Demi Lovatoのパワーバラードが登場。

 

✫リズミック系

33 Remy Ma feat. Chris Brown Melanin Magic
44 Offset & Metro Boomin Ric Flair Drip
46 Derez De'shon Hardaway
48 Tech N9ne Don't Nobody Want None
49 Jay Rock, Kendrick Lamar, Future & James Blake King's Dead
50 Rich the Kid feat. Kendrick Lamar New Freezer

 アーバン色の強い曲が多く登場しています。

 

✫アーバン系

41 Jay Rock, Kendrick Lamar, Future & James Blake King's Dead
46 Luke Nasty feat. Rotimi Last Night
48 YoungBoy Never Broke Again No Smoke
49 Fat Joe feat. Dre Pick It Up
50 Trick Daddy & Trina feat. Mike Smiff Paradise

 トラックメーカーLuke Nasty、Fat Joeなどが登場。ストリーミングで人気のNo Smokeがそこそこ早い段階でラジオへ

 

⑦ その他のストリーミングのトップ10

Apple Music

1 Drake God's Plan
2 Migos feat. Drake Walk It Talk It
3 Migos feat. 21 Savage BBO (Bad Bithces Only)
4 Migos Narcos
5 Migos Stir Fry
6 Migos feat. Post Malone Notice Me
7 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse
8 Migos feat. Travis Scott, Ty Doll $ign & Big Sean White Sand
9 Cardi B feat. 21 Savage Bartier Cardi
10 Drake Diplomatic Immunity

 Spotifyを上回るレベルでMigosが大人気。来週何曲がHot 100にエントリーするでしょうか。

 

・パンドラ

1 Ed Sheeran & Beyoncé Perfect Duet
2 NF Let You Down
3 Bebe Rexha feat. Florida Georgia Line Meant to Be
4 G-Eazy & Halsey Him & I
5 G-Eazy feat. A$AP Rocky & Cardi B No Limit
6 Eminem feat. Ed Sheeran River
7 Daddy Yankee, Camila Cabello Havana (Remix)
8 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse
9 Migos, Cardi B & Nicki Minaj MotorSport
10 Post Malone I Fall Apart

 パンドラには17週目以降の曲を外すというルールがあるので、先週まで1位だったrockstarがトップ10から消えています。1位は代わりにPerfect Duetに。Havanaのリミックスなどがトップ10に入っています。ちなみにオリジナルのHavanaも同じく17週目以降だったので、トップ10から外れています。

 

・サウンドクラウド

1 YBN Nahmir Bounce Out With That
2 6ix9ine, Fetty Wap & A Boogie wit da Hoodie KEKE
3 Lil Skies feat. Landon Cube Nowadays
4 6ix9ine GUMMO
5 Lil Skies feat. Landon Cube Red Roses
6 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
7 XXXTentacion feat. Trippie Redd Fuck Love
8 Kodak Black feat. XXXTentacion Roll in Peace
9 Bazzi Mine
10 YoungBoy Never Broke Again Outside Today

 先週Hot 100に初エントリーしたBazziがサウンドクラウドでも躍進。各ストリーミングで好みが違うなか、SpotifyApple Music、サウンドクラウドの3つでトップ10入りするとはなかなかだと思います。

 

・Genius

1 Drake God's Plan
2 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse
3 Big Shaq Man's Not Hot ✔
4 Bazzi Mine ✔
5 Ziv Zaifman A Million Dreams
6 Migos Narcos
7 Migos feat. Drake Walk It Talk It
8 Ex Battalion Hayaan Mo Sila
9 Sam Smith Too Good at Goodbyes
10 Loren Allred Never Enough

✔は本人のコメント付き

 

 歌詞分析サイト、Geniusのランキングもメモしようと思います。歌詞分析サイトで注目を集めても、それがHot 100に集計されるわけではないですが、「多角的にヒットを見る」という視点から導入しました。

 元はRap Geniusというサイト名でしたが、案外ラップ以外の曲も上位に入っています。The Greatest Showmanの曲が人気なのは意外です。

 

 

✫半年前の新リリース


 非シングルからアメリカ1位にまで上り詰めたHavanaのリリース日。意外にもリリース当初は同時リリースしたOMGのほうが人気で、HavanaはSpotify 200位圏外でした。後にじわじわと浮上します。

*1:StormzyはLinkin Parkの客演でならランクイン歴あり

Spotify で人気のアルバムとは? 2017・アメリカでのデイリーランキングを参考に検証

 

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↑リリース日にアルバム全曲がSpotifyのランキングに入ったアルバム

 

 近年アルバムリリースと同時に、シングルではない「アルバム曲」を含む複数曲が各国シングルチャートに大量エントリーする事例が各所で見られています。中には、アルバム曲全てがシングルチャートに入るような事例もあります。(詳しくは記事の最後に貼った関連記事を参照してください)

 

 その大量エントリーを支えているのはストリーミングのポイントです。リリースと同時に各ストリーミングサービスで大量に再生され、そこで得たポイントがチャートに反映されるのです。実際、アルバムのリリース日、金曜日の各ストリーミングのランキングでは各アルバムの曲が上位へと浮上しています。そこで、今回は金曜日のストリーミングのランキングを参考に、「どのようなアルバムがストリーミングでは人気なのか?」ということを独自の方法で検証したいと思います。「初日の注目度」、「アルバム単位で人気かというか」に注目しているので、純粋な「最もストリーミングされたアルバム」とは若干違う目線からの分析になります。

 

以下が調査方法です。

① Spotifyアメリカのランキングを参照にする (規模が大きい・ランキングが参照しやすい)

② アルバム収録曲の半分以上がデイリーランキング200位以内入っていれば「人気」と判定する

③ 基本的にはリリース日のランキングを参考にするが、例外も一部あり。

 

 その条件で2017年、1年間Spotifyランキングを調査したところ以下の43のアルバムが該当しました。

 

 Spotify デイリー200位圏内に、アルバム収録曲の半分以上が入ったアルバム
リリース日 名前 アルバム名  
1月13日 The xx I See You 60.0%  
1月27日 Migos Culture 100.0%  
2月3日 Big Sean I Decided. 100.0%  
2月17日 Future Future 100.0%  
2月24日 Future HNDRXX 100.0%  
3月3日 Ed Sheeran ÷ (Deluxe) 100.0%  
3月19日 Drake More Life 100.0%  
4月7日 The Chainsmokers Memories. Do Not Open! 100.0%  
4月7日 Joey Baddass All-Amerikkkan Badass 91.7%  
4月14日 Kendrick Lamar DAMN, 100.0%  
4月28日 Gorillaz Humanz (Deluxe) 53.8%  
5月5日 Logic Everybody 100.0%  
5月12日 Harry Styles Harry Styles 100.0%  
5月26日 Bryson Tiller True to Self 100.0%  
6月2日 Halsey Hopeless Fountain Kingdom 61.5%  
6月16日 Lorde Melodrama 100.0%  
6月16日 2 Chainz Pretty Gilrs Like Trap Music 68.8%  
6月23日 DJ Khaled Grateful 78.3%  
6月23日 Imagine Dragons Evolve 100.0%  
6月30日 Calvin Harris Funk Wav Bounces Vol.1 100.0%  
7月7日 21 Savage Issa Album 100.0%  
7月21日 Tyler, The Creator Flower Boy 100.0%  
7月21日 Lana Del Rey Lust for Life 87.5%  
7月21日 Linkin Park Hybrid Theory 58.3%
7月21日 Linkin Park One More Light 70.0%
8月4日 Ugly God The Booty Tape 70.0%  
8月11日 Kesha Rainbow 64.3%  
8月25日 Lil Uzi Vert Luv Is Rage 2 100.0%  
8月25日 XXXTENTACION 17 100.0%  
8月25日 A$AP Mob Cozy Tapes, Vol.2: Too Cozy 70.6%  
9月8日 Thomas Rhett Unforgettable 78.6%  
9月18日 BTS Love Yourself : Her 88.9%
9月29日 Miley Cyrus Younger Now 54.5%  
10月6日 Lil Pump Lil Pump 93.3%  
10月20日 Future & Young Thug Super Silemy 100.0%  
10月20日 Niall Horan Flicker 60.0%  
10月31日 Metro Boomin, 21 Savage, Offset Without Warning 100.0%
11月3日 Sam Smith The Thrill of It All (Deluxe) 100.0%  
11月17日 Lil Peep Come Over When You're Sober Pt.1 85.7%
12月1日 Taylor Swift Reputation 100.0%  
12月8日 Big Sean & Metro Boomin Double or Nothing 100.0%  
12月15日 Eminem Revival 100.0%  
12月22日 Huncho Jack Huncho Jack 100.0%  

(各日にちをクリックすると、当時の詳しい成績を見ることができます)

 

・※はリリース日とは遠い日月にアルバムが半数以上入ったアルバムです。いずれも追悼の意を込めたストリーミング増です。

 

・「月」「火」はそれぞれのリリースされた曜日を指します。一般的にアルバムがリリースされる金曜日ではないため、注目を独占できる可能性があります。一方、「新作リリースは金曜日」との認識が浸透してきていると思われる*1ため、逆にノーマークになる可能性もあります。

 

曲数、各アルバムで最高位を記録した曲のデータなどの詳しい表は↓です。(ブログの横幅の問題で入り切らなかったです、、、)

 

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これらを国籍別に分類すると、US:33、UK:7、カナダ/ニュージランド/韓国が1つずつでした。

また、ジャンル別に分類すると、ラップ:24、ポップ:11、ロック:5、ダンス:2、カントリー:1でした。

さらに、形態別に分類すると、ラッパー:24、女性シンガー:6、バンド:5、男性シンガー:4、DJ:2、ポップグループ:1でした。

 

 アメリカのSpotifyのランキングから取っているので、当たり前ですがアメリカのアーティストが順当に多かったです。見どころとの一つに、激戦区があります。Linkin Parkの複数アルバム、Tyler, the Creator、Lana Del Reyに加え表には無いNav+Metro Boomin、Meek Millのアルバムがリリースされた7/21は特に印象深かったです。ほかLil Uzi Vert、XXXTentacionのアルバム全曲がエントリーし、A$AP Mobのアルバムが半分以上エントリーした週などもありました。

 また、逆に「このアルバムが意外と入っていない!」のような視点で上記の表を観察してみると面白いかもしれません。上記の表から私が読み取ったことをいくつか述べていきます。

 

 一番人気のジャンルはやはりラップ!ただし……

 事例43のうち、ラップアルバム24と過半数を占めています。その中でも全曲がランキング圏内に入ったアルバムが25件なのですが、そのうち17がラップアルバムでした。Kendrick LamarのDAMN.やDrakeのMore Lifeがリリースされた時には上位がそれらにアルバム曲で埋め尽くされました。ストリーミングで注目アーティストの非シングル>他のアーティストの正式シングルという現象が発生していたのです。

 Futureが2017年にアルバムを3つ、またMigosがグループでのアルバム、ジョイント作をそれぞれでリリースしたようにラップ界はリリースペースが非常に早いですが、それでも多くのアルバムが上位にランクインし続けるあたり、現在のラップの勢いやストリーミングとの相性の良さを感じます。(リリースペースの早さがラップの人気の要因の一つと聞いたこともあります)

 ただし、全部のラップアルバムが必ず人気という訳ではなく、例えシングルをヒットさせたようなアーティストでもアルバム単位では人気にならないという事例もあります。それに当てはまるのはFrench Montana、Gucci Mane。それぞれUnforgettable、I Get the Bagとビッグアンセムが収録されたアルバムを2017年にリリースしましたが、French MontanaのJungle Rulesは4/18曲エントリー、Gucci ManeのMr.Davisは 8/17曲といずれも過半数を下回る結果に。(とはいってもそこそこ入っていますが)

このようにシングルヒットがあってもアルバム単位では再生数が稼げないケースもあるので、シングルヒットと「アルバム」でいかに人気かは少し違う事象なのかなと思いました。

 

 

 ポップスも一定の支持

 次いで多かったジャンルはポップス。世界的に人気だったEd Sheeranの÷はアメリカでも人気。ストリーミングでの人気により、Hot 100でも大量エントリーしました。今年世界で最もSpotifyで再生されたアルバムにも選ばれていました。ほかHarry StylesやSam Smith、LordeやBTSなどアメリカ以外のアーティストも人気。多様なアーティストが活躍していました。ただし、アルバムが全曲入っていた事例は少なめ(Ed Sheeran、Harry Styles、Sam Smith、Lorde、Taylor Swiftの5人)で、ラップよりも人気は控えめでした。

 また、ラップと同じくシングルヒットを飛ばしてもSpotifyでアルバムが人気とは限りませんでした。その最たる例がSorry Not Sorryがヒットだったにも関わらず2曲しかランキングに登場しなかったDemi Lovatoでしょうか。R&Bに寄った完成度の高いアルバムだと個人的に思っているのですが、ここまでストリーミングで無反応だったのは意外でした。(むしろシングルが不振だった、同じ週リリースのMiley Cyrusのアルバムのほうが人気)

 

③ ロックの苦戦

 2017年はチケットをCDのおまけに付ける手法が流行。その恩恵を受けるなどして、6つのロックアルバムがアルバムチャートで1位を獲得しました。しかしストリーミングでは人気ではなく、ロックアルバムで「人気」に当てはまるのは事実上3例。Linkin Parkも2つアルバムが人気でしたが、これはボーカルのチェスターに対する追悼のもので、One More Lightリリース当時はランキングに入ったのはわずか1曲のみでした。

 近年メインストリームでのロックのヒットが減り、ロックの勢いが落ちているからとも考えられますが、後述するイギリスのSpotifyではそれなりにロックアルバムも人気だったので、地域的な問題もあるかもしれません。

 (参考 チケット+CDについて)


 

④ セールスとは比例しない女性シンガーのストリーミング

 ロックと並んで、ストリーミングでやや不調だったのは、女性シンガーのアルバムです。アルバムチャートでは女性シンガーの1位は多く、これまた「チケット付きCD」で人気を得たShania Twain、P!nkなどが多くのセールスを記録しました。しかしShania Twainのアルバムからランキングに登場したのは0曲、P!nkのアルバムからランキングに登場したのは3曲のみでした。Shania Twainはカントリー出身で、シングルヒットは出なくても独自の固定ファン*2がいるやや特殊な事例?なようにも思いますが、P!nkのアルバムがSpotifyで人気が無かったのは象徴的だと思います。

 先行曲What About Usは多くのダウンロードを記録し、またラジオでも大人気。しかしWhat About Usはリリース時からアメリカのSpotifyで人気が無く、アルバムリリース後もSpotifyでは浮上せず。ラジオ・ダウンロードでは今まで築き上げてきたキャリアがプラスに働くと思うのですが、若者が多いSpotifyユーザーには響かなかったということでしょうか。ほかKelly ClarksonKaty Perryの新アルバムもストリーミングでは人気が出ないなど、中堅以上の女性シンガーはストリーミングで厳しい結果が。ほかTaylor Swiftも全曲がランクインはしましたが、爆発的なセールスの割にそこまでSpotifyでの順位が高くないなど、全体的に不足感があります。

 中堅女性シンガーがストリーミング時代においてどのようなアルバム戦略を取るべきか、それともストリーミングは気にせずセールスを重視するべきなのか?今後の動向に注目したいです。

 

⑤ インディーポップ勢の意外な奮闘

 全体的に女性シンガーが思ったほどのストリーミングを記録していないと述べましたが、2人の例外がいます。それはLordeとLana Del Reyです。二人はオルタナティブロック系ラジオでも人気を博すなど、インディーにも寄ったスタイルのシンガーですが2017年のアルバムがストリーミングで人気を博しています。

 Lordeのアルバムは強力なライバル2 Chainzがいたものの、全曲がランキング圏内に。そしてアルバム1位も獲得。そしてLana Del ReyはTyler, The CreatorLinkin Park(追悼)、Nav+Metro Boomin、Meek Mill……など多くのライバルの中で 14/16曲がランキングに。初日の曲の再生数を見ると、Lordeよりもストリーミングで人気だったようにも思います。こちらもアルバム1位を獲得しています。

 この2人はシングルヒットに恵まれてはいませんでしたが*3、アルバムがストリーミングで注目されました。両方のアルバムは批評家からも評価が高く、「純粋に質が高かった」*4のも理由の一つですが、他にも理由があると私は考えます。

 それはアーティストとしては注目を集めていること。メインストリームでシングルヒットが出なくても、音楽メディアで取り扱われる回数は多く*5 曲だけではなく、人としても注目を集めているという印象がありました。

(↓Lana Del Reyが人として人気を集めている一例 この熱狂的な人気が他のリスナーにも伝播しているのでしょうか) 

 

 

 

 また、「アルバムとしての作り」を意識し、シングル単位ではなくアルバム単位で主に聴かれていたということなども理由に挙げられるでしょうか。

 とにかく、「ストリーミングはラップ一辺倒」と言われるなか、女性シンガーがシングルヒット無しでここまでストリーミングで注目を集めたという点は特筆に値すると思います。この2つのアルバムは、純粋に室の高いアルバムという理由だけではなく、ストリーミング時代の一種の「成功例」としても賞賛されて良いと感じています。

 2018年に入り、Camila Cabelloは自身のアルバムで、Frank Dukesをメインのプロデューサーにしています。彼はLordeのアルバムの約半分の曲をプロデュースした人物でもあり、アルバムの雰囲気も少し似ているように感じました。そのアルバムがSpotifyで人気を博していて、さらにシングルヒットもあったことからLorde、Lana Del Reyを上回る成績を記録しています。このインディーポップのアイデアを受け継ぎつつ、シングルでも成功を収めているという点は興味深いです。(今後の女性シンガーのストリーミングとの付き合い方としての「模範解答」として参考になると思います)

 

 ほか、イギリスのThe xx、Gorillazが意外にもエントリーを果たすなど、インディー寄りの曲は案外ストリーミングと相性が良いのかもしれません。2018年はこの流れが加速し、様々なインディー曲が多くの人の耳に届いたら面白いと思います!

 

 

 

おまけ UK

1/13 The xx

2/10 Rag N Bone man (7/12)

2/10 Nines (13/15)

2/24 Stormzy

3/3 Ed Sheeran

3/17 Zara Larsson (9/15)

3/19 Drake

4/7 The Chainsmokers

4/14 Kendrick Lamar

4/28 Gorillaz (19/26)

5/12 J Hus

5/12 Harry Styles

5/12 Paramore

6/16 Lorde (10/11)

6/23 Imagine Dragons

6/23 DJ Khaled (13/23)

6/30 Calvin Harris

7/21 Tyler the Creator (10/14)

7/21 Linkin Park Albums

10/6 Giggs

10/6 Liam Gallagher

10/13 P!nk (8/13)

10/20 Krept & Konan

10/20 Niall Horan (6/10)

11/3 Sam Smith

11/3 Dave (EP)

11/24 Noel Gallagher

12/15 Eminem

 

USと比較した場合のUKの特徴を完結に述べると、

① 純粋にUKアーティストの人気がある 

② USほどではないが、UKでもラップの台頭が著しい 

③ ギャラガー兄弟を中心にUSよりはロックが人気 

④ Spotifyで「アルバム聞き」が定着していないのか、USよりも事例が少なめ (?件)

 

 辺りでしょうか。他にも、Tyler, the Creatorが激戦区を勝ち抜いて支持を得ている点は意外でした。また、5/12は3つのアルバム(J Hus, Harry Styles, Paramore)の全曲が200位圏内に入るという、なかなかの濃い週に。J HusがストリーミングでHarry Stylesを上回ったというのはなかなかインパクトがありました。(その結果はシングルチャートにも反映されています)


★関連記事


 

 

 

 

 

 

...

*1:水曜日あたりにリリースされた新曲でも、金曜日に一番上昇するケースが多い。おそらく金曜日に「新曲プレイリスト」がリリースされるため

*2:独自のファンのみで勢いのあるDemi Lovatoに勝てるからすごい

*3:Green Lightはヒットになりかけましたが

*4:私の個人的ベストアルバムでもLordeを1位、Lana Del Reyを3位に選んでいます!!

*5:私の体感レベルで、ですが

Hot 100 2/3 見どころ 【Vine出身の新星登場 / Drake一位デビュー / SZAの無念】

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 写真はVine出身と言われているBazzi。今週MineがHot 100に登場。今後の上昇に期待が持てます。ほかDrakeが数々の記録を打ち立て、Hot 100首位デビュー、ほかSZAの無念、Twitterアカウント@Chartdataの話など

 

 

99 Plies – Rock [New]

 フロリダのベテランラッパー、PliesのRockが99位で登場。Apple Musicで150位前後、Spotifyで200位圏外などストリーミングのポイントを特に稼いでいるわけではないですが、She Is My Rock, Rock……のフレーズに合わせて踊る動画が流行しているようで、その人気でのHot 100エントリーしたのだと思われます。○○チャレンジのような名前はまだ無いみたいです

 

90 Quavo & Lil Yachty – Ice Tray [↓]

 来週のHot 100ではMigosの曲が大量登場する見込み。その影響で下位の曲が一気に圏外へと落ちてしまいそうです。MigosのメンバーQuavo自身のIce Tray(今週90位)をはじめとした90位以下の曲は来週ピンチです。ほか、日本のシンガー/DJ植野有砂が客演を務めるSofi TukkerのBest Friend(今週89位)、ラジオでもヒットしたBTSのMIC Drop(今週84位)あたりも今週ラストかもしれません。

 

88 Maroon 5 – Wait [Re]

 スナップチャットを使ったビデオのリリースもあり、Maroon 5のWaitが88位で再登場。シングル化してラジオでかかり始めたことも大きいです。ポップ系ラジオで今週26位。A Boogie wit da Hoodieのリミックスもリリースされましたが、これがチャートに反映されるのは来週です。ただし、リミックスよりも原曲のほうが人気なようです。

 

82 NF – No Name [New]

 昨年アルバム1位を獲得したことで話題となったNFの新曲No Nameが82位で登場。この曲はその1位を獲得したアルバムPerceptionには収録されていません。ダウンロードでは今週9位とかなりの数字を記録しましたが、一方ストリーミングではApple Music・Spotifyの両方で圏外など数字を稼げず。

 彼のシングルLet You Downは今週14位と好調をキープ。ポップ系ラジオで8位などラジオの好調が際立ちます。イギリス、ドイツ、オーストラリアでは既にトップ10入りを達成しており、それらに続く母国でのトップ10入りなるか。

 

71 Justin Timberlake – Supplies [New]

Justin TimberlakeのFilthyに続く新アルバムからのシングル、Suppliesが71位で登場。今週ダウンロード10位を記録。PharrellChad Hugoのユニット、The Neptunesがプロデュースした1曲です。既にリズミック系で33位など、ラジオでかかっていることから、アルバム宣伝用の曲ではなく、シングルとして売り出しているということが分かります。

今後ラジオの上昇で巻き返す可能性もありますが、71位デビューという順位は不足感があり、またFilthyも今週33位と下降中なので、彼の今回の路線はヒットがあまり期待できないかもしれません。アルバムはセールスでしっかり1位を取るでしょうが、ストリーミングの成績が低くなるかもしれません。

 

65 The Chainsmokers – Sick Boy [New]

 The Chainmokersの新曲Sick Boyが65位で登場。今週33位のダウンロードのほか、Spotifyでは一時期トップ10に入っていたのでストリーミングでもそれなりに数字を稼いでいると思われます。ラジオはスタートダッシュに失敗しており、Sick Boyよりリリースが1週間遅かったZeddらのThe Middleに既に抜かされているようです。(今週、Sick Boyはポップ系ラジオ40位圏外、The Middleはポップ系ラジオ38位)

 アルバム以降はヒットが少なく、(The One、Honestなどはトップ40に到達せず)やや勢いが落ちているようにも思えるThe Chainsmokers。今回のシングルはアルバムの路線を受け継いだようなロック寄りのサウンド*1が特徴的な1曲ですが、この曲で「様子見」して、ヒット具合次第では、路線を変えるという可能性もあるかもしれません。

 

※この曲ではCloserのソングライターShaun Frank、Don’t Let Me Downなど複数曲でソングライターを務めるEmily Warrenが、携わっていて少し「The Chainsmokersオールスター感」があるかも

※Something Just Like This、The Oneに引き続き週半ばのリリースです。

 

56 Bazzi – Mine [New]

 ミシガン出身のシンガーBazziがMineで初のHot 100入り。Mineが56位で登場しています。Apple Musicで18位・Spotify 12位などストリーミングでの好調が際立ちます。今週に入ってからはダウンロードも伸びてきているようで、来週以降はHot 100でさらに上昇の予感がします。彼はもともとVineなどで活動していたシンガーのようです。

 

彼はTwitterで↓のようなスクショを貼っていましたが、Apple Musicの「総合1位」ではなく「ポップス曲の中で1位」です。(Apple Musicはヒップホップが常に強いです。この辺りの時期はDrake、Cardi Bが総合1位を取っています) *2

 

 

39 Offset & Metro Boomin – Ric Flair Drip [↑]

 OffsetとMetro BoominのRic Flair Dripが39位とトップ40に突入。この曲はハロウィンにリリースされた21 Savage、Offset、Metro BoominのジョイントアルバムWithout Warningからの1曲ですが、この曲では21 Savageのバースが無くOffsetのソロ曲になっています。

 Offsetソロ名義では同アルバムからのGhostface Killersに続いて2曲目のトップ40。またプロデューサーのMetro Boominは21 Savage、FutureとのXに続いて2曲目のトップ40に。プロデューサーながらも裏方専門ではなく、精力的に活動しています。先日もGapのビデオに出演。


 

 

 Apple MusicとSpotifyの両方でトップ10に長く入り続けるなどストリーミングの強さが特徴の1曲。ヒップホップ系のラジオの下位に登場しているとの情報*3もあり、ラジオでも少しはポイントを稼いでいると思われます。

ストリーミングで強いアーティストはストリーミングで様子見してからシングルを決められるという点がチャートで強みになり得ると思います。近年はアーティスト/レーベル側が定めたシングルと、ストリーミングで人気のシングルがズレている事例もありますが、ストリーミング成績で様子見をすれば、そのズレに気づいてからシングル化できます。

 

38 MAX feat. gnash – Lights Down Low [↑]

 MAXのLights Down Lowが38位とトップ40に突入。自身初のトップ40に。客演のgnashは2016年にトップ10入りしたi hate u, i love uに引き続き2曲目のトップ40です。

ポップ系ラジオ10位で、ラジオ総合12位などラジオの強さが特徴的な1曲。アダルト○○系統のラジオでも人気です。リリースは2016年の10月でしたが、ラジオでじわじわポイントを稼いで今週トップ40入りと日の目を見ました。今週ポップ系ラジオチャートに入っている曲の中では最も長い27週目を迎えています。*4

 

 ちなみにそのポップ系ラジオでは今週Dua LipaのNew Rulesが1位に。またTroye SivanのMy My My!、KeshaのWomanなどがポップ系ラジオチャートに今週登場しています。

 

1 Drake – God’s Plan [New]

DrakeのGod’s Planが1位で登場。ダウンロードとストリーミングを制して初登場1位を達成しています。初登場からいきなり1位デビューするのは史上29曲目で、ラップとしてはI’ll Be Missing You、Doo-Wop (That Thing)、I’m the Oneに次いで4曲目の偉業。また、DrakeはDiplomatic Immunityも今週7位で登場しており、トップ10に2曲以上を「初登場」で送り込んだ3つ目の事例に(Ed SheeranのShape of You / Castle on the Hill・DrakeのPassionfruit / Portland に次いで)

ラジオの成績はまだまだ上がりきっていませんが、それでも1位になったのは圧倒的なストリーミング成績のおかげです。Spotifyでは世界合算 / アメリカで1日の再生数の記録を打ち破っています。ちなみにそれまで記録を持っているたのは、世界合算のほうがLook What You Mede Me Do、アメリカの方がDAMNリリース時のHUMBLE. ちなみにLook~は「リリース初日のアメリカのSpotify再生数トップ」という記録も持っていました。しかしこれらの記録は全てDrakeのGod’s Planによって塗り替えられました。ちなみにApple Musicでも再生数の記録を更新しています。

 リリース時期も良く、年間チャート1位候補の一つと言えそうです。ライバルになりそうなのはBruno MarsのFinessseですが、God’s Planがこのレースを制するにはラジオの成績が肝と言えそうです。

 Bruno Marsはラジオを得意としており、ポップ系だけでなく近年はR&B系ラジオでも人気です。そのラジオでの人気ぶりから、彼の曲はロングヒットになる傾向があります。ラジオと比べるとストリーミングでの人気はやや控えめですが、今回のFinesseはストリーミングでも奮闘しています。一方Drakeだけでなくラップ曲全般に言えることなのですが、ストリーミングで無類の強さを誇る一方、ラジオではそこまでポイントを稼がない傾向にあります。ラジオはポップス系ラジオの規模が大きく、ラジオを制する=ポップ系で人気とも言え、Hip-HopやR&B系の局をいくら制してもラジオのポイントは上がりきらないケースが多いです。Hip-Hop系統の局で現在大人気のGod’s Planですが、ポップ系ラジオでも人気を得ることができれば、年間1位レースで有利に立つことが出来るでしょう。Drakeは過去にOne Dance(ポップ系ラジオ1位)、Hotline Bling(ポップ系ラジオ2位)など実績もあるので、期待は持てそうです。

 

 ちなみにこの2曲ではDrakeはトップ10が通算22曲に。Taylor Swiftと並んで歴代で13番目に多い曲数です。また、1つのDecade (10年ごとの区切り)に20以上のトップ10を獲得した3番目のアーティストに(Best I Ever HadとForeverは2000年代、それ以外は2010年代) ↓ソースは以下


 個人的にこのニュースで驚きなのは、Drakeの打ち立てた記録よりもこの情報ソースが海外のチャートマニアアカウント @Chartdataであるということ。このFaderの記事では@Chartdataのツイートがソースとされています。単なるチャートマニアのTwitterアカウントがメディアを動かすというのは、なんだか少し憧れますね。

 この@Chartdataはビルボードのスタッフからも注目?されているようですね

 

 

× Taylor Swift - ...Ready For It? [↓]

 最初は4位で登場したものの、どんどん順位を落としていったTaylor Swiftの ...Ready For It? Look~と同じく尻すぼみに終わってしまいました。最後の週の順位は96位に。危うく完走(チャートに20週以上入ること)を逃すところでした。Taylor Swiftの最近のシングルはチャートを下降するスピードが早く、それを埋め合わせるかのように矢継ぎ早にシングルカットやビデオリリースをしていますが、どのシングルもうまく行きませんね……(期待のEnd Gameも今週18位→30位)また、Havanaと同じようにストリーミングで人気を集めた非シングルをシングルカットする手法を取り、Justin Bieber関連曲のプロデューサーとして台頭したBloodPopのリミックスをリリースするなど、色々やってみていますが、あまりうまく行きませんでした。ダウンロードでのポイントが安定していて、序盤のチャート成績は昔から良かったのですが、ここまで露骨に尻すぼみが続くと、少しこれからの雲行きが怪しくなりますね……

 

× Marshmello feat. Khalid – Silence [↓]

 2015年初頭にサウンドクラウドで頭角を表し、2016年にはAloneで初のHot 100入り、さらに2017年にはトップ40ヒットかつグローバルヒットを飛ばすなど、破竹の勢いでキャリアアップしているMarshmelloのSilenceが今週チャートから外れました。

 イギリス、ドイツ、オーストラリアなどの主要国でトップ10入りを果たしたSilence。しかし二人の本拠地アメリカではトップ10からは程遠い30位ピークでチャートを後に。二人とも初のHot 100エントリー、AloneやLocationの時はいずれもアメリカでのチャート成績が他国よりも相対的に高く、アメリカで人気のあるアーティストと言えますが、「チャートトリック」によってこの曲のチャート成績は伸びませんでした。*5

 この曲はストリーミングで主に人気だった曲で、多くの国でSpotifyのトップ10入り。上記のイギリス、ドイツ、オーストラリアだけでなくアメリカでも同じくSpotifyのトップ10に入っていました。しかし、集計方法の違いによってピーク順位が大きく変わったのです。

 イギリスなど、多くの国のチャートはダウンロード+ストリーミングで構成されています。(多くは150ストリーミング=1ダウンロード)近年のストリーミング拡大で、イギリスなど多くの国のチャートはストリーミングを基軸にしたチャートとなりつつあります。つまり、多くの国のチャートではSpotifyでのヒットがダイレクトにシングルチャートに反映されやすいのです。

 しかしアメリカ*6は集計方法が異なります。アメリカではダウンロード+ストリーミングに加えてラジオも集計し、比率もダウンロード35-45%、ラジオ30%-40%、ストリーミング 20-30%と定められています。このようにストリーミングの比率が低く、さらにアメリカのApple MusicにはSpotifyとヒットする曲が違うという特徴があるので、Spotifyのヒットがダイレクトにシングルチャートには反映されづらいのです。

 さらに、ラジオの動き出しが遅いという点も理由に挙がります。有名アーティストのリリースならば、すぐにラジオでかかり始めてストリーミングと同時にラジオが上昇していきますが、Marshmelloのような全国区で知られていないアーティストだと、ラジオでのかかり始めが遅くなり、ストリーミングでピークに達したくらいの時期にようやくラジオでかかり始めます。その結果、ストリーミングとラジオのピークがズレてしまい、チャートでのピークが低くなってしまうのです。(そのズレの結果、ラジオでも思うような成績にならない場合が多い。この曲もポップ系ラジオ31位がピーク)

 


 

× SZA – The Weekend [↓]

 グラミーで無冠に終わったSZA。The Weekendが今週チャートから外れました。チャートでも今週無念。とはいっても、デビュー作から2曲もトップ40シングルが出るのは大躍進と思います。このThe Weekendは前シングルLove Galore (ピーク30位)を超える26位まで到達しました。Calvin Harrisによるリミックスも多少はヒットに寄与したと思います。(リミックスがリリースされた週にピークを迎えています)

 Kendrick LamarとのAll the Stars(今週54位)、次シングルのBroken Clocksなど、2018年もヒットを飛ばすことを期待したいですね!

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Bruno Mars & Cardi B – Finesse

今週最もダウンロードが上昇した曲 LANCO – The Greatest Love Story

今週最もストリーミングが伸びた曲 6ix9ine, Fetty Wap & A Boogie wit da Hoodie - KEKE

最も高い順位で新登場した曲          Drake – God’s Plan

 

 

今週Hot 100から外れた曲 (8曲)

98 Enrique Iglesias feat. Bad Bunny – El Baño (🗻98位 /⏰1週)

96 Taylor Swift - ...Ready For It? (🗻4位 /20週)

95 Farruko, Nicki Minaj, Bad Bunny, 21 Savage & Rvssian – Krippy Kush (🗻75位 /⏰6週)

84 Dan + Shay – Tequila (🗻84位 /⏰1週)

80 Troye Sivan – My My My! (🗻80位 /⏰1週)

50 Marshmello feat. Khalid – Silence (🗻30位 /23週)

47 Carrie Underwood feat. Ludacris – The Champion (🗻47位 /⏰1週)

46 SZA – The Weekend (🗻29位 /25週)

 

 

来週以降にHot 100に入るポテンシャルを持った曲をピックアップしました

 

Zedd, Maren Morris & Grey – The Middle

リリース時はそこまで数字が伸びておらず、先週時点ではあまりロケットスタートにはならないと予想していましたが、グラミーの放送途中のCMでビデオが公開されてからは急上昇。iTunesSpotifyでかなりの伸びを見せています。Sick Boyの項目で述べたようにラジオでも好調。

 もしかしたらグラミーの恩恵を一番受けた曲かもしれません。(他のグラミー効果でのシングル登場/再登場のは少なそうです。既にリカレントされている、ダウンロードが微妙に足りないなどの理由で。また後述の大量エントリーも理由の一つです)

 

Migos feat. Drake – Walk It Talk It

Migos feat. 21 Savage – BBO (Bad Bitchers Only)

Migos – Narcos

 Migosの新譜の曲がストリーミングで絶好調。来週のHot 100に大量エントリーすると思います。昨年のCultureでは7曲がHot 100に登場しましたが、今回のCulture Ⅱでは収録曲数が多いこともあって、より多くの曲がHot 100に登場するかと思います。

 さすがに収録曲全部 (24曲)がHot 100に登場するのは難しいと思いますが、10曲以上は登場すると思います。個人的には16曲前後と考えています。上記の3曲は人気曲の一例です。この3曲は確実にHot 100に入ってくると思います。

 

半年前の記事


1年前の記事


 

 ↓プレイリスト

 

 

*1:彼らの趣味?少しTwenty One PilotsのHeathensと似ている?

*2:歌詞分析サイトGeniusにiTunesで1位を取ったと記載されていますが、違います!今後もしかしたらiTunesで上昇して実現するかもしれませんが

*3:ビルボードのHip-Hop/R&B Airplayチャートやリズミック系ラジオチャートに登場はしていないものの、有志によるサイトKworbの下位に登場している

*4:ポップ系ラジオチャートなど、ジャンル別ラジオチャートにも古い曲を外すリカレントルールが存在するようなので、Shape of Youは実際まだまだポップ系ラジオで多くかかっているとは思います。

*5:一応このようなエレポップ系の曲がアメリカよりもやや他国で人気という面もありますが

*6:カナダも

ファンが選んだ Charli XCX ベストソング So Far を勝手に集計【本人がTwitterで質問】

 

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先日Charli XCXがTwitterでこんな投稿を……

 

 ファンに「私のベストソングは何?」問いかけました。これに対し、多くのリプライが届きそれぞれが思い思いの曲を送っていました。

 個人的にこの投票に興味があったので、可能な限り集計してみました。↑のツイートではリプライ数が3889と表示されていますが、Twitterで表示されるリプライ数に限界?があるのか、そこまでは多くなかったと思います。

 結果は以下の通りです。まずはトップ10から

 

  収録アルバム
1 Grins 22 True Romance
2 Vroom Vroom 21 Vroom Vroom
3 Nuclear Seasons 14 True Romance
3 Superlove 14 シングルリリース
3 Track 10 14 POP2
6 Roll With Me 13 Number 1 Angel
7 Drugs feat. Abra 11 Number 1 Angel
8 Need Ur Luv 10 Sucker
9 Stay Away 9 True Romance
10 I Got It feat. Brooe Candy, Cupcakke & Pabllo Vittar 8 POP2
10 Secret (Shh) 8 Vroom Vroom

 

 上位はこのような感じに!ここから読み取れるポイントが3点あると思います。

 まずは、有名曲が上位に来ていないという点。Charli XCXの有名曲といえばBoom ClapかBoysが挙がると思うのですが、その2曲は上位に入らず。次いで人気なのはチャートでもある程度結果を残したDoing It、Break the Rules、After the Afterpartyや3AM辺りかなと思うのですが、それらも入らず。

 そして、時期がバラけているという点。この上位のトップ10には全てのアルバム/EP/ミックステープから何かしらの曲が入っています。

 さらに、票が全体的にバラけているという点。1位と2位のGrins、Vroom Vroomは票数が他よりも少し突出していますが、それ以外の曲は同数票も多くかなり人気が分散しているということが分かります。ちなみにこのGrinsは現在ポップスのプロデューサーとして躍進中のBloodPopのトラックにボーカルを乗せた曲です。

 

 やはり、特にBoom Clapが上位に入らないという点は意外でした。ファンに限らず、広範に「Charli XCXのベストソングは?」と尋ねたならば、おそらくBoom ClapやBoysが票を集めるとは思いますが、ファンはさまざまな曲に思い入れがあり、意外な曲・発見があるという点がファン投票の醍醐味なのだなと感じました。特にどのアルバムにも入らなかったSuperloveがここまで上位に来るのは、ファンがいかに熱心にCharli XCXの曲を聴いているかを表しているようにも思いました。ほか、各アルバムからも意外な曲が上位に来たという印象が強いです。

 アルバム単位だと最多3曲を送り込んだTrue Romanceが一番人気なのですかね。True Romanceは2013年前半デビューアルバムです。まだI Love Itもリリースされる前の時期なので、Charli XCXの知名度はまだ低く母国イギリスでもアルバムチャート(週間)85位に。しかし、実はPitchforkにBest New Music認定されるなど密かに人気の作品なのです。(PitchforkはCharli XCXに目をつけるのが早かった気がします)

 


ついでにTrue Romanceのシングル、Stay AwayもBest New Track認定に


 評価が高い、このTrue Romanceですが、今回の投票でファンからも人気があると裏付けられたように思います。

 

 続いて12位以下の順位です。

12 Femmebot feat. Dorian Electra & Mykki Blanco 7 POP2
12 Set Me Free 7 True Romance
12 Unlock It feat. Kim Petras & Jay Park 7 POP2
15 Backseat feat. Carly Rae Jepsen 6 POP2
15 Boom Clap 6 Sucker
15 Boys 6 シングルリリース
15 Lipgloss feat. Cupcakke 6 Number 1 Angel
19 Delicious feat. Tommy Cash 5 POP2
19 No Angel 5 未リリース?
19 Out of My Head feat. Tove Lo & ALMA 5 POP2
19 White Roses 5 Number 1 Angel
23 3AM feat. MØ 4 Number 1 Angel
23 Black Roses 4 True Romance
23 Doing It feat. Rita Ora 4 Sucker
23 Dreamer feat. Starrah & RAYE 4 Number 1 Angel
23 ILY2 4 Number 1 Angel
23 Porsche feat. MØ 4 POP2
23 So Far Away 4 True Romance
23 Trophy 4 Vroom Vroom
23 What I Like 4 True Romance
23 You (ha ha ha) 4 True Romance
33 Babygirl feat. Uffie 3 Number 1 Angel
33 London Queen 3 Sucker
35 Blame it on You 2 Number 1 Angel
35 Body of My Own 2 Sucker
35 Dance 4 U 2 Super Ultra
35 Emotional 2 Number 1 Angel
35 How Can I 2 True Romance
35 Kingdom feat. Simon Le Bon 2 Hunger Games
35 Moments in Love 2 Super Ultra
35 Paradise feat. Hanah Diamond 2 Vroom Vroom
35 Take My Hand 2 True Romance
46 Breaking Up 1 Sucker
46 Caught in the Middle 1 Sucker
46 Cloud Aura feat. Brooke Candy 1 True Romance
46 Gold Coins 1 Sucker
46 Lock You Up 1 True Romance
46 Lucky 1 POP2
46 So Over You 1 Sucker
46 Sucker 1 Sucker
46 After the Afterparty feat. Lil Yachty 1 シングルリリース

 

 こちらでもやはり、票が割れて個性的な投票が。一部未リリース曲(No Angel?)、やデビュー前のミックステープSuper Ultraからの選曲もあるのが面白いです。Pop2からの投票が若干多いですかね。Boom ClapやBoysも15位で登場しています。

 Super UltraはSoundCloudにあります(逆にストリーミングサービスには無い)折角なのでSoundCloudのリンクを貼っておきます。(一部True Romanceと曲が被っています)


 また、数は少ないですがCharli XCX自身の曲ではない曲の投票も。

 

Iggy Azalea feat. Charli XCX / Fancy 3
中田ヤスタカ feat. きゃりーぱみゅぱみゅ & Charli XCX / Crazy Crazy 2
Marina and the Diamonds & Charli XCX / Just Deserts 1

 客演ソングたちです。個人的にFancyはCharli XCXのサビコーラスがあってこそのヒットだった気がします。また、中田ヤスタカとの曲も人気を集めているようですね。

 

Selena Gomez / Same Old Love 1
Carly Rae Jepsen / Runaway With Me 1

 ソングライトした?曲です。Same Old Loveはソングライトに加え、サビのコーラスをCharli XCXが担当しています。 Runaway With MeはソングライトのクレジットにはCharli XCXの名前があるという訳ではないですが、サビで一部コーラスを担当しているのでは?という推測から投票されたのでしょうか。確かな情報は無いですが、言われてみればそう聞こえます。Charli XCXが多くの曲で共にソングライトを行うNoonie Baoがこの曲に関わっているという点もこの推測を加速させます。

 

Lorde / Royals 1
Marina and the Diamonds? / Froot 1

 よく分からない投票です。昔Charli XCXは髪型が似てたことを理由?に"I'm Not Lorde"と何かのインタビューで言っていた気がするのですが、そのインタビューは見つからず……(見つけたら教えてください……)

→自分が見たのはこのインタビューじゃなかった気がしますが、それっぽいインタビューがありました。*1

 

 

 以上がファンが選んだCharli XCXベストソングSo Far、並びにその考察でした。昨年Boysが多くのメディアのベストソング企画で上位に入るなど、近年評論家からも大きく注目されるようになったCharli XCX。しかしファンからは最近の作品や有名曲だけでなく、多くのアルバムからの、多種多様な曲が支持されています。これを期に、Charli XCXの過去のアルバムもチェックしてみませんか?

 

 最後にCharli XCXの最新ミックステープPop2 をMy Beautiful Twisted Dark FantasyやYeezusと比較し、彼女はKanye Westと比肩するような存在だと述べる感動的(!?)な記事を貼って終わります。


 

 

★おまけ 個人的なCharli XCXお気に入りソングベスト10 

 

Stay Away (True Romance)

・Black Roses (True Romance)

・Lock You Up (True Romance)

・Breaking Up (Sucker)・Need Ur Luv (Sucker)

・Paradise (Vroom Vroom)

・After the Afterparty (シングルリリース)

・Dreamer (Number 1 Angel)

・Femmebot (Pop 2)

・Lucky (Pop 2)

 

 

関連記事

 

*1:自分が見たインタビューは、たしか食い気味に「Lordeじゃないよ!」みたいに言っていた気がする……

1/26 リリース新曲/新作の初動を観察 【Migos 圧倒的な曲数とストリーミング】

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 今週最も際立ったのはMigosのアルバムCulture Ⅱ。ストリーミングで圧倒的な成績を集めており、アルバム1位は確実でしょうか?そのMigosのアルバムからHot 100には何曲入るか?などについて書いてきます。

 写真はMigosのメンバー、Quavoの幼少期と今。彼は今回のアルバムの一部の曲でプロデューサーとしてもクレジットされています。昨年はポップスの客演を務めた彼ですが、今年はさらに活躍の場を広げそうですかね!

 

Spotify デイリーのアメリカトップ10 (金曜日)

1 Drake  God's Plan
2 Migos Narcos
3 Migos feat. Drake Walk It Talk It
4 Migos Stir Fry
5 Migos feat. 21 Savage BBO (Bad Bitches Only)
6 Migos Supastars
7 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
8 Migos Higher We Go (Intro)
9 Migos feat. Travis Scott, Ty Doll $ign & Big Sean White Sand
10 Migos, Cardi B & Nicki Minaj MotorSport

 

 Spotify 上位曲に大きな変化が。まずは首位のDrake。土曜日という不規則なタイミングでリリースしたGod's Planがストリーミングで記録的な数字を叩き出しています。 今週の途中、SpotifyApple Musicの両方で1日の最多再生数の記録を叩き出しています。(アメリカ / 世界合計の再生数の両方で)


 それまでSpotifyで1日の再生数が最も多かったのは、世界合計だとLook What You Made Me Do、アメリカだとHUMBLE.でした。

 このGod's Planはストリーミング成績だけでなく、ダウンロードも好調で先週1番多い数字を記録。ラジオはまだほとんどポイントが期待できませんが、ストリーミング/ダウンロードの数字から来週のHot 100で1位登場が見込まれているようです。

 そして、トップ10で目立っているのはMigos。Spotifyのトップ10のうち 8曲がCulture 2からの曲に。一番再生されたのはNarchos、その次はDrakeとのWalk It Talk It。そしてじわじわ人気を得ていたStir Fryがアルバムリリースのタイミングで4位にまで浮上しています。1番最初の目玉シングルとしてリリースされたMotorSportは10位に。

 最近の傾向として、ストリーミングで人気のアルバムは案外ゲストがいる曲が上位に来るとも限らないように思います。特にNarchosが一番人気という点は意外でした。

 ほか先週の金曜日まで長く1位だったPost Maloneのrockstarが7位に落ちています。

 

② 新曲/新アルバムからのシングル アメリカSpotifyデイリー順位 (金曜日)

11 Drake Diplomatic Immunity
12 Migos Auto Pilot (Huncho On The Beat)
14 Migos Emoji A Chain
17 Migos feat. Post Malone Notice Me
19 Migos feat. Gucci Mane CC
21 Migos Gang Gang
23 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton Say Something
25 Migos Too Much Jewelry
33 Migos Crown the Kings
36 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
39 Migos feat. 2 Chainz Too Playa
42 Migos Beast
45 Migos Flooded
50 Migos Open It Up
54 Migos Movin' Too Fast
67 Migos Work Hard
69 Migos Made Men
73 Migos Top Down On  Da NAWF
83 Migos Culture National Anthem - Outro
132 Jason Aldean You Make It Easy
153 Russ Some Time
198 Lord Huron Ancient Names (Part 1)

 

 怒涛のMigosラッシュ。アルバムが24曲*1と収録曲が多いため、ランキングではMigosの名前が目立ちます。曲数は多いながらも全てSpotify 100位圏内に入っている点が彼らの勢いを感じます。(ちなみに同じく曲数が多く、I'm the OneやWild ThoughtsなどのヒットもあったDJ Khaledのアルバムは一部Spotify200位圏内に入っていない曲もあった)

 11位以下で際立ったのは、Quavoがプロデューサーを務めた曲のうちの1曲、Auto Pilot (Huncho On The Beat)、盟友Metro Boominがビートを担当するEmoji A Chain、Post Maloneの哀愁ある歌パートが光るNotice Meなど。

 Crown the KingsはKanye Westの2008年のアルバム808's & Heartbreakに収録されたSee You In My Nightmaresと似ている部分があるのですが、何か関連があるのでしょうか??また、「もしQuavoがアメリカ国家を歌ったら?」というYouTuberのアイデアを実現した?アルバム最後のトラック、Culture National Anthemなども収録されています。(長編アルバムの最後なので、再生数が比較的少なめ?)

(ちなみにこのカバー(?)なぜかApple MusicやSpotifyにも音源があります)

 

 昨年の同時期にリリースされたアルバムもBad and BoujeeでHot 100の1位を取った後ということもあり、多くストリーミングされHot 100には計7曲が登場しました。*2

 今回はその時以上にストリーミングが増しています。例えば昨年のアルバムでSpotifyのトップ10にはBad and Boujee、T-Shirtの2曲のみが入っていましたが、今回は8曲も入っています。(ちなみにApple Musicでは昨年も今年もトップ10はほぼMigos)

 

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↑ 昨年のアルバムリリース時のSpotifyランキング

 

 Spotifyのストリーミング数が伸びているので、昨年よりも多くの曲がHot 100に登場すると思います。最近の似たようなケース(SpotifyApple Musicで両方で人気を得てHot 100に大量エントリーしたアルバム)と比較すると、16曲前後がHot 100に入るのでは?と今のところ考えています。Apple Musicでの数字もある程度期待できるラップアルバムならば、Spotifyの初日ストリーミング60万が程度あるとHot 100に入る傾向にあるような気がします。ただし、収録曲数がべらぼうに多いので、週の後半にストリーミングの数字が落ちて、Hot 100水準に満たない曲も増えるかもしれません。

 

(参考)

 

 今週はそのほかにも注目曲が多いです。まずはDrakeのDiplomatic Immunity。God's Planと2曲組のScary Hoursという形(EP?)でリリースされています。こちらも上々の成績を記録しています。

 Justin Timberlakeはカントリー歌手Chris Stapletonを客演に迎えたSay Somethingをリリース。先週のSuppliesよりは高い順位でのスタートになっています。Chris Stapletonはシングルヒットは少なめなものの、アルバムセールスは2016年の年間アルバム7位など優秀。また批評家からの評価も高めで一目置かれる存在です。

 そしてZedd, Maren Morris, GreyのThe Middle。こちらもポップス系アクト+カントリー歌手の組み合わせです。Maren MorrisはMerecedes、My Churchなどカントリー以外のリスナーでも親しみやすいアンセムを二つヒットさせた後、グラミーの新人賞にノミネート。新人賞獲得はならなかったものの、その後はポップス界隈からも注目される存在に。昨年はNiall Horanのアルバムでも起用されていました。

 StarvingをヒットさせたZeddの盟友、Greyがこの曲でも起用されています。Migosの影に隠れていますが、なかなか上々のスタートを切っています。Liam PayneとのGet Low以上のヒットにはなりそうです。

 

 iTunesアメリカップ10+新曲の順位 (金曜日)

1 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton Say Something
2 Jason Aldean You Make It Easy
3 Drake  God's Plan
4 Ed Sheeran Perfect
5$ Bebe Rexha & Florida Georgia Line Meant to Be
6 Migos feat. Drake Walk It Talk It
7 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
8 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
9 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse (Remix)
10 Imagine Dragons Thunder

 

13 Thirty Seconds to Mars Dangerous Night
16 Lady Gaga Joanne (Where Do You Think You're Goin'?)
18 Migos feat. Post Malone Notice Me
21 Sia, David Guetta & Afrojack  Helium
26 Breaking Benjamin Feed the Wolf
36 Migos Supastars
37 Migos feat. Travis Scott, Ty Doll $ign & Big Sean White Sand
49 Russ Some Time
58 Migos feat. 21 Savage BBO (Bad Bitches Only)
64 Mike Shinoda Place to Start
※70 Migos MotorSport
79 DNCE Dance
※97 Migos Stir Fry

 

 ダウンロードではそこまでMigosラッシュにならず。Drake、Post Maloneが客演の曲がそこそこ上位に行っている以外は目立った動きは無いです。こちらでは1位Chris Stapleton(客演)、2位Jason Aldean、8位Maren Morrisなどカントリー歌手が際立っています。ほか昨年のFifty Shades of Darkerのサントラに収録されたSiaのHeliumのDavid Guetta、Afrocjackリミックスなど。

 

iTunes アルバム順位 (アメリカ)

1 Migos Culture Ⅱ
2 Various Artists The Greatest Showman
3 Cory Asbury Reckless Love
4 Bruno Mars  24K Magic
5 Above & Beyond Common Ground
6 Machine Head Catharsis
7 Fall Out Boy M A N I A
8 Beth Hart & Joe Bonamassa Black Coffee
9 Ed Sheeran ÷ (Deluxe)
10 Imagine Dragons Evolve

 

 iTunesで1位を獲得したMigos。ストリーミングでの好調、さらに曲数が多いことからストリーミングで相当な数字を叩き出すと思うので、セールスとストリーミングが合算されるアルバムチャート、Billboard 200では1位は確実と思われます。ただし、アルバムの純セールスは約4万枚と予想されていて、純セールスではThe Greatest Showmanに負けるかも。(こちらは6万程度?)

 ほかグラミーに向けて上昇したBruno Marsの24K Magic、トランス系DJグループのAbove and Beyondの新作などがiTunesトップ10に。

 

⑤現在ラジオで上り調子の10曲

92 Drake God's Plan
13 MAX feat. gnash Lights Down Low
9 Bruno Mars & Cardi B Finesse
4 Dua Lipa New Rules
7 Charlie Puth How Long
18 G-Eazy & Halsey Him & I
32 Old Dominion Written in the Sand
14 NF Let You Down
149 J Balvin, Jeon & Anitta Machika
125 Maroon 5  Wait
42 Thomas Rhett Marry Me
62 Brett Eldredge The Long Way

 リズミック/アーバンとラップ系統で大きく数字を伸ばすDrakeの新曲。ポップ系でも人気が出れば心強いですが、果たして……またLights Down Lowがかなりの粘りを見せています。

 

⑥各ラジオ局で今週かかりはじめた曲

✫ポップ系

37 Troye Sivan My My My!
41 Kesha feat. The Dap-Kings Woman
44 The Chainsmokers Sick Boy
45 Imagine Dragons Whatever It Takes
48 Alice Merton No Roots
50 Justin Timberlake Supplies

 Troye Sivan、The Chainsmokers、Justin Timberlakeの最近の注目リリースが登場。ドイツのシンガー、Alice MertonのNo Rootsがポップ系ラジオに登場。ロック系ラジオなど幅広い系統でかかっており、ラジオのポイントを活かしてそろそろHot 100に入るかもしれません。ほか、Kesha とImagine Dragonsの新シングルも。

 

✫アダルトポップ系

36 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton Say Something
41 Kesha feat. The Dap-Kings Woman

 こちらではSay Somethingが登場。

 

✫リズミック系

26 Drake God's Plan
43 Justin Timberlake Supplies
45 Camila Cabello Never Be The Same
48 Famoous Dex feat. A$AP Rocky Pick It Up

 God's Planが急上昇中。ほかSupplies、Never Be the Sameなどポップ系ラジオで人気の曲がリズミック系にも登場。ストリーミングで人気のFamous DexのPick It Upも徐々にラジオへ。ちなみにFamous Dexは最近「ヒップホップ禁止令」で注目を集める中国のヒップホップ界隈と組んだこともあったようです。



 

✫アーバン系

29 Drake God's Plan
40 Remy Ma feat. Chris Brown Melanin Magic
44 Offset & Metro Boomin Ric Flair Drip
46 Q Money Work
47 50 Cent Still Think I'm Nothing
48 6ix9ine GUMMO

 Ric Flair Drip、GUMMOなどのストリーミングヒットがやや遅れてラジオに登場。

 

⑦ その他のストリーミングのトップ10

Apple Music

1 Drake God's Plan
2 Drake Diplomatic Immunity
3 Cardi B feat. 21 Savage Bartier Cardi
4 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse
5 Migos, Nicki Minaj & Cardi B MotorSport
6 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
7 Offset & Metro Boomin Ric Flair Drip
8 G-Eazy feat. A$AP Rocky & Cardi B No Limit
9 Bazzi Mine
10 Lil Skies feat. Landon Cube Red Roses

 ランキングが反映されるのがやや遅く、まだMigosのアルバムリリース前の時空。注目は9位に食い込んだBazziのMineですかね。

 

・パンドラ

1 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
2 NF Let You Down
3 Ed Sheeran & Beyoncé Perfect Duet
4 G-Eazy & Halsey Him & I
5 G-Eazy feat. A$AP Rocky & Cardi B No Limit
6 Camila Cabello feat. Young Thug Havana
7 Bebe Rexha feat. Florida Georgia Line Meant to Be
8 Eminem feat. Ed Sheeran River
9 Migos, Cardi B & Nicki Minaj MotorSport
10 Bruno Mars feat. Cardi B Finesse

 ストリーミングサービスの中では珍しくポップが人気。またラジオをベースにしているサービスとあって、やや曲のサイクルが遅めです。(選曲はアプリが行っているので、音楽に関する情報が少なく能動的な選曲が少し難しいと思われる日本のリスナーに向いているアプリと思うのですが、どうなのですかね。ちなみにアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでしかまだ解禁されていないみたいです。)

 

・サウンドクラウド

1 6ix9ine, Fetty Wap & A Boogie wit da Hoodie KEKE
2 Lil Skies feat. Landon Cube Nowadays
3 6ix9ine GUMMO
4 Post Malone feat. 21 Savage rockstar
5 Lil Skies feat. Landon Cube Red Roses
6 XXXTentacion feat. Trippie Redd Fuck Love
7 TM88, Southside & Lil Uzi Vert Mood
8 Carnage & Lil Pump i Shyne
9 YoungBoy Never Broke Again Outside Today
10 6ix9ine KOODA

 先週とそこまで変わらず。相変わらずヒップホップ天国ですね。

 

✫参考 半年前の新曲リリース情報